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作者: ラム肉
掲載日:2026/05/20

最近鏡の中の僕が何かおかしい。

そう友人に相談したら笑われ「そんな訳ない」と一蹴された。

こっちは真剣に相談しているというのに、失礼な話だ。


その後、友人とくだらない話をしながら駅まで見送った。

僕はそのまま友人と別れ、帰路に着く。

今日は冷える、コンビニでホットスナックでも買って帰ろう。


コンビニに着くと、雑誌コーナーへ自然と足が進む。

ふと、ガラスに映る自分へと目を向ける。この時間帯だと映る自分が良く見える。

髪のせいで分かりにくいが、映っている僕は手に取った漫画を読んでいる。僕は自分の姿を見ているのに。


何を買おう…おや、肉まんが安いのか。


僕はコンビニで買い物を済ませまた帰路に着く。

手には唐揚げと、温かい缶コーヒーが入った袋を握っている。冷えた体にこの2つは熱すぎるくらいだ。


家に着く前に唐揚げは食べ切ってしまった。コンビニを出た時は家で食べようと思っていたのに。

まぁいい。冷める前に缶コーヒーを飲もう。


また亀裂が広がっている。僕は部屋に置いてある姿見の鏡を見てそう思った。

思えば鏡の中の僕に違和感を覚え始めた時期と同じくらいに亀裂が入っていたな。

古い鏡でもないが、日常的に使ってたし寿命か。


今日はもう寝るか。

鏡に布をかけると部屋も一気に暗くなる


「パキパキッ」


朝起きて鏡の布を取るとまた亀裂が広がっていた。昨日までは右から真ん中辺りまでしか無かった亀裂が右から左へと割れている。


そろそろ買い換えないといけないのかもな。


そんな事を考えながら僕はいつも通りの道を歩き、いつも通りの電車に乗り、いつも通り大学へ向かう。


うわっ…


最悪だ。僕の右側…車道を走っていた車が踏んだ水溜まりの泥が跳んで、僕の右半身を汚した。


どうしようか、もう帰って着替えられる程の時間はない。


僕は仕方なく近くの店で買う事にした。


これ、いいな。


僕は服とズボンを買い、着替える為店員さんに許可を取り試着室に入った。ズボンと服を着替えようと一度脱ぎ、買ったものを着て、鏡で姿を確認する。


お、いいな…なんだ見られてる?


視線を感じた僕は周りを見てみるが、当然誰も居ない。


分かった。視線の主は鏡の中の僕だ。


やめろそんな目で僕を見るな。僕はお前を見ていない。やめろ、やめろ…


はっ、と気が付くといつの間に来たのか、僕は大学の講義室に居た。辺りはもう暗くなり始め、窓から入る日の光が僕の居る部屋一面を赤く照らす。


…帰るか


ひぐらしが鳴いてる…そうか、もう梅雨が開ける頃、もうそんな時期か。早いなぁ


大学からの帰り道。いつも通りの道をいつも通り進み、いつも通りの電車に乗って、いつも通りのコンビニで缶コーヒーを…いつも通りって


なんだ?


家に帰ると、鏡の下の亀裂が割れたのか鏡の下半分が割れ、破片が地面に落ちていた。今朝は何ともなかった上半分にも亀裂が入っている。


仕方ない。ひとまず大きい破片は透明なテープで貼って、細かい破片はホウキで集めて捨てるか。


いたっ!くない?

破片で手を切ったと思ったが…怪我一つ無かった。


不思議なこともあるもんだ。


今日もまた、いつも通り鏡に布をかけて僕は眠りにつく。


朝、布を取ると。今度は上の亀裂も残ってる鏡全体に広がっていた。


大学へ行く途中電車に乗ると…窓に映った僕が本を読んでいる。なんでだ。

僕はたしかに毎日本を持っているが読んだ事はない。

何故かって?本を持っているとかっこいいからだ。

要はカッコつけの為にいつも持っている、だからあんな真剣に読んだことはない。


その日一日、鏡に映る僕はどこか僕とズレていた。そう、まるでツギハギの布を縫い合わせた様に。

一見同じに見えても細かい所は違う。


家に帰り、僕は鏡を眺める。


「おい、待て!やめろ!」


咄嗟にそう言葉が出た相手は鏡の中の自分。

僕は自分に…鏡に対してそう言い放った。


僕が異常者だと思うかい?


だが鏡の中の僕は、僕の意志と関係なくトンカチを持って今にも鏡を割らんとせんばかりに近寄る。


「やめろ!やめろ!僕はそんな事望んでない!」


そんな叫びも鏡の向こう側には伝わらなかった様だ。


「あっ…」


鏡が割れた。

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