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Prologue -New school term-

2025/09/16 一部加筆

2025/09/25 一部加筆

2025/10/07 一部修正

 四月七日。春風がまだ少し肌寒さを残す中、僕はなぜか一人、学校の門の前に立っていた。

 今は、朝の六時四十分。入学式は九時からだというのに、緊張のあまり一睡もできず、僕は始発でここに来てしまった。

 新しい制服のネクタイはぎこちなく、靴はまだ足に馴染んでいない。


「……流石に、早く来すぎたな。」


 誰もいない正門。校舎の窓には灯りすらついていない。

 けれど、その静寂の中に――奇妙な“気配”があった。

 遠くの方で、「カッ、カッ」と硬い靴音が響く。

 見知らぬ制服の生徒たちが、手早く耳につけた無線でやりとりしている姿が見えた。その手には、何か銀や黒の銃のようなものが握られている。


(……え? なに、あれ)


 思わず塀の陰に身を隠した。彼らは迷いなく校舎の裏手へと走っていく。その先に――人影。

 フードを被った何者かが、フェンスを越えようとしていた。


「制止!ここは立入禁止区域!」

「逃げたぞ!」


 次の瞬間、光が閃いた。音は、ない。だが確かに何かが発射され、男の足元が爆ぜたように揺れる。


(今の……銃? 音が……しなかった?)


 その瞬間、僕の心臓がドクンと高鳴った。逃げようかと思った――でも、足が動かなかった。

 次の瞬間、フードの男がこちらを振り返った。その目が――一瞬、僕を見た気がした。


(まずい、見つかった……!)


 と、思った瞬間だった。背後からふっと風が吹いたように誰かが立ち、僕の肩に軽く手が置かれた。


「――大丈夫。すぐ、忘れるから」


 優しい声だった。時間がゆっくり流れているみたいな…。目が合った男が僕の方へ銃を向けてくるが、ゆっくりとした動作だった。


 だが、何かが僕の意識を引っ張る。視界が、白く、音も、匂いも、感覚も――ゆっくりと、失われていった。痛みが一瞬したような…。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 気がつくと、僕は校門前のベンチに座っていた。


「……?」


 時間は七時〇分。入学式開始二時間前。手には入学式のプリントと、誰かにもらったらしい学生証が握られていた。


「変だな……どうやってここまで来たんだっけ……?」


 まるで夢でも見ていたような、ふわふわとした感覚が残っていた。

 でも――気にする必要はない。

 だって、何もなかったのだから。そしてまた、なぜか眠気がして…、寝てしまった。

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-著者 宮本葵-
茨城県南部出身。中学2年生。鹿行地域とは違ってメロンをたくさん食べれないところに住んでいる、メロン好き。バナナも好きだがやはりメロン。最近、つくばの祭りに行った際、メロンが入ったメロンソーダに目を引かれてしまい、購入。めちゃくちゃ美味しかった。

宮本葵の他作品
僕の中学校生活がループしているので抜け出したいと思います。
シェア傘ラプソディ♪
最後の7日間 〜吹奏楽コンクール県大会まで〜
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