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Prologue -battle-

書き直しました。すみません。

2025/09/16 一部加筆

2025/09/25 一部加筆

「カチッ……」

 という、小さな音が響いた直後、銃口から閃光が走った。無音銃の光線が空気を裂き、何かを焼いたような匂いが漂う。

 ここは学校だ。しかも、生徒が普段立ち入らない特別教室棟。その廊下で、静かな戦いが繰り広げられている。

 特別教室棟には化学薬品や工作用の器具など、万が一暴発すれば大事故になりかねない危険物がある。だが、そんな物理的な脅威よりも、今はもっと恐ろしいものが迫っていた。

 ――他校の組織。それも、僕たちの組織の人数をはるかに上回る者たちが、戦闘訓練を受けているような動きで侵入してきた。

 同期や先輩が次々と倒れていく。無音銃の光も、無線の指示も、今はどこか遠くに感じた。

 僕は、ただ物陰に隠れていた。

 手が震えていた。耳につけた通信イヤホンはノイズを拾ってガリガリと鳴っている。マイクのスイッチには触れられなかった。怖かった。ただ、ただ、怖かった。


「どうすればいいんだ、僕は……。何もできない……。」


 心の奥から湧き上がる声は、ひどく情けなくて、でもそれが本音だった。

僕はもともと、こういう性格なのだ。気が弱くて、目立つのが怖くて、人前で意見を言うことすら苦手だった。

 そんな僕が――銃を手にして、爆薬の扱いを覚え、暗闇の中で動く訓練をしていたなんて、今振り返ると夢みたいだ。

 でも現実は、これだ。足がすくんで動けず、仲間が倒れていくのをただ見ているだけ。


「……」


 そんな僕の通信機からノイズ交じりの声が聞こえた。


『……ッ、宮本……聞こえるか?』


 先輩だった。憧れの、強くて優しくて、いつも先頭で戦ってくれた先輩の声。


『……お前だけでも、逃げろ……。記録装置は……旧校舎、地下1階の…オペレーション室の…モニター裏にある……データ……守れ』

「せ、先輩……!?」


 応答しかけたその瞬間、通信がブツリと途絶えた。

 同時に、数メートル先で“バタリ”と何かが倒れる音がした。見なくてもわかる。先輩が……やられた。


「……う、うそだ……」


 喉が詰まりそうだった。目の奥が熱い。でも、泣いている暇なんてない。

 僕は、震える手で無音銃を握り直した。ここで、逃げるのか? それとも――。

 ――先輩が託してくれた「記録」を守るために、僕にできることがあるのか。


 ほんの少しだけ、足に力が入った気がした。

 その決意を持って、記録を守りに行こうとした時、不意に廊下の向こうから、足音が近づいてくる。複数人の敵だ。五人ほどがこっちにくる。


(……考えろ。逃げるんじゃない。守るんだ、記録を!)


 息を潜め、ゆっくりと立ち上がる。

 誰にも気づかれないよう、特別教室の壁に沿って、旧校舎へ向かって走った。あと20メートル。10メートル……。

 だがそのとき、不意に横から人影が。


「――見つけたぞ」


 振り向く間もなく、目の前に立っていたのは――あの男だった。

 あの日、最初に僕に攻撃を仕掛けてきた。記憶操作される前、何かを言いかけたあの男――。


「君だけは、絶対に逃がさない」


 無音銃を構える暇もなかった。男の手が動いた瞬間、視界が揺れた。

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-著者 宮本葵-
茨城県南部出身。中学2年生。鹿行地域とは違ってメロンをたくさん食べれないところに住んでいる、メロン好き。バナナも好きだがやはりメロン。最近、つくばの祭りに行った際、メロンが入ったメロンソーダに目を引かれてしまい、購入。めちゃくちゃ美味しかった。

宮本葵の他作品
僕の中学校生活がループしているので抜け出したいと思います。
シェア傘ラプソディ♪
最後の7日間 〜吹奏楽コンクール県大会まで〜
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