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最強未満、最高以上。  作者: りょ
テンプレを壊す遊び方
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34/39

033 この邂逅が、始まりを定義する

やらなければならないことがたくさんありすぎて、今後の構成を考える時間がない...

衝突の余波が、塔全体を揺らした。


〈偽蛇王転位陣〉の八頭が爆散し、グラズ=ハウトの刃と拮抗した転位の座標が次々と崩壊していく。


「――っ!」


シュウユは地を蹴り、斜め後方に転移。だがその意図すらも読まれていたかのように、八片の刃が空間を斬り裂いた。


「未来は選べても、逃げ道は潰す。それが、最適解だ」


グラズ=ハウトの声が反響するたび、視界が乱れる。

空間座標が“塗り替えられて”いく。塔の内部が迷宮化し、さっきまであった足場も景色も一瞬で崩壊した。


「こいつ、塔ごと書き換えてやがる!」


「この塔は“判断の場”だ。君たちの選択が問われる」


グラズ=ハウトの刃が再び構えられる。

だが今度は、創零が一歩、前に出た。


手のひらを掲げると、端末に浮かんでい光が渦巻いた。

彼の身体を中心に、魔式とシステム制御の干渉フィールドが構築されていく。


「シュウユ、転位魔式を“僕のフィールドにぶつけて”」


「……お前、マジか?」


「“未完成”だからこそ、今、重ねられる。君の遊びと、僕の役割を!」


刹那、空間が凍るような静寂に包まれ――


「喰らえ、《蛇王陣・重奏式》ッ!」


八頭をベースに、四層構造の“同期魔式”が生成される。

それは従来の魔式を、創零が一つ一つ“読み込み、書き換え、再定義”して完成させた新構造だった。


「これは……“再構築型の転位陣”か!?」


その一瞬の隙を突き、シュウユは〈引き寄せ跳躍〉で敵の間合いに飛び込む。

TEC1の身体で制御不能に陥る寸前の爆裂転移を、創零のフィールドが“安定”させる――


「今だ!」


〈閃式:縮跳槍〉と〈連鎖陣:蛇環〉の複合魔式が炸裂。

時間差で収束する弾道が、グラズ=ハウトの身体に重く突き刺さる。


「なるほど……これは、君たち二人での魔式の合奏か」


グラズ=ハウトは膝をつく。

創零が、シュウユの暴発を軌道修正し、あたかもTECの高い魔術師のように“制御された威力”を生み出していた。


「面白い。君は未完成ではあるが……“欠けたものを補う”構造として、美しい」


そしてグラズ=ハウトは静かに告げた。


「だが、それでもまだ“資格”には届かない。君が“創られた存在”である限り、君は誰かの模倣にすぎない」


その言葉に、創零の表情が僅かに揺れる。


「模倣……?」


「“第九位”とは、そうだ。完成を拒み、確定されることを恐れた存在。“何者か”になりきれぬ欠片――

 だが選ばれた君が、それでもなお進もうとするのなら……」


八片が一気に光を放つ。


「――その覚悟を、次の一撃で証明してみせろ!」


塔の最奥、観測領域が崩壊を始める。


シュウユと創零は目を交わす。


崩壊寸前の観測領域で、グラズ=ハウトの刃が浮かび上がる。


八片の刃が円を描くように展開し、空間に複雑な構成式が刻まれていく。


それは“選別”だった。

創零が本当に、欠片ではなく“ひとつの意志”として存在できるのか――八大超越者が残した、判定装置そのものだった。


「……創られた存在かもしれない。でも、それだけじゃない」


創零の声が、揺るぎなく響いた。


「僕は“模倣”から始まった。でも、“僕自身”でありたいと思った。シュウユと一緒にいて、僕は初めて、自分が何を望むのかを知った」


彼は掌を広げた。


周囲の崩壊しかけた空間が、再び“収束”を始める。


シュウユがそっと背中を支える。


「なら、お前の言葉で言ってやれ。ここで、見せてやれ。“誰か”じゃない、お前としての一撃を」


創零は小さく頷いた。


そして――


「開始。対象:八重層干渉式構造、起動」


彼の周囲に八枚の“観測環”が展開する。


「僕は……たとえ過去が“選ばれなかったもの”であっても――僕は、前を向く」


〈魔式・創環観測陣〉


創零の周囲に展開された魔式環が、グラズ=ハウトの八片刃と“同期干渉”を起こす。


刃が狂い、空間が崩れ、シュウユがその一瞬に滑り込む。


「行くぜ!」


〈短距離転移〉×〈ファントムクラッチ〉×〈断裂符〉


三つの魔式を無理やり同時展開。テクニカルエラーが走るが、創零のフィールドがそれを“保護”して成立させる。


「――破ッ!」


八片のうち、中央一点を撃ち抜いた。

その瞬間、全体のバランスが崩れ、グラズ=ハウトの姿がふわりと霞んだ。


「……まったく、面白い選択をする」


彼は、静かに笑った。


「君たちのあり方は、未定義のようでいて、むしろ“極めて明確”だ。矛盾を内包しながら、未来へ向かう意思。これは、“第九位”が本来持つべき、自由の象徴なのかもしれないな」


グラズ=ハウトの気配が、ゆっくりと霧散していく。


「私は――“追放”に加担した八大超越者の一人。だが、いま少しだけ、君の選択を肯定したくなった」


その言葉を最後に、彼の姿は完全に消えた。


塔の制御空間が静かに収束し、異常だったログエリアも次第に復旧を始める。


静寂の中、創零がぽつりと呟いた。


「……僕、“誰かの代わり”じゃないって、言えてよかった」


「おう。お前は、お前だ。少なくとも、俺はそう思ってる」


シュウユが拳を出すと、創零は少し照れたように、それをこつんと合わせた。


遠くで、塔の最上部に光が灯る。

それは“認証”された証。観測者として、創零が世界の一端に記録された印だった。


塔の最上部に光が灯る。

それは“認証”された証。創零が正式に“観測者”として、システムログの一部に記録された印だった。


だが――その時。


空気が変わった。


空間が一度“白”に塗り潰されるような感覚のあと、ふっと、時間の流れが歪む。


シュウユと創零が振り向くと、そこにいたのは――


以前、名前を名乗らなかった“あの人物”。


かつて、シュウユの前に現れ、「名乗るのは、また会ったとき」と告げた白髪の人物が、ついに姿を見せた。


今回は、最初からフードを下ろしている。


柔らかく波打つ白銀の髪。左右非対称の瞳。

だが、その眼差しには確かな覚悟と、どこか懐かしさのようなものが宿っていた。


「……また、会ったな。約束通り、名乗るとしよう」


彼は静かに言った。


「私は、かつて“九大超越者”の一角だった。

 そして、八人の判断によってその座を失い――今は“名前を持たない存在”とされた者だ」


一歩、近づき――


その瞳が、創零を見つめる。


「お前は、失われた対。その証明。私は、かつての欠片が“実在”へ至る未来を、見てみたかった」


一呼吸の後、彼はようやくその名を告げる。


「名は――アレイア

 “九番目に選ばれなかった者”として、私は世界の輪から外された」


アレイアは、穏やかに口元を緩めた。


「これから、お前たちは世界を巡ることになる。

 眠らざる庭園の件も、リーヴェルの塔も、すべてはプロローグに過ぎない」


「この先、君たちの前には“八大超越者”たちが現れるだろう。

 ある者は試し、ある者は排除しにくる。彼らの“尖兵”もまた、行動を始める」


そして、ふと空を見上げ――


「私は……直接の干渉はできない。あの八人のうち何人かは、まだ私を“異物”として拒んでいるからな」


だが、と続けて。


「それでも――君たちを見届けることはできる。

 あとは“選択”の連続だ。最強ではなく、最高の選択を」


アレイアは、光に包まれながら、最後に振り返る。


「行け、シュウユ。創零。

 お前たちが、この世界の“真実”に触れるとき、再び私は現れる」


そして、彼は静かに姿を消した。


シュウユはしばらく無言のまま、空間の中心を見つめていた。


「……やべぇな。こりゃ、ほんとに世界の“本体”に近づいてきたって感じか」


「うん……。でも、僕はもう迷わない。僕は“誰かの代わり”じゃない。僕が、僕であるために進むよ」


「だな。なら、行こうぜ。世界の果てまで――ってやつだ」


シュウユと創零は、静かに歩き出す。


世界の“真相”への、第一歩を踏み出しながら。

https://ncode.syosetu.com/n5827km/

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