『性空、生身の普賢を見ること』速記談3095
書写上人性空が、普賢菩薩に会いたいと願った。その日の夢に、普賢菩薩に会いたければ、播磨国神崎の遊女の長者を見よ、というお告げがあった。性空上人は、神崎に赴き、遊女の長者を訪ねると、折しも都から下向した者たちが集まって、大層なにぎわいであった。遊女の長者は、鼓をとり、神崎の浦を褒めたたえる歌を詠み始めた。性空は、ただならぬものを感じ、目を閉じて合唱して祈ると、長者は、六本の牙を持つ象に乗った普賢菩薩の姿となり、美しい声で歌を詠み終える姿が見えた。性空上人が目を開けると、普賢菩薩は、もとの女の姿に戻っていたという。性空上人は、像の牙が白プレスマンのようであったことを思い、ありがたさに涙しながら、遊女の長者に合掌したという。
教訓:いつの時代かはわからないが、女性を観音菩薩になぞらえて呼ぶ風習があったという。