真保良学園③
土御門は深呼吸をしたのち、語りを続けた。
「故人が怨霊になって取りついたであろうと定義するきっかけはある人物による」
「その人物は岩畔豪雄と云って昭和の初めの頃にスパイ養成学校造ったり、アメリカとの開戦回避の交渉をしたりした人なんだ。彼自身は昭和の終わり前には亡くなっている」
「岩畔の怨霊が取りついた可能性があった人を隔離して政府内で質問調査を繰り返した」
「彼しか知りえないであろう話がいくつかあって、日本政府やアメリカ政府の門外不出の資料とも一致した」
「まあこのことを以て怨霊はあるだろう、そしてとりついていることが発生しているだろうとされたんだよ。実際にその後も質問調査をすると一致することが殆どだしね」
「しばらくは怨霊に取りつかれた人々は各所施設で隔離することになった。とは云え隔離する一方では施設の数も持たないし、そのうち狂暴な怨霊も出現するのも見受けられるようになってきた。なかなかの問題さ。どう解決していこうかを試行錯誤するのはのちの話」
「一方、異能者の度重なる出現はどうしようかとなった。このまま街中にほっておくわけにいかないしね」
「こちらは怨霊と違って日常生活を支障なく普段は暮らせるも、能力のコントロールも効かない。人によっては自ら能力を開放して暴れるものもいた」
「年齢も十代しかいないし、世に何千人と出現してる訳でもないし。そこでだ。急遽だけど異能者を集める施設をこしらえた。そして学校として運営していくとうことにしたんだ」
「それがこの真保良学園さ」
土御門は更に話を続けようとしたが、1限目の終了を告げるチャイムが鳴り響いた。土御門はああ残念と呟き続きは今度と話を終え、教室を後にした。