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御霊憑依 ー高校生が怨霊を獲る物語ー  作者: ゆきむらまさむね
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真保良学園②

教壇の土御門(つちみかど)は続けた。


「そう、はじまりは令和に入って間もなくだった。当時はなにか突発的な興奮、意識障害、錯乱、幻覚などの神経症状に悩まされる人が多発してね」


「症状が狂犬病の傾向が見受けられたので、狂犬病でないにせよ何かのウイルスが発生したと考えられた。世間一般では新しいウイルスの発生と片付けることになった」


「とはいえ本当はそうじゃない。ここからが世の中で出てる話より深い話だ。君たちはここに通う経過で知ってきたことでもあるけどね」


「この現象にはウイルスとは違った症状が三つあった。一つは両目が朱くなる。まあこれ自体はそういうウイルスなんだろうと云える。問題は残り二つのほうさ」


「全員じゃないけど幾人かは昔のことをたどたどしく語るんだよ。昔といってもその人の幼少のころとかでない。生まれる以前のことでね。大体は数十年前から遠くて百年近く前のことだ」


「はじめは何かの集団催眠の類かとも検討されたが、それにしては個々の語りが別すぎてね。かつその昔の話が調べてみると合ってるのさ。なにか埋めた話なら掘ったら出てくるとかね」


「なにかしら昔の人の記憶を症状が出た人に継がれたということだよ。脳科学の見地からも検討されたがそんな綺麗に多数で伝播するのは可能と云えないとなった」


「そして残ったのが昔から伝わる『怨霊のとりつき』という考えでね。突拍子もないが説明自体は強引につく。ただし怨霊が本当にいるのかという事が議論の中心になった」


「時を同じくして『異能』と云われる人々も出没し始めた。こっちはもうハチャメチャさ。なんか気力みたいので物理攻撃できたり様々だからね」


土御門は話しているところに三葉(みつば)が割って入った。


「土御門先生はその『異能のはじまり』のひとりなんでしょう?」


「そうさ。僕の場合はある日突如目覚めたというか出たというか。。。しばらくは頭が混乱したよ」


土御門は笑いながら答えた。


「さて、この怨霊とりつきと異能者には共通点がある。ナタリーさん、なにかな?」


ナタリーと呼ばれた女子生徒は右手をビシッと挙げて元気よく答えた。


「年齢デス!」


「年齢は合ってるけどもう少し詳しく答えてみようか」


「この事象は十代しか出まセン」


土御門は正解!と言いながら柏手を打った。


「そうなんだよ。この事象はどちらも早くても十代前半に現れるも十代後半までには消えゆくんだ」


三葉が再び割って入った。


「でも土御門先生は二十歳を超えても異能者なんでしょう?」


土御門はてへへと照れ笑いしながら返した。


「そうなんだよ。なぜか僕は能力が消えなかった。そんな例は僕を含めて滅多にいない。レアものってことかな」


「まあ、ここまでの話を整理するとね『このウイルスもどきの事象は両目が朱くなる。それは怨霊がとりいたんじゃないか説』『同時期に異能者が複数出現する』『どちらも事象は十代しか出ない』という感じかな」


「それではどの様に怨霊だと定義できたのかに関する歴史を続けようか」


土御門の眼は凛凛と輝きを増していた。

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