真保良学園①
-都内某区-
高層ビル群が並ぶエリアから少し離れたところに全く異なる自然が溢れる景観が広がり、その奥にひっそりと校舎が立っていた。
築はまだ新しめで周りの緑あふれる様相からは浮いている。
校舎の前面には校門があり「真保良学園」と看板に書かれていた。
真保良と書いて まほら と読む。
真保良学園は異能な少年少女たちが集い学ぶ出動に備える特殊校である。
-真保良学園某教室-
教室には机と椅子がそれぞれ6つずつ。
4人が座っていて2つは空席。左中右で前後の計6席だ。ちょうど真ん中の前後が空席になっている。
対面には教壇と一人の男性がいた。
男性はハツラツとした笑顔で目の前に座っている4人に声をかけた。
「おはよう!みんな。さあ元気よく出席取るか」
左前にいる女子生徒が男性に問うた。
「土御門先生、いまこの教室に4人しか生徒いないんですけど出席いります?」
土御門と呼ばれた男性はA4サイズの出席簿を開きながら出席は大事だよと遮った。
「では出席とります!一番、葵さん」
先程出席不要を提案した女子生徒がはいと小声目で返事をした。
「次は二番、三葉さん」
左後にいる女子生徒がはい!と元気よく手を挙げて返事をした。
「では次は三番、夜叉くん」
土御門は座っていない真中前席をみるも返事はない。
「引きつづき四番、夢魔さん」
土御門の視線はもうひとつの空席である真中後をみるがこれまた返事はない。
「気を取り直して五番、将胤くん」
右前にいる将胤がはいと返事をした。
「最後に六番、ナタリーさん」
右後にいる女子生徒がにこやかな笑顔ではいと返事をした。
土御門は出席簿を閉じながら、夜叉くんと夢魔さんは転校先で長引いてるから公欠扱いだねとつぶやいた。
引きつづき土御門は目の前の生徒たちに語らいを続けた。
「じゃあ今日の授業はこのまま開始しましょう。一限目は歴史です。歴史と云っても令和になってから続く摩訶不思議な現象の歴史だけどね」