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御霊憑依 ー高校生が怨霊を獲る物語ー  作者: ゆきむらまさむね
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三葉とナタリー

-福島県某市-


見渡す限りの草原。はるか向こうには山がみえる。空は雲一つなく、実に晴れ晴れとしたのどかな光景。


そのど真ん中で一人の男が疾風の如く、走り抜けている。


両目は真っ赤で必死な形相で突っ切っていた。男は怨霊に取りつかれている。


そのはるか後ろを二人の女子生徒がパタパタと並走して追いかけていた。


左が三葉(みつば)、右がナタリーである。二人とも真保良学園の生徒であり、文科省特務局の職員でもある。


三葉がナタリーに走りながら声がけた。


「ナタリー、これじゃあいつまでも追いつかないよ。むしろ離れていく一方じゃん」


「三葉。距離縮めるから。ほら行くよ」


そう言いながらナタリーは三葉へ手を差し伸べ、三葉はその手をがっちり掴んだ。その刹那二人は消えた。


消えたはずの二人は駆け抜けている怨霊の手前に瞬時に現れた。


―テレポーテーションー


自分自身を離れた場所に瞬間的に移動する能力。ナタリーの『異能力』であった。


怨霊は急激にブレーキをかけ、ヨロ付きながら止まった。口からはウウという唸り声が洩れていた。


ひるんでいる怨霊に対峙して三葉が立ちはだかった。


「追いかけっこは終わりにしましょう」


いうやいなや三葉は詠唱し始め、左手から折り紙のようなモノを発現させた。


そして、左手で投球するように振りかざして、そのモノを怨霊に向けて投げ出した。三葉の手を離れるや矢の如く放たれ、怨霊の左胸を貫通した。


そのまま折り紙のようなモノは白い塊をくっつけたまま旋回して三葉の左手へと戻ってきた。


―式神―


三葉の『異能力』である。霊力を込めた和紙を式神として三葉が操ることができる。


三葉はアルミ筒の様なものにその白い塊を閉まった。そしてタブレットを操作しながら話し始めた。


「彼はカズヌーヴという名前で、幕末の徳川幕府にフランス軍事顧問団として来たみたい」


「フランスからですか。わざわざ大変ですね」


「でもナタリーも留学生で大変じゃないの」


「今と昔じゃ大変さ違いますよ」


「カズヌーヴはフランスから連れてきた軍用馬の飼育調教の指導係として来日したみたいだけど、明治政府になって馬たちがバラバラに私物化されてしまったみたい。再度集めて飼育や繁殖をしようとした最中、この地で亡くなったぽい」


―ずっと馬のことが気になっていたのかなー


三葉はしみじみとタブレットを見ながら呟いた。

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