4-9 大波乱の舞踏会⑥
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エドワードがルイーズの背中に腕を回し、2人が歩き始めたときだ。
恐縮しきりの衛兵が、壇上へ駆け寄るや否や、首を垂らし片膝を床に付くと、震える声で報告する。
「ご歓談中に大変申し訳ありません。スペンサー侯爵家の方々に事実確認をお願いしたく、急ぎ報告に参りました」
「……?」
ここにいる4人は、全員、目をパチパチさせており、何故、このような場に衛兵が来たのかと困惑しかない。
緊張で震える衛兵も、壇上まで登る気はなかったが、最終手段としてここまで来たのだ。
衛兵は、宰相へ声を掛けようと30分近く様子を見ていたが、宰相は一向に陛下の元を離れる気配はない。
そうなれば、無礼と承知しながらも、エドワードとルイーズが動きだしたタイミングであれば、陛下の話を遮ることは、ないだろうと判断したのだ。
「なんだ⁉ 陛下の前だぞ」
陛下の前で個人的な話を切り出す衛兵に、宰相は目をつり上げ叱責した。
「はっはい。承知しております。ですが、騒ぎを起こしている者がスペンサー侯爵家に関係しているようでして……」
「スペンサー侯爵家」と名前を出されたが、宰相には、この場で声を掛けられる用件に、全く思い当たる節はない。だが、陛下の前で不必要に会話を広げる気も、さらさらない。
そのため、不承不承ながらも陛下へ「少し席を外します」と声を掛けた。
衛兵は、宰相がエドワードの横に来たのを見てから、立ち上がった。
「問題の人物は、会場の外におりますので、ご案内いたします」
「そうか、ではエドワード……、行くとしようか」
と言った宰相は、エドワードの半歩ばかり前を歩く。
「ったく、誰だよ。俺は帰りたいんだよ」
あからさまに機嫌の悪いスペンサー侯爵家の親子は、嫌々ながらも向かい始めた。
そして、ルイーズもエドワードに付いていくしかない。
スペンサー侯爵家の2人を案内する衛兵は、数メートル移動しただけで立ち止まり、困惑の表情に変わる。
問題の人物へ「現場で待つよう」伝えていたにもかかわらず、勝手に会場の中まで来ていたのだ。
だが、その当人も、スペンサー侯爵家の人間だけを連れて来られても「話にならない」と思い、会場でルイーズを探していた。
ルイーズの瞳には、見覚えのある青いドレスを着た人物の背中が映る。
(まずい。こんなところに姉がいる。どこかへ行ってくれないかな)
そう念じるルイーズは、怖くなり体が冷え切っていた。
「外で待っているように伝えたのですが、今あちらに来ているようです……」
衛兵が姉のミラベルを指さした。
それを聞いたルイーズは、白目を剥いて、のけ反りそうになる。
姉は通りすがりではなく、渦中の人物だったのだ。
ルイーズには、確かに思い当たる節はある。
……やはり、姉があのドレスを着ているのは相当にまずかったのだと自分を責め、動揺で唇がかすかに震え始める。
「問題を起こしていた令嬢が、スペンサー侯爵家の宝飾品を身に着けていました。聞き正せば妹から借りた物らしいのですが、それはウソだと言う人物もおり、令嬢の言葉が事実なのか確かめていただきたくて」
(はぁっ? 問題はドレスじゃないの? まさかの宝石? 妹って、わたしのことよね。そんなの全く知らないわよ……。確かめるも何もないでしょう)
それを聞いたルイーズの頭の中は大混乱を起こし、首を真下に向けるほど項垂れた。
自分の婚約者の物を盗む、恥ずかし過ぎる身内の不祥事に、ルイーズは耳を疑うしかなかった。
(ミラベルはわたしの姉だと言い張って、無理やりスペンサー侯爵邸で借りたのかしら……。青いドレスだって、わたしが貸したわけじゃない。何度も駄目だと言ったのに、姉が聞き入れないからでしょう。だから、お継母様にも伝えたのに)
早く帰りたいエドワードは、チラリとルイーズを見た。
その視線に気付いたルイーズは、黙っていては駄目だと理解し、自分が知っていることを静かに話し始めた。
「わたしに見覚えがあるのは、あの青いドレスだけです。それ以外は全く心当たりもありません」
その声に反応し、振り返ったミラベル。
ルイーズが何かを話ていることに気付いたが、聞き取れなかった姉は、ルイーズへ向かって、ゆっくりと近づいて来る。
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