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◆完結◆突然の変わり身「俺に惚れるな」と、言っていたのは誰ですか⁉ ~猫かぶり令嬢は、素性を隠した俺様令息に溺愛される~  作者: 瑞貴
第4章 祝福されるふたり

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4-6 大波乱の舞踏会③

 舞踏会へ向かうスペンサー侯爵家の広々とした馬車の中。舞踏会で怪しい動きをしそうなルイーズに、エドワードは真面目な口調で(くぎ)を刺さしている。

 この舞踏会、エドワードにとっては最後まで懸念を残したままになっているのだ。

 問題を起こさず、ルイーズを屋敷へ連れて帰るため、他のことで気を取られたくなかった。


「そういえば、ルイーズの前にモーガン(元婚約者)は訪ねて来なかったか?」


「ん? あれ、エドワードはモーガンと知り合いだったの? わたしは、婚約を解消した日から彼の姿は見ていないわね」


「それなら良かった。そうだっ。今日の舞踏会は、前にルイーズがパトリシア嬢へ適当にダンスの返事をしたままなんだ。パトリシア嬢が俺に近づいてきても、俺を売るなよ。今日はルイーズから離れるつもりはないから手袋を持ってきていない。本気で無理だ」


「まかせてちょうだい。余計なことを言わないのは得意だから」


 そう言い張ったルイーズを、エドワードは白い目で見ている。

「はぁーっ、ルイーズが余計なことを言ったから、こんな心配をしているんだろう」


「おかしいわね」

 そう言ったルイーズは、何故そうしたのか思い出せずに、首をかしげる。


 ルイーズと2人きりで過ごしたいエドワード。遠回りをして、舞踏会の開始時刻を少し過ぎたころに到着するよう、御者へ指示していた。


 ……が、いよいよ王宮の前に馬車は静かに停車し、扉が開けられた。


 エドワードに手を取られ到着した王宮の扉の前。

 一度立ち止まった2人は顔を見合わせると、「行くぞ」と同時にうなずいてから会場へ入る。

 すると、会場中の視線が一気に自分たちへ集まった。


 一体何がどうなっている? と理解が追い付かないルイーズは、目をパチクリさせ動揺を隠せない。

 前回までは、誰からも視線を向けられることなく、そそくさと壁際の立食ブースへ向かていたルイーズ。


 わけも分からず横を見れば、エドワードは、至って当然だろうという顔をした。


 何故なら、エドワードは「今日の舞踏会は婚約者を同伴する」と触れ回っていたのだ。

 以前、エドワードの父から言われた、「あちらは、どんな反応をするか」と言った人物を、エドワードは何とかする予定だったのだが、敵は思った以上に強情で納得する気配はない。

 こうなれば、世間に自分とルイーズの関係を見せつけ、無理やり承諾させる手に出たのだ。


 噂を広げたエドワードは、自分の婚約者の名前を告げたところで、大半の人間は顔も名前も知らないだろうし、不要にルイーズを詮索されるのが不愉快に思え、パートナーが誰なのか明かしていなかった。


 お陰でエドワードの登場は、今日1番の注目の的になっているが、それをルイーズが知らなかっただけだ。


 しかし、視線の中に悪意が混じる気配を感じたエドワードは、周囲を気にし始め、その人物から離れるように会場の奥へと進む。


 エドワードが婚約者の名前を告げなかったことで、さまざまな憶測が飛び交っていた。

 大半の人物は、レベッカ王女との婚約だと思っているのに、何故か肝心の王室が公表しないのだ。

 ならばどこかの令嬢かと思いきや、どこの家もそれらしき反応はない。


 実際、レベッカ王女はこの舞踏会の数時間前まで、エドワードの相手は自分だと勘違いをしていた。


 エドワードからの申し出を待たされた詫びに、国王へ頼んで、サプライズを仕掛けたと思い込んでいたのだから。贔屓(ひいき)にする仕立て屋でドレスを注文すれば、エドワードもドレスを頼んでいることを知り、突然届くドレスを楽しみにしていたのだ。

 

 それなのに、エドワードの横に見たことのない令嬢が豪華なドレスを(まと)い並んでいる。

 そのプラチナブロンドの髪が美しく輝く令嬢は、エドワードに親密そうに寄り添っているのだ。


 レベッカ王女は当然、その令嬢の正体は分からないが、会場の参加者の中にちらほらと、正体に気付く者が現れ始める。


「あれって、もしかして、エドワード様といつも一緒に訓練していた、あの子じゃない?」

「えーっ、あんなに綺麗(きれい)な子じゃなかったでしょう」

「見てよ、あのドレス……」

「それよりも、ネックレスの方が、もっとすごいものじゃない」

 ヒソヒソと、ルイーズの話題が会場に広がり始める。


 今まで目立たなかったルイーズが、以前より少し女性らしい姿で、エドワードの横で堂々と並び立っているのだ。


 彼女の美しさに目を見張り、悔しそうにしているのは、左目を眼帯で覆ったモーガンだ。

(これが、あのルイーズなのか……。あいつは、こんなに綺麗だったか……信じられない……。それにしても、エドワード様が、お気に入りだと言ったのは本当だったのか)


 ルイーズは、チクチクと刺さる視線と、あちこちから聞こえるヒソヒソ話に、居心地の悪さを感じて、なんだか落ち着かず、エドワードにしがみ付くように腕を組んでいる。


「ねえ、なんだかわたし、会場中の人たちに見られている気がするけど、どこか変なのかな?」

「まさか。俺が仕立屋の女店主の餌食にされながら選んだドレスだぞ、よく似合っていて綺麗だ。きっと、ルイーズのことが羨ましくて、見ているんだろうさ」


「うらやましいって、わたしなんかを?」

「今日、一番気になる存在だろうな。訳あって、俺がそう仕向けた」

「ねぇ……。王女様とのことは知っていたけど、もしかして、エドワードって、やっぱり、すごい有名人だったの……」


「今頃気付いたのか? 陛下の側近や宰相の近くに部屋があるから色々噂されているし、面倒だから話を合せているからな。ルイーズは今まで、この舞踏会で何を見ていたんだ?」


「そりゃー当然、立食ブースのおいしそうな料理に決まっているでしょう。周りのことなんて、よく分からないわよ」

 舞踏会では「隠れていろ」と伯爵夫人から命じられていたルイーズは、胸を張って言い切った。


「食い意地を張っているから、社交界の情報に取り残されるんだ。こらっ、恨めしそうにそっちを見るな! 舞踏会の料理にガッついているのは、ルイーズ以外いないだろう」

 立食ブースを目で追っているルイーズを見て、エドワードがくつくつと笑い出す。


「だって、もったいないじゃない、せっかく誰かが作ってくれた料理なのに誰も食べないなんて。とってもおいしいのよ、……食べるのはわたしなんだし、ねっ」

「駄目だ。俺は帰りの馬車を、ずっと楽しみにしていたんだ」

「何を?」


 誰かが自分の元へ向かってくる気配を感じたエドワードは、ちらりと横を見た。

「……っ、ルイーズ、俺を売るなよ」

 

 2人の世界で盛り上がっているところ、エドワードは、レベッカ王女が近づいてくることに気付き、深いため息をついたあと、緊張した面持ちに変わった。

 レベッカ王女の顔は「2人に文句がある」と、物語っている。



 やはりこの国の王女、美しいカーテシーを披露し、堂々たる登場は少しの遠慮もない。


「ごきげんようエドワード……。あなたが婚約したとは、知らなかったわ」

 と、威厳たっぷりに言い切った。


「そうでしたか、陛下には報告していたのですが。こちらが婚約者のフォスター伯爵家のルイーズです、以後お見知りおきを」

 そう言ったエドワードから、ルイーズは王女へ紹介され、精いっぱいの礼をしたのだが、そのぎこちない所作を見て、王女は顔を(ゆが)ませる。


 何故、こんな礼儀作法さえ子どものような令嬢とエドワードが婚約するのかと、敵意剥き出しにルイーズを見下す。



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