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◆完結◆突然の変わり身「俺に惚れるな」と、言っていたのは誰ですか⁉ ~猫かぶり令嬢は、素性を隠した俺様令息に溺愛される~  作者: 瑞貴
第3章 離れたふたり

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3-9 すれ違うふたり②

ブックマークと評価、いいね! を頂き、ありがとうございます。

とても嬉しいです。

 エドワードの気を引きたいパトリシア。

 彼女は、エドワードの視線の先にルイーズがいることに気付いてしまったのだ。

 でも、それくらいで遠慮する訳にはいかないと、彼へ熱い視線を送る。


 ……それなのにエドワードは、真横にいるパトリシアへ見向きもせずに、寂しそうな顔で、ずっとルイーズを見ているのだ。

 こうしてはいられないと、彼に問い掛けた。


「エドワード様はルイーズ様がお好きなのですか? もしかして、今日もこの後に何かご予定でもあるのですか?」

「いや、そんなわけはないし、……予定もない」

「あぁ良かったわ。そうなのですね」

 ホッと胸をなでおろす。

 よし、特別に見えたルイーズだって、何ら自分と変わらないと分かり、うれしそうにエドワードへ笑いかける。


 可憐(かれん)なパトリシアの笑顔。これにルイーズは引き込まれていたが、彼の気持ちが揺らぐ様子は見られず、眉間にしわを寄せている。


(ルイーズを好きって……、まさか、そんなことはないだろう。あんな口が悪くて何も知らないのに生意気な女。何も言わずに訓練をサボるから、俺が何時間ルイーズを心配したと思っているんだよ、ったく。……でも、本当にあいつは、こんな所で何をしていたんだ?)


 もう一度、エドワードは彼女を見ようと、ルイーズを探すが、姿が見えず周囲を見渡すが、既にいなくなった後だった。

 パトリシアと言葉を交わした極わずかな時間。彼が目を離しただけで彼女が消えてしまい、残念そうに目を伏せる。



 ……その、ほんの少し前。

 宿代もない長旅。ルイーズは流石に恐怖心を抱いたのだ。

「そうだ、そんなことなら娼館(しょうかん)の方がましだ」と思いついた。

「継母に無理やり売られてしまうより、自分の足で扉をたたいた方が、まともに暮らせる気がする」

 その結論にうなずいたルイーズは、すくっと立ち上がった。


 目をギラギラと輝かせる男性。この人は、好き者っぽいし、娼館の場所を知っている気がする。

 聞くならこの人だ!

 そう意を決して「娼館に行きたい。全然分からないので、詳しく教えて欲しい」と問い掛ける。そう伝えれば、地図を描いてくれるとルイーズは期待したのだ。


 にやりと笑う見ず知らずの大男。まさか、若い娘、それも生娘が堂々と誘ってきたのだ。前代未聞の大チャンス。


 ドキドキするルイーズは、瞳を潤ませ答えをひたすら待っていた。

 だが、好き者と目星を付けた男が、舐め回すように全身を見てくる。……どうも、危ない空気が漂う。


(これって……もしかして……。とってもまずいかもしれない……)

 ルイーズがそう思っていると、手をつなごうとしてきた大男。


 ギョッとしたルイーズは、走って逃げていた。


 まさか、ルイーズがそんなことになっているとは、エドワードは知らないままだ。


 エドワードとパトリシアは30分店の外で並んでから入店していた。

 彼は、この後に王宮で仕事するつもりだ。この時点で既に時間が気にかかり、ちらりと懐中時計を見る。時刻は間もなく11時30分。

 額に手をやる彼は、冷ややかな目でパトリシアを見ている。


「どうしてここへ? ケーキであれば並ばなくても、他でも食べられるでしょう」

「人気店に行ったと言えば、お茶会で自慢できるでしょう」

「ふ~ん、そういうもんですかね」

(わざわざこんなことを自慢……。令嬢の気持ちは、よく分からんな)

 そう思っているエドワードは、形式上頼んだだけのお茶に口を付けることもない。


「エドワード様はお茶だけでいいのですか? わたしの頼んだリンゴのケーキ1口どうぞ」

 そう言い切る前から、エドワードの目の前までフォークに乗ったケーキを差し出すパトリシア。


 先日パトリシアは、ルイーズが自分から腕を組んでいるのを見ていた。

 パトリシアはその行為を令嬢がしていいのかと、顔をしかめて見ていたのだが、それなのにエドワードは嫌がる様子もなく受け入れていた。むしろ楽しそうに。

 そのため、エドワードには、これくらいしなければ距離が縮まらないと思っている。


 珍しく、口をあわあわと動かしエドワードは激しく動揺する。

 エドワードの口の直前まで迫っていたリンゴを見て、身の危険を感じたエドワードは、それを隠すのを諦めた。


「悪い。俺、リンゴはアレルギーで食べられないから」

「あっ、そうだったんですね。知らずに申し訳ありません、わたしったら……」

「いえ、屋敷の人間と極一部の者しか知らない話ですから当然でしょう」

「もしかして、ルイーズ様も知らないのですか?」

「ああ、ルイーズに伝えたことはないな」


(ルイーズと入れ替わったときも、間違って食べないように、食事は俺が注文していたしな)


「それをわたしが知っているなんて、うれしいわ。今度、ルイーズ様に会ったら自慢しようかしら」


 それを聞き、エドワードの気遣いが消えつつあり、声色に冷酷さがにじむ。


「別にルイーズだったら伝えても構わないけど……。でも、人があえて話していないことを、平然と誰かに話すのは、どうかと思うけど」


「あっ、申し訳ありません。ルイーズ様が知らないと聞いて、つい浮かれてしまいました……」

「……」


(ルイーズだったら、絶対にしないんだろうな。なんだって、こんなにあいつのことばかり考えているんだ)

 

 2人の間には沈黙が続く。

 焦るエドワードは、パトリシアが食べ終わるや否や店を後にする。



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