表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆完結◆突然の変わり身「俺に惚れるな」と、言っていたのは誰ですか⁉ ~猫かぶり令嬢は、素性を隠した俺様令息に溺愛される~  作者: 瑞貴
第3章 離れたふたり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/89

3-4 姉と元婚約者の揉め事

 ルイーズが訓練中に負傷した翌日。

 ルイーズのことが気になるにエドワードは、無意識ではあるが、いつもの時間より早く屋敷を出ていた。


 だが、いつもの時間になっても、ルイーズは騎士の訓練に現れない。エドワードはベンチに腰掛け、じっと独りでルイーズが来るのを待っている。

 しばらく待っていたが、2時間経った時点で踏ん切りを付け、ゆっくりと重い腰を上げた。


 これまでもルイーズが休んだことは何度もあったのだ。「今日、ルイーズは来ない」と結論付け、訓練場を後にした。


 ルイーズに会えるのを昨夜から楽しみにしていたエドワードは、訓練場に入ったときとは別人のような暗い顔である。


 そこから出た直後。訓練場の外にいたパトリシアから声を掛けられた。

 まだ幼さも残り、清楚(せいそ)でかわいらしいパトリシア伯爵令嬢は、今年、社交界デビューをする令嬢の中で一番の注目を浴びており、そんな自分の噂は承知済みである。


「ごきげんよう、エドワード様」

「ああ、パトリシア嬢……」

「あの、お父様から何か伺っていませんか?」

「……あー、ビリング侯爵とうちの父が、約束した件ですか」

「はい。ルイーズ様と出掛けていたように、わたしともデートをしてくれませんか?」


 彼なりに精いっぱい気をつかって会話をしているが、今のエドワードは到底笑う気にはなれない。彼の頭の中は、ルイーズのことが気になり、どうすべきなのか悩んでいる。

 それと同時に、エドワードは国王のことも心配していた。

 この入れ替わりの最中。エドワードは何度も陛下の側近を見ては、逃げ続けていたのだから。

 そんな彼が、パトリシアに作り笑いを向ける余裕は、少しもなかった。


「デートですか……。確かに父から聞いていましたが、急に今日と言われても俺にも都合がありますから。もし、明日の訓練にルイーズが今日のように来なければ、昼までなら。それ以外は忙しいから無理ですね」

 デートと言われてしまえば、彼は思わせぶりな態度を取る気もなく、存分にそっけなかった。


 少し考えているようなパトリシア。エドワードは、ルイーズとは午後に出掛けていたのを知っているから面白くない。それでも、頬笑んで会話を続けた。

「そうですか……。分かりました。明日もわたし、ここへ来ますね」

「ちなみに、どこか行きたい所でもあるんですか?」

「新しくできたケーキ屋さん。人気があって並んでいるかもしれないけど行ってみたんです。リンゴのケーキがとてもおいしくて話題なんですよ」


「はぁ~。そうですか、取りあえず分かりました。『ルイーズが来なければ』ですから、あまり期待しないでください」


(明日はルイーズも来るだろうし、関係ないか。それにしても、並んでまでケーキを食うって、そんな話があるのか。令嬢の気持ちはよく分からんな)


 そう思いながらエドワードは、しばらく顔を見ていなかった陛下の元へ向かっていた。


***


 一方その頃。

 ルイーズの姉ミラベルの部屋では、姉に呼び出されたモーガンが、姉ともめていた。


「わたし、妊娠していなかったし、あなたとは結婚しなくて済んだわ」

「あっそう、それは助かった。僕もミラベルのような性悪な女は願い下げだ。ルイーズの方が断然かわいげがあって良かったよ」

「あ~ら、そう。じゃあルイーズの方に戻ればいいじゃない。ふんっ、でも残念ね、あの子は騎士になるのは、もう辞めたそうよ。あなたのご期待には沿えないでしょうけど、今日から訓練に行っていないから、部屋にいるんじゃないかしら、キャハハ」


 その言葉に逆上したモーガンは、激昂(げっこう)して、姉の胸ぐらをつかんだ。


「俺の安泰の計画が丸つぶれになったのは、性悪女、お前のせいだぞっ! お前が、ぎゃぁぎゃぁと喚かなければ、上手くいってたんだ。どうしてくれるんだっ」

 そう言うと、モーガンはミラベルの胸ぐらをグッとつかんだ。


「っ、くっ苦しいわよ、離して」

 首元がつまり、息が苦しくなった姉は青ざめながらも辺りを見回している。

 必死に逃げようとするミラベルの視界に、ガーベラが生けてある一輪挿しが目に付いた。

 すると彼女は、モーガンに気付かれないようにそっと、左腕をブルブルと震わせながら棚まで伸ばし、人差し指の先端がかすかに一輪挿しに触れた。


 残念ながら姉の腕では届かない……。そう思われた、そのとき。


 ハッとしたモーガンが力を抜いたため、姉は閉じかけた手を開き、ガッと一輪挿しを握り締めた。そして、怒りの感情のまま、モーガンの頭を全力で殴りつけたのだ。


 姉が一輪挿しで殴った勢いは止まらず、彼の前頭部で割れた花瓶は、まるでナイフのように(とが)ったまま、左目まで流れるように振り下ろされた。


 額の上から血がにじむ。それよりも彼が焼けるような痛みを感じたのは左目だ。


「目っ、目がっ」

 そう叫ぶと、左目を両手で抑えながら姉の部屋を走って出ていった。


 自分勝手なモーガンが、一目散に向かった先は、噂に聞く王宮のヒーラーの元である。



少しでも先が気になる、面白いなど、気に入っていただけましたら、ブックマーク登録や☆評価等でお知らせいただけると嬉しいです。読者様の温かい応援が、執筆活動の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ