2-15 憤慨する姉
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スペンサー侯爵家の馬車で、伯爵家へ送り届けられたエドワードは、自分の帰りを待ち構える伯爵夫人の姿におののき、一歩後ずさる。
(ゲッ、なんだこの圧力は……。俺に用事があるんだよな……)
「流石は泥棒猫の娘ね。次々と男を引っかけて来るんだもの。まさかお前が、スペンサー侯爵家のエドワード様に取り入るとは思ってもいなかったけど。今日届いた、エドワード様からの贈り物は部屋に運んであるわ」
「ああ、そう、……助かります」
既にエドワードの足は部屋へ向かっており、その背中に、伯爵夫人が力強く脅しをかけてきた。
「絶対に、逃がすんじゃないわよ」
返事もしないまま歩き続けていたエドワードの表情は硬い。
(泥棒猫って、ルイーズはあの夫人の娘ではないのか……。どうりでな、おかしな家族関係の理由はそれか。
もし俺たちの体がこのままなら、エドワードからルイーズへ、婚約を願う書面を送るつもりだ。
俺が、男に、それもカーティスに抱かれるなど、まっぴらごめんだからな。
だが、それは戻れなかったときだ。
自分の体に戻ったら、選択肢は違うだろう。
あえてフォスター伯爵家のルイーズと婚姻を交わす理由は、……少しもないな。
取りあえず、俺がルイーズに興味を持っていると思えば、この家の当主も迂闊な縁談に食いつかないだろう)
部屋へ戻った彼が届いた品々の確認を始めると、宝石の付いた装飾品が全て消え失せていた。それに気付いたエドワードの、顔つきが一瞬で変わる。
エドワードの中では、何も言わないルイーズへの贈り物で、冷たいことを言った詫びでもあった。
信用のおける彼女のために盗難対策まで施したにもかかわらず、それをルイーズが手にする前になくなっているのだ。
頭に血が上ったエドワードは、すぐさま姉の部屋に向かおうとしたが、その姉自らルイーズの部屋を訪ねてきた。
「ちょっとルイーズ。あんた本当に調子に乗っているわね。エドワード様から、あんたなんかに贈り物って、弱みでも握って何かしたの?」
「弱みっ……。お前に言われたくはない」
「ちょっと生意気ね。今、お前って言ったわね。姉に向かってなんて口を利いているの!」
ルイーズの頬をたたきかけた姉の手首を、エドワードは、ガシッとつかんだ。いつもは抵抗しないルイーズが反抗し、姉の眼光に鋭さが増す。
だが、それくらいで動じるエドワードではなかった。
「妹のものを盗むやつに言っているんだ。ルイーズのために贈った、ネックレスに、イヤリング、指輪、宝石の付いたもの全てが無くなっている」
「あんたの勘違いでしょう。買ってもらったと思って、結局ケチられたんでしょう」
「はぁぁーっ、そんなことはない」
「エドワード様にとって、あんたはその程度だってことよ。あっ、それから聞いて。わたし妊娠していなかったから、めでたくモーガンとは結婚しなくなりました~。言ってたとおり、あんたに返してあげるから喜んで。ちょっと、わたしの手をいい加減に離しなさいよ」
姉の言葉に放心するエドワードの隙を突いて、ミラベルは手の拘束をといた。
「男を返す? お前は馬鹿か」
「エドワード様と少し親しくしているからって、本当に生意気。そのうちモーガンが、あんたの所にいくんじゃないかしら。良かったわね」
そう言い放つと、姉はプリプリ怒りながら部屋を後にした。
(あの馬鹿男が来たら、俺が追い返しておけばいいか)
そう思っている彼の前へ、モーガンは言い寄ってくることはないけれど――。
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