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◆完結◆突然の変わり身「俺に惚れるな」と、言っていたのは誰ですか⁉ ~猫かぶり令嬢は、素性を隠した俺様令息に溺愛される~  作者: 瑞貴
2章 入れ替わりのふたり

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2-10 予期せぬライバルの登場

 訓練の終了を知らせる笛の音が響いた。それを聞いたエドワードとルイーズは、顔を見合わせうなずくと、すぐさま休憩室へ戻っていった。


 ルイーズのロッカーから荷物を持ったエドワード(ルイーズの体)が、ルイーズ(エドワードの体)の元へ向かおうとすれば、突然目の前に立つカーティスに道を塞がれた。


 危なくぶつかるところだ。何事だと、エドワードはカーティス(公爵家三男)に嫌な顔を向けそうになるが、それはグッとこらえた。


「ルイーズ嬢、訓練中ずっとエドワードと何を話していたの? エドワードが随分とルイーズ嬢のことを(にら)んでいたし、押さえつけているようだったけど、何か脅されているの?」


「えっ。お、エドワードが脅すって。それはない」

 またしても、エドワードの名前が出てきて、うろたえるエドワード(ルイーズの体)。それも、自分が令嬢を脅しているとは、全く持って聞き捨てならない。思わぬ誤解に激しく動揺している。 


「さっきは舞踏会のパートナーに誘うだけで話を終えたけど、僕はルイーズ嬢と婚約を考えている。正式にブラウン公爵家から、フォスター伯爵家に申し込もうと思う」


 少し前まで戸惑っていたエドワード(ルイーズの体)は、その言葉を聞いて、「ふぅ~っ」と、呼吸を整える。そして、数拍置いてから冷静に話し始めた。


「いや。エドワードから申し込みを受けたので断る」

「えっ。朝までは、エドワードのことを否定していたのに、どうして急に……」


「さっきの訓練中に、そうなった。申し訳ない、急いでいるから」

 そう言って、カーティスの横をすり抜け、急いでルイーズ(エドワードの体)の元へ向かう。

 ルイーズ(エドワードの体)の横に並ぶと同時に、ルイーズへ頼み事をする。その声は冷静だが、作り笑いを浮かべていた。


「後ろにいるカーティスを見てから、すぐに前を向け。絶対に笑うなよ」

「えっ?」

 思わず聞き返そうとしたルイーズは、全く意味が分からない。

 ……けれど、エドワードの張り詰めた声に何かある、と何も言わず大人しく従うことにした。


 ルイーズ(エドワードの体)が振り返れば、ルイーズ(中はエドワード)の姿を目で追っていた、カーティスと自然に目が合う。振り向いたところで、やはり何のことやら分からず頭の中に疑問符が浮かぶだけだ。


 だが、エドワードの狙いは達成である。視線に気付いたエドワードが、自分を牽制(けんせい)した。そう捉えたカーティスは、下を向いた。


 訳の分からないルイーズは、前を向いてから、エドワードに問いかける。


「どっ、どういうこと?」

「後で説明する。いいから俺の屋敷へ急いで帰るぞ」

 そう言って、エドワード(ルイーズの体)は、ルイーズ(エドワードの体)の腕を組むと歩き出した。


 訓練場から2人で寄り添って出てきた2人。まるで恋人同士にしか見えない。それを見た女豹(めひょう)の群れから悲鳴が上がっていた。


 その2人の関係を、気にもせず声を掛けてきたのはパトリシア侯爵令嬢だった。


「やっぱり2人は仲良しなのね。良かったらこのまま3人で出掛けませんか?」

 エドワードの姿を見ながら、話し掛けるパトリシア。


 ルイーズ(エドワードの体)は、自分より爵位が上の人間に言われてしまい、断れる気がしない。どうすべきかと固まっている。

 それに気付いた、エドワード(ルイーズの体)に肘で小突かれると、慌てて口を開く。


「あっ、今日は2人で出掛ける予定なので申し訳ありません、それでは」

「そうなのですね……。では、舞踏会でお願いします」



 満足そうな顔をしているルイーズは、危機を脱したと安心している。

 そして今。エドワードと2人きりのスペンサー侯爵家の馬車に乗り込んだ。彼と2人なら何の気兼ねも要らないと、完全に気が抜けた。


 馬車の中で、何か()に落ちていないエドワード(ルイーズの顔)は、難しい顔をしている。


「なあ、さっきパトリシア嬢が言っていた、舞踏会って、次の王家主催の舞踏会だよな。俺、何を頼まれていたか全く思い出せないが、お前が何か言ったのか?」


「そうよ、『一緒に踊って』だって。だから、その当日に声を掛けてと伝えたわ」


「はぁぁーっ。お前っ、断れよ!」

「そのときまでに自分の体に戻っていなかったら、男性パートなんて踊れないから、欠席するわよ」

 額に手をやるエドワード(ルイーズの体)は、心底(あき)れている。


「……馬鹿だな、その舞踏会は休めない。考えたら分からんか? 王家主催の舞踏会や夜会は貴族籍の人間は全員参加、それくらい常識だ。だからお前も参加する予定なんだろう」


 ひゅっと息を吸うルイーズ(エドワードの体)。正直なところ、自分は父の命令に従っているだけで、そんな事情は知らなかったのだ。


「えー、どうしよう。わたし……、もしかして自分で自分の首を絞めているの?」

 泣きそうな顔で、エドワードにすがりつくルイーズ。実際に、ギュウギュウつかんでいる腕は、ルイーズ自身の体だが。


「やっと気付いたか。俺の体で適当なことを言うな。ほら屋敷に着いたから降りろ!」



 ルイーズにエスコートされて、馬車から降りてくるエドワード。

 ……それを間近で侯爵家の御者は見ていた。

 この家のお坊ちゃんが、令嬢にエスコートされている……。


 不思議な2人が、スペンサー侯爵家の屋敷へ帰ってきていた。


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