2-5 エドワードとルイーズの弟
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エドワードがルイーズの部屋へ戻ろうとしたときだ。弟のアランが廊下で声を掛けてきた。
「姉上、勉強を教えてくれませんか? ここが分からなくて」
そう言って、真剣な表情でノートとペンを差し出す弟。
考える間もなくエドワードは、それを受け取った。だが、ルイーズから弟の勉強を見てくれと頼まれていたものの、正直なところ、子どもの相手に慣れておらず、あまり乗り気ではない。
それに、この家にはルイーズよりしっかりした姉がいる。それならそちらに聞くべきだろう。
そう思うエドワードは、さらりと受け流した
「ミラベルに聞けばいいだろう」
それを聞いたアランは即座に青ざめる。
……これは、いつものルイーズではない。別人だ。
姉の不審すぎる言動に恐れをなして1歩後ずさった。
「ミラベル姉上に聞いても勉強なんて分かるわけがないのに、姉上、一体どうしたんですか? 1週間以上高熱が出ていたせいで、まだ意識が混乱しているのでしょうか……。それなら、また出直します」
意味不明な返答に驚くエドワードは、そのまま固まってしまう。
エドワードは目を見開いて弟アランを凝視するが、どう見ても、冗談を言っているようには見えない。
(ルイーズの婚約者だった男は、姉はしっかり者だと、言っていただろう。それなのに、この弟がミラベルを全く頼っていないのは、どういうことだ?
それに、あいつが休んでいたのは本当に体調が悪かったのか。なんか、悪いことをしたな)
罪悪感を抱くエドワードは、立ち去ろうとしていた弟のシャツの背中を慌てて掴み静止させた。
「待て待て。分かったから、教えてやるよ」
「ありがとう姉上。でも今日は随分と男っぽい話し方をしていますが、騎士の訓練の影響ですか?」
「いつもと大して変わらんだろう」
「いや、いつもと違うけど、まあいいや」
頭をポリポリとかきながら、弟が分からないと言っていた勉強を、エドワードはその場で教える。
うんうんと、しきりにうなずく弟だけど、いつもより断然に分かりやすい説明に違和感を覚えた
「そういうことだったのか。あとは僕、自分で考えてみる。また分からなくなったら聞きますね。なんかやっぱり今日の姉上はいつもと違うけど……。姉上だったら、またいい人がすぐに見つかるから元気を出して、じゃあね」
「おい待て、今日リンゴをもらったから分けてやる」
そう言ってアランを部屋に招き、いくつかリンゴを分けてあげたエドワード。
「こんなにいいのですか? 姉上が食べた方がいいですよ。僕は1個でいいですから。この前だって、チョコレートをもらったばかりなのに、いつも僕を気遣ってくれてありがとう」
弟は受け取ったリンゴの内1個だけを持ち、他は机に置いて立ち去っていた。
(ルイーズは、随分と弟に慕われているのか。チョコレートって……、カーティスからもらったと言っていたやつか……。家族に嫌われているとルイーズを笑って悪いことをしたな。明日会ったときに謝るか……)
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