表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆完結◆突然の変わり身「俺に惚れるな」と、言っていたのは誰ですか⁉ ~猫かぶり令嬢は、素性を隠した俺様令息に溺愛される~  作者: 瑞貴
2章 入れ替わりのふたり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/89

2-3 距離感ゼロのふたり②

ブックマークといいね! を頂き、ありがとうございます。大変嬉しいです。

2章以降は、どんどん話が展開しますので、どうぞよろしくお願いします。

 ソファーに寝転がるルイーズ(エドワードの体)は、真剣なエドワード(ルイーズの体)の姿を静かに見守っていたが、普段は見えない彼の一面に、内心穏やかではない。


(さっきから何回も書き直しているけど、そんなに言葉を選んで、誰に手紙を書いているんだろう……。

 やっぱり、わたし以外には気遣いができる人なのよね。

 それなのに、わたしにだけは、初めて会ったときから冷たかった……。

 わたしって、どうしてかな……。生まれたときからずっと、誰からも嫌われる……)


 それからしばらくの間。頭を抱えて悩むエドワードを、ルイーズは夢中になって見いった。もちろん、彼女の瞳に映るのは、見慣れた自分自身の姿だ。

 作業を終わらせた彼が、ルイーズ(エドワードの体)へ顔を向けると、説明を始めた。


「この引き出しの中身は絶対に触るな、重要書類しか入っていない。他は好きにしてもいいが、俺の印章を使って勝手なことをするなよ」

 うんうんと軽くうなずくルイーズは、その引き出しの中身は語気を強めて言うくらい、彼にとって大切なものだと理解した。


 だが、ルイーズは、おかしくなって笑いだす。


「ふふっ、もちろん触らないし勝手に使わないけど、そんなことを言うなら、自分の手元に持っていけばいいのに。大事なものを悪用されたらどうするのよ」

「勝手の知らない場所へ持っていくより、お前の所の方が安全だろう」


「まあ、そうよね。わたしが勝手なことをして、自分の体に戻れなかったら、自分に返ってくるんだもん」

 そうだと言わんばかりに大きくうなずいたエドワード(ルイーズの体)


「お前も、たまには現状を理解しているようで良かった」

「はぁぁーっ、いつもちゃんと分かっているわよ、失礼しちゃうわね」


 その言葉に首をかしげるエドワード(ルイーズの体)は、納得していないと言いたいげだが、否定するのが面倒(めんどう)になり、そのまま話しを続けた。


明日(あした)、ここに掛けている服を着て訓練に行くまでは何とかなるだろう。分かったら次はお前の屋敷へ行くけど、お前、俺に触って何か感じないか?」

 そう言うと、エドワードの体がはめている手袋をサッと外して、手をつないだ。


「……そんなことをされても、エドワードのことは好きにならないわよ」


「当たり前だっ! 馬鹿か。俺の方がお前では願い下げだ。聞いているのはそれではない」


 随分真剣に質問をしてくるエドワード。それに答えようと、ルイーズはまじまじとエドワードを見た。

 けれど、見えているのはプラチナブロンドの髪に、(すみれ)色のつぶらな瞳の自分自身。感じたとおりの感想を伝える。

「ふふっ、わたしもまんざらでもない、かわいいなぁ~って、ことかしら」


 あまりに的外れの回答に、エドワードは苦笑いを浮かべる。

(駄目だ。全く分かっていない……。俺の手で触れれば、体の中も外も伝わって見えるだろう。……いや、ルイーズでは、見えていないのか。ってことは、俺が戻らないとヒールは使えないってことか)


「お前は、俺を鏡で見続けて()れるなよ。迷惑だからな」

 入れ替わっても何も変わらない、掛け合いを始めた。


 だが、心ここにあらずなルイーズは、彼の言葉に食いつかなかった。

 エドワードが自分の家に行くと言い出してから、ルイーズ(エドワードの体)は、そわそわと落ち着かず、心臓の拍動が早まっている。


 屋敷に行けば、伯爵家が抱える色々な事情を、必然、知られることに躊躇(ためら)っていたのだ。

 

 その上、ルイーズがエドワードを連れてきたと姉に知られたら、姉が、エドワードにどんな反応を見せるか、不安になった。


 これまで剣を交わしていても、エドワードのことをほとんど知らなかったルイーズ。

 侯爵家の人間ということは、もちろん知っていたが、今日、ここに来るまでは、エドワードがどんな暮らしをしているのか? それを聞く機会もなかった。


 部屋の豪華な調度品を見て、姉が興味を抱く家柄だと、初めて知ったのだ。

 ルイーズは、この部屋の品々の価値は正しく分かっていない。

 けれど、エドワードの部屋の家具は、全部が全部どう見ても特注品。

 その全てに、金であしらったアゲハ(ちょう)の家紋が埋め込まれており、高級品であることは一目瞭然だった。


「ちょっと、その前にトイレに行ってくるわ」

 そう言って浴室へ向かったルイーズ(エドワードの体)は、すぐに悲鳴を上げながら戻ってきた。


「キャァー、何、何。分かんない。何がどうなってんの? どうしたらいいの?」

「おいっ、それを俺に説明して欲しいのか? それなら一緒に行ってやる」


「はぁぁーっ、無理。何言っているのよ。エドワードはデリカシーって言葉を知っているの? ……我慢する」

「はぁぁーっ、デリカシーも何も、その体を一番知っているのは俺だ。我慢するな馬鹿。お前、俺の体をなんだと思っているんだっ!」


「いいのっ! 我慢する。今はまだ何とかなるもん」 

 ルイーズは、半ば強引に何もなかったことにした。真っ赤な顔のルイーズ(エドワードの顔)は、彼と一緒に自分の屋敷へ行くことになった。


 その馬車の中で、次第にルイーズ(エドワードの体)は固い表情になっていく。

 自分の境遇をエドワードにどう伝えていいか分からず、思い悩むしかなかった。


「エドワード……、明日には、戻れるかな……」

「当たり前だ。だが、さっきから心当たりを試しているが、戻れない。お前は替わった瞬間に何をしていたんだ?」


「うーん。ひどく疲れていたから、休みたいなぁ~って思っていたけど、それ以外は特に思いつかないなぁ~」

 あっけらかんと答えたルイーズ。

 ルイーズは、エドワードから同情の眼差(まなざ)しで見つめられる。……自分自身の顔で、だが。


「アホに聞いた俺が悪かった……」

 もう体力の限界だったエドワード(ルイーズの体)は、ルイーズ(エドワードの体)に寄りかかる。

 その間も、自分の部屋を出るときにからつないだ手は、片時も離すことはない。


(何だ、この体。さっきからずっと変だ……。

 馬車に座っているだけで倒れそうになる。体が替わる前に、1度でもこいつに触っておけばよかったな……。一体どうなっているんだ⁉)



少しでも先が気になる、面白いなど、気に入っていただけましたら、ブックマーク登録や☆評価等でお知らせいただけると嬉しいです。読者様の温かい応援が、執筆活動の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ