1-13 姉の逆恨み
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ルイーズが屋敷に戻ると、目をつり上げ、腕を組むミラベルが、ルイーズの部屋の前で待ち構えていた。
何も知らずに部屋へ向かったルイーズは、ミラベルと目が合った。その瞬間、足音を立てながら近づくミラベルに、わけも分からないまま部屋へ引きずり込まれる。
「ちょっと、あなたが勝手にわたしの部屋に入ってきたせいで、とんでもないことになっているでしょう」
真っ赤になって怒るミラベルが、怒鳴り散らす。
ミラベルは相当に怒っているが、ルイーズには責められる理由が見つからない。何も言わず、ただ姉を見つめることにした。
「どうして、わたしがモーガンなんかと結婚しなきゃならないのよ。あなたが勝手に、あのタイミングで入ってきたせいよ」
「知らない……。何でわたしのせいなの……?」
怯えるルイーズは、首を傾げて問い返す。
「モーガンが、あのときの責任を取るって言いだして、困ってるんだから」
ミラベルは、ルイーズがモーガンにチヤホヤされているのが気に食わずに、妹の婚約者を誘惑しただけだった。
ルイーズに一泡吹かせる計画であり、あわよくば、モーガンの浮気を知ったルイーズが、喧嘩別れに発展すれば、しめたものだ。
ミラベルとモーガンの暗黙の約束。それを、ルイーズが紅茶の缶を落とした衝撃で守られず、予定外の事態に陥った。
妊娠の可能性が残るミラベルは、今のところモーガンの申し出を無かったことにできず、当たり散らすしかなかった。
結婚適齢期に婚約者がいない姉は、気が立っていた。
何故なら、甲斐性なしのフォスター伯爵は、縁談をまとめる様子は少しもない。
その挙句、自分が夜会で知り合う貴公子とも、一向に恋へ進展しないのだ。
だが、ミラベルがいくらきっかけを作ったところで、良家の貴公子を狙っていれば、読み書きができないミラベルは、女主人の仕事も務まらない。どうやっても結婚相手には、対象外だ。
ミラベルが高望みするから婚約者が決まらないのだが、そのことに全く気付く気配はない。
その上、しめしめとルイーズを笑うつもりでいたのに、モーガンに裏切られた後も、全く傷ついた顔を見せない。
それがまた、ミラベルの心境を逆なでした。
ルイーズは、姉の言葉の意味が分からず、きょとんとしていた。
だが、それを分かっていないルイーズは、余計な確認をしてしまう。
「お姉様は、モーガンが好きなんでしょう。どうして困っているのかしら?」
「はぁっ。あんたの、そういう馬鹿にした言葉がしゃくに障るの。ホイットマン子爵家の3男なんかじゃ、どうやって暮らせって言うのよ」
「だから、それでも良いと思って、モーガンと愛し合っていたのでしょう?」
「あー、うっざ。あんたと違って、子どもじゃないの。あんなのは遊びよ。モーガンだってそう。なのに、あんたのせいよ!」
姉の嫌がらせが、今回はうまくいかずにイライラしている。
(ん? 遊びって意味が分からないけど、好きな人以外と、そんなことしないでしょう……)
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