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◆完結◆突然の変わり身「俺に惚れるな」と、言っていたのは誰ですか⁉ ~猫かぶり令嬢は、素性を隠した俺様令息に溺愛される~  作者: 瑞貴
1章 いがみ合うふたり

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1-5 見せている顔 

ブックマークを頂き、ありがとうございます。

最後までよろしくお願いします。

 ルイーズの騎士訓練開始から1か月後。

 ルイーズの婚約者モーガンは、姉の部屋で過ごし、ルイーズが帰ってくる時間に合わせてルイーズの部屋に移動していた。


「お帰り、ルイーズ待っていたよ」

「モーガン、待っていてくれたの! 会えてうれしいわ。あれっ、今日はどうしたの?」

「騎士の訓練は大変だろうと思って、励ましにきたんだよ」

「まぁ、そうだったの。大変だけど順調よ。すっかり剣も振れるようになったし、絶対に騎士になれる気がしてきたわ」

「そうか、良かった。それを聞いて安心したよ。ルイーズの顔を見るためだけに来たから、今日はもう帰るね」

「えっ、会ったばかりなのに、もう帰るの?」

「ああ。ルイーズも疲れているだろうから、じゃあね」


 そう言って、ルイーズの部屋を出ていった婚約者。


 ルイーズは、近くまで用事のあったモーガンが、ついでに伯爵家に立ち寄ったくらいにしか思っていなかった。

 実際は、モーガンは少し前まで姉の部屋にいたのだ。


(まだ、話したいことはいっぱいあったのに……)



 結局、ルイーズはいつものように独りで部屋にこもり、夕食の時間になっていた。


 食堂の中には、食欲をそそるおいしそうな料理の香りが広がっていた。

 思わずゴクッと唾を飲むルイーズ。


 みんなが何を食べているのか気になり、キョロキョロと見回せば、すかさず姉にピシャリと言い放たれ、うつむいてしまう。


「ルイーズはどうしたの? 落ち着いて食べなさい。どうせ、あなたは細いから、それ以上要らないでしょう」

「あっ、……」


 出かけたルイーズの言葉は、不愉快そうにルイーズをにらむ夫人に遮られていた。

「口答えしない。あなたの声は聞きたくないわ」


(この食事で以前は良かった。だけど、毎日体を動かしているうちに痩せてきた気がする……。でも、駄目だ。問題を起こさずに、あと5か月乗り切れば、この先は何とかなるはず。今だけ、あと少しの我慢……)


 そうして今日も、ルイーズのパンとスープだけの食事は終わっていた。


****


 騎士の訓練が終わると、エドワードはいつもすぐにルイーズの前からいなくなるけれど、ルイーズは、そんな彼の様子に全く興味もない。当たり前に、彼のことは何も聞いていない。


 ルイーズは、帰ろうと思い休憩室を出ようとしたとき。彼女は、ブラウン公爵家のカーティスから声を掛けられた。


「ルイーズお疲れさま。良かったらチョコレートでも食べる? 前に渡したら大喜びしていたからね」

 それを受け取った途端、飛び跳ねて喜ぶルイーズは、まるで子どものようだった。


「うれしいわ。すっごく大事にして食べるわね」

「いや、それ程のものじゃないと思うけど」

「それ程でもあるわよっ! わたしにはとっても貴重だわ、ありがとう」


 カーティスは、話し掛けるきっかけを作りたくて、ルイーズにチョコレートを渡している。けれど、そんな心境は、鈍くてマイペースなルイーズに届くわけもなかった。


 早く弟に食べさせたかったルイーズは、礼を伝えて、そのまま帰ろうとしている。

 それを引き止めるように話し掛けるカーティス。


「そういえば、エドワードとは随分と仲が良いんだね。いつも2人でいるから、何かあるのかと思っているけど」

「何にもないわよ、あるわけないわね。わたしには婚約者がいるし」


「あっ……、そうだったのか。ルイーズに婚約者がいるのは、知らなかったな」

 そう言いながら、カーティスは、はにかんで恥ずかしそうにした。

 でも、そんなことは、全く気付いていないルイーズは、お構いなしに話を続ける。


「ふふっ、婚約者とは仲良しなのよ。それに引き換え、エドワードとはけんかばっかりよ。彼は、わたしの顔を見れば文句しか出てこないんだもん」


「へぇー、エドワードって、そんな性格だったかな。誰にでも優しいイメージなんだけど、意外と知らない一面もあるもんだな……。じゃあ、また明日」


(え? あのエドワードが誰にでも優しいって? わたしには、会った初日から優しさの、かけらもなかったわよ。もしかして、よっぽどわたしが嫌いなのかしら……)


 エドワードは、ルイーズが騎士になろうとしていることを早々に諦めさせるはずだった。


 それなのにルイーズは、一向に辞める気配はなく、それどころか、休むことなく毎日訓練にやって来ている。


 訓練開始から、2か月経つ頃には、ルイーズは見かけ上では、エドワードと剣を交える練習ができるくらいにはなっていたのだ。


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