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◆完結◆突然の変わり身「俺に惚れるな」と、言っていたのは誰ですか⁉ ~猫かぶり令嬢は、素性を隠した俺様令息に溺愛される~  作者: 瑞貴
0章 別世界のふたり

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0ー9 ルイーズと弟アラン

ブックマークと評価、いいね! を頂き、ありがとうございます。

とても嬉しいです。

ここが序章の最終話となります。


 他の家族の食事とは、別メニューが用意されているルイーズは、小さなパン1個と具無しスープを、あっと言う間に食べ終え、自分の部屋にこもっていた。

 そのとき、アランが彼女の部屋を訪ねてきた。 


「姉上、ここが分からないんですが、教えてくれませんか?」

 弟のアランから、勉強を教えて欲しいと言われて、考え込むルイーズは、しばらく固まっていた。


(アランは、もうこんな勉強をしているのか……。もうそろそろ、わたしでは、本当に教えられないわね。優秀なこの子は、しっかり勉強して、立派にフォスター伯爵家を立て直してもらわないと)


「姉上?」


 弟の声にハッとすると、ルイーズは質問されたことを、弟が持ってきたノートにサラサラと書き終えた。

「はい、答えを書いてみたわよ。アランは、本当にしっかりしているわね。偉い偉い」

 そう言って、弟の頭をなでるルイーズは、弟がかわいくてたまらないのだ。


 そのアランも、何かを考え込んでいたルイーズが心配になる。


「姉上はおなかが空いていないのですか? いつも僕たちとは違うのを食べているから」

「ふふっ、ほら、わたしって細いから。あんまり食べなくても動けるようになっているのよ。気にしなくても大丈夫よ」


「そうですか……。そうだ、僕のワイシャツのボタンが取れてしまって、付けてくれませんか? メイドは、ミラベル姉上に何か頼まれたようで、忙しいみたいでして」


 そう言われて、ルイーズがアランを見ると、弟が今着ている白いワイシャツは、上から2番目のボタンが取れていた。

 ボタンを握り、アランは困った顔をしている。

 この屋敷には、メイドが2人いた。けれど、母と姉の専従状態で、今は姉の買い物に付き合わされ、不在なのだ。


 弟から頼まれたルイーズは、にこっと、何かひらめいた顔をする。


「ふふっ、いいわよ。ついでに、くまの絵でも刺繍(ししゅう)してあげるわよ」

「姉上は僕をいくつだと思っているんですか……。シャツに、かわいいくまの模様を入れてもらっても、恥ずかしいですよ」


「そうかしら、いいと思うけど。まあいいわ。シャツを脱いでくれたら、すぐに付けてあげるわよ」

「助かります」と、すぐさま、着ていたワイシャツを脱いで姉に渡すアラン。



 ルイーズは以前、自分の服をリメイクするために、メイドから裁縫道具を借りていたが、それを返さずにそのまま部屋に置いてあったのだ。

 何年も前に姉から貰ったお下がりでは、スカートの裾が短く外を歩けない。

 ルイーズは悩んだ結果、他のワンピースからつぎはぎをして、外出用の服を何とか確保した。

 メイドたちから何も言われないところをみると、裁縫箱はおそらく他にもあるのだろう。

 そう思ったルイーズは、ちゃっかりと彼女の部屋にそれを拝借していた。

 

 ルイーズは、弟から受け取ったシャツに、手際よくボタンを付けて見せた。

 弟からすると、見事な早業だったのだろう、自分の想像以上に驚かれる。


「ありがとうございます、助かりました。それにしても、姉上は随分器用ですね、こんなにあっという間にできるなんて」

「わたしって、必要に迫られれば、うまくなるのよ。ふふっ。きっと、剣技もうまくなるわね」

「そうだと良いですね。騎士の訓練、頑張ってください」

 素直な弟は、ルイーズに信頼を寄せて慕っている。今も、姉へ心からの応援を送った。

 食事中に、大人の会話に口を出せないアラン。

 彼は、ただ静かに、この家の事情を見守っていた。


「本当にいい子に育ってうれしいわ」

 

 弟のアランにとっては、もう1人の姉ミラベルは、ひどく冷たかった。

 アランの物心が付いたときには、ミラベルは、弟を転ばせようとして足を掛けたり、髪を引っ張ったり意地悪をしていたのだから。

 10歳のアランは、そんな長女の気持ちがよく分からず、近づかないようにしている。


 長女ミラベルは、弟のアランに、順風満帆な人生設計を崩されたと思い、ひがんでいたのだけど。



 明日からの騎士訓練に希望を抱きながら、ルイーズは、弟の頭をなでている。

 

 エドワードとの出会いで世界が変わり始めるとは、夢にも思っていないルイーズ。

 その彼女の18歳の誕生日まで、残すところ、……あと半年。


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