6話 魔法
クリフォードは今、ベットの上でゴロゴロしていた。想像よりも木刀が上手く作れたので、達成感が半端ないらしい。
「あ~、次は木刀に魔法を纏わせたいな」
クリフォードは小さく呟いた。クリフォードもクリフォードとて、無意味に木刀を作っているわけではない。15歳になったら、この国を出て冒険者になろうと考えているので、今のうちに実力をつけておきたいのだ。それに、刀に魔法を纏わせるって夢があってかっこいい!
「とは言ってもなぁ~ どうやってやればいいんだ?」
クリフォードは魔法の適正が絶望的に低いため、魔法を撃つ感覚が全く分からないのだ。
独り言をしゃべっていると、扉が勢いよく開いた。そこに居たのは、兄フェルトだ。いつもの日課の始まりだ。
「よう、クリフォード。今日は木ぃ削ってないのな。今日も魔法の練習だぞ。ありがたく思え」
フェルトはそう言いながら魔法を撃つ構えを取る。
(そう言えば、こいつ、魔法が得意だったな。こいつの魔法を撃つところ見てれば何かわかるかもしれん)
そう思ってフェルトが魔法を撃つところをまじまじと見つめる。
フェルトは魔法を撃つ構えを取ると、体内から、そして、空中から魔力の光を出して、凝縮させ、やがて、雷の球が3個作られる。
(ほうほう、魔力を体内からだけではなく、空中からも取りだしているのか)
「………… 〈雷球・3連〉!」
そんな考察をよそにフェルトは雷球を3発撃ってくる。それをクリフォードは、装備強化を施した木刀で
雷球を切っていく。すると、雷球が霧散して消えていく。
「なっ…… !」
(おぉ、身流で魔法が消せるのか! 新発見! だけど、空中から魔力を取り出すってどうすればいいんだ?)
フェルトは、魔法を消されたことに驚きすぎて放心状態になっている。だが、クリフォードは気にも留めない。留める必要もない。
「ねぇ、兄さん。 どうやって空中から魔力を取り出してんの?」
「へ? それは、まずは空間を意識してだな…… 」
混乱しているのか、案外素直に空中から魔力を取り出す方法を教えてくれた。なんでも、魔力は至る所にあり、その魔力を凝縮して魔力消費を抑えているのだとかなんとか。
フェルトは余程動揺していたのだろう。説明が終わったらすぐに「じゃ、じゃあおれは今から出かけてくるわ」とかいって踵を返していった。
早速、フェルトから教わった方法で木刀に雷を纏わせようとする。
「いでっ--! 」
雷自体は出たものの、暴発してしまい、体中に電流が走り、魔力がごっそり持ってかれる。
どうやら、暴発すると魔力が半分ほど消費するらしい。しかも、かなり痛い。
「まぁ、練習するしかないよなぁ…… 」
クリフォードは、余程才能が無い限り、努力すれば大体の事は出来ると考えてる。なので、今回も練習あるのみだ。
そうして、クリフォードの魔法を纏わせる練習が始まった。