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366・アネット達の作戦

前回のあらすじ


探してるアーキア人の痕跡を追ったアネット達はとある建物の中に続いてる事を突き止める。屋内で地下へと続く階段を見付けた一行は慎重に歩を進める。坑道となっているその通路の先にいたのは数人のアーキア人で、彼等と話をした結果、共闘関係を結ぶ事となった。

 悪巧みでも思い付いたのか、あまり(よろ)しくない感情を心に宿したユシュタファは、悪びれるでもなく淡々と話を進めていく。



「それにアイツの首差し出したところで約束が守られる保証もねぇ もっと確実な方法をとった方がいいだろ」


「・・・貴族と交渉した方が見込みがあると思うが お前さん等の伝手で出られるのか?」


「どうだかな・・・五分五分じゃねぇか? てかアイツの思惑通りに事を進めたくねぇって感情がふつふつ沸いてんだわ」


「そっちはそっちで事情がありそうだが できるだけ私情を絡めてほしくないんだがな まぁこっちも私情で動いてるから深く追求はしないが 他の代替案でもあるのか?」


「その前にだ ・・・あんた等どのくらいの人数なんだ? それによっちゃ出来る事 出来ない事ってのはあるぜ」


「・・・約 40人」



 出し渋るように口にする40人は、思うに彼等にとってまだ足らないと感じる人数なんだろう。口ぶりからも自信の無さが窺える。



「40・・敵組織叩くのに多いのか少ないのか微妙だな 肝心の相手は何人で構成されてんだ?」


「幹部を含めておおよそ30だ ただ奴隷化してるアーキア人達が大勢いる 全員の数は・・・とてもじゃないが把握できない」


「待て待て そりゃいくらなんでも現実的じゃないだろ」

「それでよく喧嘩売ろうと思ったな」


〔多勢に無勢は分かってるでしょうに あなた達こそ作戦はあったの?〕


「・・・アテはある 奴隷化の解除だ」


「確か奴隷紋を消すんですよね でもそれ1人1人やってくんですか? 地道な作業ですけど 途中でバレませんかね」


「いや 奴隷紋を付けた奴を殺す」


「それで解除できんのか?」


「理論上はな 仮に本人を殺してスキルさんが解き放たれた場合 契約・・力の行使は消えると踏んでいる でなければ次に奴隷さんと契約した者が前任者の奴隷を引き継ぐ事になるからな 


 そうなるとやりようによっては1人が大勢を支配できる事になるが 今のとこそんな話は聞いた事がない もしそれが現実に起きているなら 当の昔に問題にされてなきゃおかしい・・・だろ?」


「なる程 そりゃそうだ じゃあその奴隷さん連れてる奴を殺せば アーキア人は俺達につくって訳だ」


「いや・・・それがそう簡単な話じゃないんだ もしかしたら反対する奴もいるかもしれない」


「・・・分からないわね せっかく奴隷から解放されるのに そんな人いるの?」


「そこがブランディーゴファミリーの上手いとこでな 一定の功績をあげた奴の奴隷化を解いてるんだよ」


「解放してるなら良い事なのでは?」


「そこがミソなんだ 奴隷から解放したアーキア人を厚待遇で迎えて自ら仲間と思わせる そうやって心を縛るんだ 自分はこの街に受け入れられた 上手くやっていけるってな それを見た他の連中はどう思う? 自分も自分もって組織の為に骨身を削るんだよ


 元々アーキア人ってだけで何処からも相手にされないからな 居場所が貰えるとなれば必死にもなるだろ 俺達もそんな連中の1人だった けど・・・いいように使われて 同胞を蔑むようになって それに嫌気がさしてな 気付いたら逃げ出してた」



 皆して社会から弾いた結果、良くない組織に拾われて良いように使われる。僕達が彼等に無関心でいる間に人知れず悪は牙を磨いていたようだ。


 自分を蔑ろにした者に彼等は憎悪を持って噛み付くだろう。これは復讐であり主張であり正義であると。一度燃え上がった心の炎は中々消えない。


 それが人種の違いともなれば世代を越えても消えない筈だ・・・



「この坑道は貴方達の生命線って訳ね その割には外で食事する余裕はあるみたいだけど」


「自分達の元から離れればアーキア人なんて生きていけないと踏んでるんだろう もう奴隷でもないし 連中も血眼になって探す価値はないと思ってるんじゃないか?」


「なら都合がいい 使えるものは使ってこうぜ」


「俺等が用意できるもの お前さん等ができる事 互いに出し合って作戦を煮詰めていけば成功する確率も上がるだろうからな」











「あら 外を歩き回ったのかしら 随分時間が掛かったわね 此方は此方で捜索の準備は整えたのに」



 屋敷に戻った僕達を待っていたのは心に余裕の表情を浮かべたルディアだった。傍らにはロダリオも居るみたいだけど、道を離れてしまったせいか何処か気まずそうにしている。


 しかしルディアが此方の案をせっついてこないところを見ると、彼等は僕達のやろうとしている事を彼女には話していないみたいだった。



「準備? いったい何をする気だ」


「自前の兵士を使ってアーキア人に片っ端から尋問仕掛けていくわ」


「んな事したら方々からクレームが来るぞ それよかナイームの居所が分かったぜ ブランディーゴファミリーって組織が匿ってるそうだ」


「あら 仕事が早いじゃない だったら早速その何とかファミリーに襲撃かけるわね」


「慌てんなって あいつ等大勢のアーキア人を奴隷にしてて 下手に突っ込むと間違いなく交戦になるぜ」

「自前の兵って言うけど人数足りてるか? 数は力だぜ」

「そもそも君は当主じゃないんだし せいぜい動かせて数人ってところじゃないか?」


「う・・・ そ そうは言っても奴隷でしょ? 此方は武器を持ってるのよ それにこの街で貴族に歯向かう事の愚かさは 住民なら骨身に染みてる筈よ」


「どうかなぁ~ 周りが誰も助けてくれない中で 唯一居場所になってるファミリーが危ないってなったら 死に物狂いで抵抗してくるんじゃないかなぁ~」

「だよな 俺だったら一矢報いてやるって武器手に取るぜ」


「じゃ じゃぁどうしろって言うのよ そこまで言うなら 代わりの案があるんでしょうねっ」


「ハルメリー産の質の良い武器よ 最初にそれで力を見せ付けるの ワリードの言う通り ファミリーに味方するアーキア人もいるでしょうけど 奴隷から解放されたいって願う人もいると思うの」


「武器・・・武器でねぇ 武器なんかで上手くいくのかしら・・・」


「おっと お前の利点も考えた案だぜ? 力は誇張してなんぼだ それに貴族であるお前がハルメリーから武器を買えば経済が潤う 町の採掘師も助かるんだ そうすりゃ晴れて上客として認められる つまりハルメリーの経済の一角に食い込めるんだ デカイ事だぜ」


「そ そう かしら・・・ じゃぁバードラットに─────」

「待った 今回は採掘師の連中に直接頼めよ あんま一ヶ所に寄り過ぎてると危険だぜ」


「そうそう 人間関係は広く薄くってな これを機に他の奴等とも繋がり作った方がいいと思うけどな」

「ハルメリーの旧市街に乗り込んでくる胆力があるんだ 君ならできるって」



 みんな口々にルディアを乗せてく。本人も悪い気がしないのか段々心が此方に振れてきた。事前に予測していた展開とは言え彼女も少々周りに感化されやすい性格なのかも。


 何だか危ういな・・・



「・・・分かったわ この件 お父様にも任されてるし アイツを頼らなくても私1人だってちゃんとできるわよっ」


〔もちろん私達も協力するわ 元々その為に来たのだし 共同作戦になるのだから足並み揃えていきましょう 取り敢えず武器が到着する日時は正確に知っておきたいわね〕


「分かったわ」



 それからルディアは伝書鳩を飛ばし武器がスプリントノーゼに到着する日数は9日と言う知らせが届いた。


 そして僕達も秘密裏にハルメリーの冒険者ギルドに伝書鳩を飛ばした。





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