20・心の変化
あらすじ
牧場で家畜の護衛依頼をした。
「はぁはぁはぁ~~~ 意外と 何とか なるもん だね・・・はぁはぁ・・・」
『お疲れ~』
プチダークを向けてくるモンスターはいなくなった。つまり最終防衛ラインは死守した訳だけど・・・
「うぅー 酷い目にあったー」
「言いたい事は山程ある・・・ まぁでも 倒しきった・・・何とか」
「と言うかマイナス等級ってスキル使えたんだな・・・んでもって モンスターとも戦えてると 本当に目が見えないのか? それともそれもスキルなのか・・・ブツブツ」
キラーラビットの群れに纏わり付かれた彼等も何とか難局を乗り越えたようだ。色々ぐったりしてるけど。ミストリアも・・・
牛達に被害も出なかった事で彼女も喜んでる。動物には優しい子なのかもしれない。
「ミストリア 大丈夫? 敵は全部倒したよ?」
差し出した手を掴むけど中々立つ事ができない。やっぱりモンスターに襲われるって怖いよね。何とか立ち上がった彼女だけど、その足取りは重い。
考えてみれば僕達の足元には倒れたキラーラビットの死骸が落ちているんだ。見てて気持ちの良いものじゃないだろう。
「うぅわ 何だこの量!」
「推定された数が報告と違うな」
戻ってきた討伐班が僕達の倒したモンスターの数を見て驚いていた。彼等も彼等で倒したキラーラビットを持ってきたみたいだけど、それにしても多い。
「最近こう言う事多くないか?」
「取り敢えずギルドに報告だな それと台車の手配もだ 背負って帰るには多すぎる」
食い違い・・・そう言う事もあるのか。言われた事を鵜呑みにするなって事なのかな。でもあれだ。想定外の出来事を乗り越えるのは焦がれた英雄みたいで格好いい。フフン・・・
★
帰り道。手を引く彼から目が離せなかった。
マイナス等級がスキルを使った。私はそれに可能性を見た。でもそれだけじゃない。目の見えない人間が剣を片手にモンスターと戦った。それも衝撃だった。
考えてみればこうして歩いてるのだって見えなきゃ無理なのよ。真っ直ぐな道でも、曲がり角でも、ギルドの中でも。彼は何かにぶつかるなんて事はなかった・・・
慣れっこだから?
私も慣れれば喋れないなりに何かを得られるのかしら・・・それは無いわね。魔法には詠唱が必要。つまり前に進みたければ魔法は諦めろって?
冗談。
魔法が無い私は私じゃない。でもマイナス等級でもスキルが使えるなら、或いはまた魔法が使えるようになる切っ掛けが掴めるかも。
そもそも“失語さん”のスキルって何よ。想像できないわ。せいぜい私の口を封じるだけ。それに何の意味があるの。
学園の授業でも「マイナス等級なんて拘わるな」以外で習った事がないわ。どうすれば良いのよ・・・ ・・・ ・・・
教材なら目の前に居るじゃない。
私も彼のように考えて、彼のように振る舞えばマイナス等級の何かが分かるのかしら。マイナス等級・・・抵抗が無い訳じゃないけど、これも前に進む為だもの。
やってやるわ。
気付くと私はいつの間にか彼と2人きりになっていた。ギルドの用事も全部済ませたらしい。いつぶりかしら、何かを考えて時間を忘れるのって。確か魔法の・・・
あぁ・・・私の中にまだこんな気持ちが残っていたのね。
でもどうしたんだろう。アネットは立ち止まったまま動かない。もしかして道に迷った?
「よぉ アネット」
「ディゼル・・・」
知り合い? でもこの空気は知ってる。良くないものだ。学園の外にも存在してるのね。




