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039 美波奏乃 20
陽が沈んでいく。星花祭の一日目が終わろうとしていた。朱色に染まる部屋で、お互いの腕にもたれたまま、あたしたちはそれを眺めていた。
「奏乃ちゃん」
「なんですか?」
「……奏乃ちゃんは、わたしのお姉ちゃんだから。妹を守らなきゃだめだよ」
「約束します」
ふふ、と先輩が笑う。それからー、と甘えるような声を出した。
「さみしくさせるのもだめ」
「絶対、させません」
先輩には、これからも、彼女自身の過去と戦わなくちゃいけないことがあるかもしれない。でも、そのときは、必ずあたしがそばにいる。ひとりになんてさせてあげない。
あたしが言うと、先輩は手を重ねてくる。あたしの体温を欲しがるように、指を絡めた。
「帰りましょうか」
「……うん」