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百合咲きほこり、戦場に散る  作者: 津田遊星
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プロローグ

 ズント要塞に詰めかけた人々は皆、一様に国歌を斉唱している。

国歌を歌う事は国に対しての忠誠心を表し、国家のために死ぬ事への覚悟でもある。 しかしながら、そんなのは名目の理由である。本当は死ぬのが皆、怖いのだ。

そんな自分の中にある恐怖心を歌って感情を誤魔化す事によって誤魔化しているのだ。 アリア第5陸軍師団長はそのような情勢を憂いていた。 

軍学校を優秀な成績で卒業し、第5陸軍師団長に就任したアリアは国民を守り国家の為に尽くす、帝国軍に憧れを抱いていた。

しかしながら、実際に戦争が始まって思ったのは軍隊が国民の安全を守るものとは言い難いという事  だった。

国家総力戦となった過去の世界大戦と同じく、この第6次世界大戦でも国家総力戦となり、兵士の増員の 為に毎日の様に収集令状を受けた一般人が兵士として戦場に来て、一般の兵卒と同じ様に戦場に送り込 まれる。

戦争が起こった時には兵士でもなくても戦わせられるこれじゃあ、最初から兵士になってた方がいささ かましと言うものだろう。

「この戦争によって多くの人間の命が失われ、元々少ない資源が更に減っていく。そこまでして得るべ  き勝利なのか。」

「おやおや、これは第5陸軍師団長の発言とは思えませんね。」

ここが戦場とはとても思えない呑気な声にアリア将軍が振り返ると、そこにはアリア将軍の妹のミー  シェ少佐が立っていた。

「お姉ちゃんは深く考えすぎなんだよ。私達は軍人、ただただ国家の為に尽くせばいいんだよ。」

「あんたは考えなさすぎなのよ。それとこれではアリア第5陸軍師団長と呼びなさいミーシェ少佐。全く

よくあんたなんかが少佐になんかなれたわね。座学な成績なんて最低だったじゃない。」

「んー、私は実戦派だからな。武においてはお姉ちゃんに負けないと思うよ。」

「そ、だったら、戦場に突っ込んで死んできてね。」

「ひどいお姉ちゃんは可愛い妹に死ねって言うの?」

「だって、少佐ていうのは後ろに籠って支持を出すだけだから武なんてほぼ関係ないし。」

そうだ、役職持ちの軍人というのはその人の判断一つで多くの人間の命を左右する頭が良くなきゃ役職 持ちは務まらないのだ。おそらく私の七光りでこの地位に就けられたのだろう。

平和な時は妹の呑気な性格が好きだったが戦争が始まってからはアリアは妹のミーシェに対していら いらさせられぱなっしだった。

さすがにさっき言った様に戦場に突っ込んで死んでとは思わないが、少しは戦争という現実を見てほし いものだった。

そうじゃないといつか本当に死ぬから




    



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