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月下の蛍①

投稿遅くなって申し訳ないです(T▽T;)


 パッと見は草食系でのんびりタイプの順ちゃんさんだが、実は忍者パフォーマンス集団『月下の蛍』に所属している。日中は軽い路上パフォーマンスをし、夕方には大々的なショーを披露している。メンバーは10人で運動神経抜群の精鋭達だ。


 何故かそんな精鋭達の前に今、俺は立っている。



 順ちゃんさんが俺を紹介してくれる。

 「こちらが、ござる、で有名な猿本君です。来週末のパフォーマンスに一緒に参加してもらいます。」

 「猿本渉です。よろし・・・」

 「今更、いらないだろ、新しい奴なんて!」

 自己紹介を遮られ、何故か非難される俺。

 順ちゃんさんが遮ってきたやつを嗜めてくれている。

 「犬飼!もう決まったことだろう。何回も話したじゃないか。」

 「...そんなやつが来るとは思わなかった。」


 犬飼?犬飼...。あー...前に無視された面倒くさいやつか。

 しっかし、絡まれる程知っている訳じゃないけどなぁ。しかも頼まれたから来ているのにこの対応。さすがに気分はよろしくない。

 俺がここにいる理由も、本来のメンバーの一人がケガをしてしまい、来週末にあるアニバーサリーパフォーマンスに参加出来なくなってしまった為、以前舞台でバク転をした俺に声がかかったからだ。もちろん最初は断ったが順ちゃんさんにどうしてもと頼まれたので腹をくくって来てみればドウユウコトダ?

 とりあえず、文句があるのは犬飼だけらしい。だがそれも渋々納得したていだ。その態度に思うところはあるが、俺も大人。一言挨拶はしておくか。


 「よろしくな。」


 しっかり無視され、若干イラッとする。しかし、俺は大人。これは、仕事。何にせよ特別手当も出るし、他のメンバーはフレンドリーで空気も悪くない。頑張ろう。




 後悔している。

 引き受けるんじゃなかった。まじで。

 運動量が半端じゃない、汗が止まず腹筋がつり足が震える。そんな俺の横を通るたび犬飼が舌打ちをするが相手にする余裕はない。

 基礎練習の後にフォーメーション練習をする。

 フォーメーションは全部で3つ、本当はまだあるが今回俺が覚えるのは3つだ。

 まずフォーメーションA。

 これが一番苦手だ、みんなでそろって屋根からジャンプする。が、俺だけ揃わない。

 次にフォーメーションB。

 輪になり敵役を包囲する。これは誤魔化しながらも何とかなる。

 最後にフォーメーションC。

 フリースタイル。それぞれ自由にアクロバティックな演技をする。これも目立たなければいける。


 フォーメーションAで揃わなければ、どうしてもそこだけ悪目立ちしてしまう。最初のインパクトは大事なので、ここでのミスは痛い。



 一週間程で何とか動きにはついていけるようになってきた。軽い路上パフォーマンスにはちょこちょこ参加し、バイト終わりにも必死で自主練習をした。

 メンバーは、みんな忍者姿で、順ちゃんさんと憎たらしい犬飼以外はなかなか名前も覚えられないような状態だが、だいぶ打ち解けてきた(犬飼以外)。俺は足を引っ張ってしまう場面もあるが、所々フォローしてもらい(犬飼以外)、アニバーサリーのパフォーマンスはほぼ完成に近づいてきている。

 しっかし犬飼は、俺にだけ突っかかってくる。同い年なのだから仲良くしてくれても良さそうなものを。本当に何なんだあれは。





 いつもの四人で飲み会の日。


 「お疲れな感じだねぇ、猿君。よしよし。」

 麻子先輩に労いのお言葉をかけていただいた。

 

 「すげー頑張ってくれてるよ。」

 ありがとうございます、順ちゃんさん。


 「渉がアニバーサリーで恥をかくのかぁ。」

 恥かくの前提っすか、師匠。

 「そんな事言って、ずいぶん心配してましたよね、佐藤さん。」

 麻子先輩の暴露に感動する俺。師匠が慌てたのか酔っているのかお皿を落とした。


 そんなわっちゃわちゃした空気の中で、ずっと気になっていたことを順ちゃんさんに尋ねる。

 「順ちゃんさん、犬飼ってなんで俺にあんな態度なんですか?」

 あぁと順ちゃんさんが答えてくれた。

 「俺さぁ、高校生の妹がいるんだけど今入院しててね。昔から体が弱くて。けど、ここ数年は調子良かったんだよ。その妹がアニバーサリーパフォーマンスにさぁ、許可とって見にくるんだよ。たぶん羨ましいんだろうなぁ。ダンスとか運動が。」

 順ちゃんさんの家族にそんな事がと思ったが、それと犬飼が関係あるのか?

 順ちゃんさんが続ける。

 「麻子ちゃんから聞いた猿君の話をさ、たまたま妹に聞かせてたら妹が猿君のファンになっちゃってね。で、犬飼は俺と妹との幼なじみなんだけどさ... 。」

 鈍感な俺もさすがに気付く... あのロリコンめ。


 ようは俺に嫉妬してるのだ。あの犬っころは。

 俺の知らない所でそんな事実があったとは、居酒屋の片隅でひとつ疑問がとけるのだった。


 

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