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ロリコンの入口

今日は、朝から忍者村で遊んでいる。

遊んでいると言うより、接待だ。

親戚の小学2年生の女の子を親からポイッとされたので、取り合えず忍者村に来てみた。


ちっちゃい女の子ってこんなに可愛いかったのかとしみじみ思う。

決してロリコンではない。ここ大事。

金も無いのに色々与えたくなるが、それを上回るほどコミュニケーションがとれない。

女の子(名前はあやちゃんだ)はそんなこと等気にせず、無邪気にはしゃいでいる。

情けない大人で申し訳ない...


「て、天気いいね。」


この会話はこれで六回目だったはずだ。

子供は嫌いじゃないが扱い方がわからないので困る。非常に困る。

お土産屋さんなどに寄りながらお城を目指して歩いていると、たまたま通りがかった村長に声をかけられた。


「猿本君、まさかその可愛こちゃんは、さらってきたの?」

「何言ってんですか!!親戚の綾ちゃんです!」

すかさず突っ込んでから、事情を説明する。


「てっきり誘拐か隠し子かと思ったよー。」

おっさんのしつこさに面倒くささをやや感じながらも会話を続ける。

「バイトの身で子供なんて作れません。」

「じゃー、君も社員目指す?」


自分で言っておきながらバイトという現実に胸が苦しくなり、村長から軽く発せられた社員という単語にドキッとする。


そんな大人達のやりとりは一切無視して、早く行きたいとばかりに綾ちゃんに袖を引っ張られる。

体勢を崩しながらすいませんと謝りつつ会釈し、村長と別れた。


「社員かぁ。」

師匠も麻子先輩も社員さんだ。

以前聞いた話だと忍者は八割ほど社員らしい。

・・・・・。


「職業、忍者です。」

口に出してみた。

『聞きました?奥さん、あそこの旦那さん忍者なんですって。』

想像してみた。


ん~社員かぁ...。何か色々と覚悟が必要な気がする。


そんな事をぐるぐる考えていると、手裏剣小屋についた。

となりでキラキラと物言いたげに綾ちゃんが目を輝かせている。


「麻子先輩、お疲れさまです。これお願いします。」

美人風先輩忍者にチケットをわたす。

「猿君、子供いたの!?」

またか!と思うが冷静に返す。

「親戚の子供ですよ。」


さっきの村長と似たようなやりとりをしつつ、手裏剣を受け取り、綾ちゃんにわたす。

麻子先輩が投げ方を教えてくれている。

さすがは麻子先輩。一気に子供との距離を縮めている。


「麻子先輩、その術なんて術ですか?教えてくださいよ。ちっさい子供との接し方がわかんないです。」

とっさに助けを求めてみたものの、別に期待して出た言葉ではなかったが、麻子先輩がスススッと綾ちゃんの元へ行き、ヒソヒソと耳打ちをしている。

すると綾ちゃんが目を輝かせながら俺の方へ振り向いた。


「何言ったんですか?」

「ふふっ。実はあのお兄ちゃんスーパー忍者で、手裏剣上手なんだよって教えてあげたの。」


なんと。


投げない訳にはいかない空気が二人の方から漂ってきている。

少し緊張しつつも前回の鼻ピー事件の時のプレッシャーよりはましだろうと腹をくくって、チケットを先輩に渡し、深呼吸。


 ストトトトトッ!


全て真ん中に刺さり、ほっと肩から力が抜ける。

綾ちゃんは勿論のこと、まわりのお客さんも盛り上がってくれた。

これで綾ちゃんの期待に応える事が出来ただろうか?

上手く彼女の相手をすることが出来ずに情けなさ全開の大人を晒していた俺だが、少しは名誉挽回出来ただろうか?


「まいどありー。」

麻子先輩が綾ちゃんに手を振りながら言う。


突然ぎゅっと綾ちゃんに手を握られる。

さっきの手裏剣のおかげで綾ちゃんとの距離が縮まった気がする。

麻子先輩様々だ。

二人で歩きながら先程の事を思い返し、ここ最近百発百中のアレは特技と言って良さそうだなと考える。

特技バク転と手裏剣。

確実に忍者らしくなっていってるな。ふっふっふっ。



遊び疲れてきたので、帰る前に忍者カフェで休憩していくことにした。

あ、師匠だ。


「いらっしゃいま・・・」


「お前!いくらモテないからってその年齢は犯罪だぞ!!」

何か言われるとは思っていたが、前二人より内容が酷い。

しかも顔が真剣だからたちも悪い。

無視して席に座ることにした。


綾ちゃんには、ニャンジャ君のチョコがのっているパフェを、俺はアイス珈琲を注文する。

師匠は無視された為、渋々厨房に戻っていく。


他のお客さんが居なくなると師匠が出てきてこちらへと寄って来た。・・・と思ったらものの数分でまるで友達のように綾ちゃんとしゃべっている。

身体能力も対人能力も高くて、イケメン。

この人に対しては何故か卑屈にならずに憧れる。調子にのるから言わないけど。


駅で綾ちゃんのお母さんにお礼を言われ、見送る。

「またね。」

と言うと、綾ちゃんはお土産で買ったプラスチックの刀を振りながら

「また来るでござるー!」

と帰っていった。


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