あめがふったら
2019年 06月07日の自身の活動報告で出した、ミニお題~同じ流れを一人称で書いてみよう~
に、少し追記しました。
・流れ
雨が降り出し、歩いていた主人公が傘を広げる。
↓
軒先で雨宿りしている同級生を見つける。
↓
相合傘をして二人で帰る。
この流れを一人称で書いてみよう。
主人公の性別、性格、年齢は自由。
二人の関係も自由。同級生はかつての、でもよし。
イメージは4~5歳の絵本。
ぽつん。
「ひゃっ、つめたい」
おでこにひとつぶ。ふってきたあめに、ぼくはめをつぶった。
びっくりしたけど、でもだいじょうぶ。
えっへん。
こんなこともあるかもと、ちゃんとはすのはっぱをよういしてたんだ。
えらいでしょう?
ぽん、ぱらり。
はすのはっぱにあたるあめ。
あめにあわせて、ぴょんぴょんはねる、ぼくのあし。
ぽん。ぱらり。
ぴょんぴょん。
ぽん。ぴょん。
ぱらり。ぴょん。
「うさぎくん、うさぎくん」
「あ、きつねくん」
ぼくのしんぞうが、ぴょこんとはねた。
「どうしたの?」
ぼくをよんだのは、もりのがっこうでいつもいっしょのきつねくん。
どんぐりのきのしたにいるきつねくんの、くろくてきらきらしためが、ぼくのうしろのじめんをみて、それからぼくのもっている、はすのはっぱをじっとみつめた。
「いいカサもってるね。ぼくもいれてよ」
ぼくのしんぞうが、こんどは、どこどことあばれた。
きつねくんとはね。きのうすこし、けんかをしちゃったんだ。
ぼくはきのう、もりのいりぐちであかいろのカサをひろったんだ。
いまもってるはっぱのカサじゃなくって、にんげんがもってるやつ。
もつところのうえに、ぴょこっとしたでっぱりがあって、そこをおしたらぼんってひらくんだ。
みんな、すごいすごい、いいものひろったねっていってくれたのに。
きつねくんだけ、
「ねえ、うさぎくん。おとしたところにおいておこうよ。それをわすれたこ、きっとさがしてるよ。かなしいってないてるかも」
っていったんだ。
ぼくはそのとき、こころがつんつんとがちゃったから。
「ふん。ぼくのカサがうらやましいからってそんなこというんでしょ。きつねくんなんてしらない」
たたんだカサをだいじにだいじにかかえこんで、おうちにかえったんだ。
でもね。そのよる、ねむれなくって。
ないてるかな。さがしてるかな。
きになって、きになって、だからきょう、そっともとのばしょにもどしたの。
ぼくのうしろには、あかいカサがおっこちてる。
きのうとおんなじように、ぽてんところがっていた。
たったったっ。
ぼくのうしろから、ちいさなあしおと。
ぼくのみみときつねくんのみみが、ぴこんとたった。
ぼくときつねくんは、おおいそぎでどんぐりのきのうしろにかくれたよ。
「あった。よかった」
はしってきたのは、にんげんのおんなのこ。
カサをひろうと、うれしそうにぎゅっとだいて、それからぽんとひらくとかえっていったよ。
「よかったね」
「よかったね」
「きのうはごめんね」
「ぼくもごめんね」
ぼくのながいみみが、ぴこぴことゆれた。
きつねくんの、ふさふさとしたしっぽが、ぱたぱたとゆれる。
「いっしょにはいろ」
「うん」
はすのはっぱのしたに、ぼくときつねくん。
ぼくのあしがはねたら、きつねくんのあしもはねる。
ぱらぱら。ぽたぽた。ぴょんぴょん。ばたたた。
「おんがくかいみたい」
「たのしいね」
はすのはっぱとぼくたちのおんがくかいは、おうちにかえるまでつづいたよ。