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雨と、音
なななんさまの活動報告からのお題です。
お題「音、もしくは音楽、を使って一場面
書いてみよう」
庭木や雨どいから垂れる水滴。
窓を伝う水滴。窓辺のテーブルに置いた紅茶から、立ち上る湯気と香り。
そこへ届いたのは、リコーダーの奏でるきらきらぼし。
向かいの小学校から聞こえるそれは、とても弾んでいる。
時折混ざる、ピーという高音。止まったり、たどたどしかったりする旋律。
思わず口元がゆるんでしまうのは、仕方ないと思うの。
「いつか、あそこであの曲を吹くのかな。君も」
低く落ち着いた声と共に、後ろから伸びてきた手が、膨らんだおなかを撫でた。
しっとりとした午後と、元気いっぱいの笛の音、優しい雨。
満ち足りた私と、隣に立つ彼と、いつかあそこへ通うであろう、あなた。
全てが混ざり合って、穏やかな時を奏でている。
そんな、ある日の午後。
出来るだけ短く、分かりやすく、を心がけてみました。
音楽と雨、恋を絡めて、柔らかく、優しい雰囲気を出そう。
そうして出来上がった小話です。
恋はどこいったって? ふふふ。こんな形もあるんじゃないかな。