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4話

 いつまでも暗い地下で話しているとまた気が滅入ってくるので、地上に出ることにした。階段を登っている最中も剣・・・じゃなかった彼女は色々話してくれた。

 魂宿りの剣は性別があり、彼女は女性の人格になっているから会話をするときは女性として扱ってほしいとか、長い年月を生きてはいるがおばあちゃんではないとか、空腹で腹がなるといろいろな知識があるから地上に出たら何が食べられるものか教えるとか、そんなことを話しているとあっという間に階段を登り切っていた。


「ん~!何年ぶりの陽の光かしら、気持ちいいわね」


 言葉につられて太陽を見ると、あと少しで夕日になりそうなぐらい傾いていた。


ぐるるるるるるるぅ


 隣に誰れかいるのが安心するのかさっきから腹がなるのが収まってくれない。・・・少し恥ずかしい。


「フフフ、そうね、じゃあさっそく食料を取りに行きましょう。もうすぐ夜になるからそれまでに食べ物をとって、城の中の拠点にしてたとこあるでしょう?そこに行きましょう。」

「了解、火を起こせないから、洗えば食べれるもので頼む。」

「わかったわ、それじゃあ森にしゅっぱーつ」



 森が深い、少し進んだだけで方向を見失いそうで、一人の時に入らなくて正解だ。


「すごい森ね、ここまでの深いのは余り無いわよ」


 関心したように言った。


「こっちの世界でもこんなに深いのは早々無いのか」

「ええ、何より魔力が濃いわ。ここまで濃いのはエルフの森の深部に言った時以来ね。」


 その言葉にすこしぎょっとする、エルフが居るのかっていうことよりも、そんな重要そうな場所と同じくらい濃いのかと。


「えっと、大丈夫なのか?魔力が濃い場所にいると体を壊したりしないのか?」

「大丈夫よ、魔力が濃いからって体調崩したりしないわ。むしろ魔力の回復が早くなったり、魔法の威力が上がったりといい事だらけよ。危ないのは瘴気ね、瘴気はそうね汚染された魔力って感じで、逆の効果があるのよ魔力の回復が遅くなり威力が低くなるって感じにね。更に厄介なことに長く瘴気を浴びていると毒の状態異常になることね。ここからもっと奥に行くと魔力が瘴気に変わっていて危ないから近づいちゃダメよ」


 真剣な声色でそう注意してくれた。


「わかった行かないよ。それにしても魔力に魔法か、オレにも使えるかな?」

「今はちょっとわかんないわね、私と契約したら貴方と繋がるからそしたら分かるんだけど。あッ!あの木の実は食べれるわよ。貴方の左斜め前にある木に生っている実」


 言葉に従い目を向けると、りんごのような青い実が生っている。


「りんごかあれなら食べられるな」

「貴方の世界ではそう言うの?こっちではリーマの実って言うわ。あと食べられそうなものは・・・あったわ!えーと後ろ斜め右に少し進んだとこに落ちている木の実」

「へー、こっちだと名前が違うんだな」


 3個木からもいで袋に入れたあと、言われた方を向く。


「今度はクルミかこっちでなんて言うんだ?」


 こっちではどんな名前なのか少しワクワクしながら聞く。


「クルミよ」

「クルミはクルミなのか」


 その答えに少しガッカリしつつ、クルミを拾えるだけ拾って袋の中へ入れておく。


「よし、日も暮れてきたしこんなもんで戻りますか。」


 拾うのに夢中になっていると、いつの間にか夕日が差し込み森の中は緑と紅の美しい色合いになっていた。




 森から城に帰ってくると当たりは薄暗くなっていた。

 昨日までなら今頃は食堂に篭もり段々暗くなっていくのを見つつこれからどうなるのかと不安な夜を過ごしていた。

 が、今はランタンもあるし食料もある、何より話し相手の彼女が居る。安心した気持ちで食堂で食事の準備をすることにした。

 と言っても、リーマの実を洗って、クルミを割るぐらいだけど。


「ほんと君が見つかってくれて助かったよ。あのままだったらなんの準備も装備もなく森に入っていくつもりだったからな、今頃は暗闇の中で野垂れ死んでたかもしれない。だから、改めてありがとう」


 準備をしつつ改めて彼女に感謝を伝える。


「こちらこそ、見つけてくれてありがとう。貴方に見つけて貰えなかったら、あと5年ほどで魔力が尽きて他の剣たちと同じ運命をたどっていたところよ」

「そういえば、100年以上もあそこに閉じ込められてたんだったな。どうやって生き延びていたんだ?」

「LVを犠牲にして魔力をひねり出して錆びたりしないようにしていたのよ、おかげでいまのLVは3で魔力も殆ど無いわ。さっき言った5年は長く見積もってだから、まぁ2年もしないうちに錆び始めて、そこからは遅いか早いかでしょうね」

「ほんとに危なかったんだな、じゃあ早く契約したほうがいいのか?」

「ええそうね、契約してくれると出来ることも色々あるし、でも変な名前つけないでよ」

「わかってるよ、どんな名前がいいか、悩むな」

「難しく考えて欲しいけど、そうね、こう有ってほしいとか、好きなものでもいいわ。とにかく、大切にしてくれる名前がいいわね」

「なるほどりょーかい、頑張って考えるよ。っと、準備完了」


 思いのほか上手くクルミを割ることができた、それを洗った皿に盛って別の皿に洗ったリーマの実を乗せて準備完了。


「あら、くるみを割るの上手いじゃない。ん~そうね、食べている間に色々説明しましょうか。貴方の世界に魔法やスキルは有った?」

「いや、両方共無いよ」

「それじゃあ説明を始めるから、ご飯食べてていいわよ。

 まずはスキルからね。簡単に言ってしまうと一般人より上手く出来るとスキルになるわ。

 例えば料理スキル、肉を焼くだけなら誰にでもできるけど、塩コショウの量とか火加減とか焼き加減とかっていう、もっと踏み込んだ段階になるとスキルになるの。

 そして、スキルには色々効果があって、料理スキルで言うと料理がもっと美味しくなるとか包丁さばきが上手くなるとかっていう様に、そのスキルに関連することがより上手にできるようになるわ。


 次は魔法ね。魔法は魔力を使って様々なことを起こす技術ね。

 火を出したり、水を出したり、変わっているのだと瞬間移動とか、亜空間に物をしまっておけるようにしたりとかね。

 魔法を使うには明確なイメージを思い描きそれを魔力に乗せて詠唱を唱えることで発動するわ。

 まぁイメージだけでも魔法は発動するのだけど、威力が弱まったり魔力を多く使ったりそもそも発動しないなんてことになるのよ。

 あと、詠唱は何でもいいのよ、火よおこれでも、火よでも、イメージを補完できればいいから。

 こんなところね、大体で覚えていればいいわ。」


 ポリポリとクルミを食べながら説明してくれたことを頭のなかで整理していく。スキルは覚えてから技術が身につくではなくて、技術がスキルとして認定され、さらに色々効果もつくと。魔法はイメージが大事と。


「魔法は人によって扱えるものが決まってたりするのか?火魔法した使えなかったりとか」

「そんなことないわよ。すべてはイメージできるかどうかだから。だから、できない人は魔法自体が使えないってことね」

「ほー。それじゃあ、魔力の消費はどうなの?」

「消費魔力はイメージの大きさで変わるわ、規模が大きかったり複雑だったりすると大きくなるわ。

 そうね魔力出力量と魔力持続力についても説明するわ。

 魔力出力量は一度に使える魔力量のことで、個人差が大きく出るの。樽が最大魔力量だとすると、そこから汲み上げられるものが魔力出力量だとすると、人によってはコップぐらいしか汲み上げられないものもいれば、樽のまま使える人もいるの。

 次に魔力持続力は魔法の持続力ってそのまんまね。これも人それぞれでね、ずっと同じペースで走っていられる人もいれば、すぐバテる人もいるのと同じよ」


 なるほどな、と話に頷きつつ最後のりんごを食べ終わる。


「美味しかった。ごちそうさま」





 久々のご飯に満足し、寝る準備をしつつ気になっていた契約について聞くことにした。


「そういえば、契約ってどうするんだ、名前をつけるだけなのか?」

「もうちょっとあるわ、名前をつけてもらうさいに少しだけ血をもらうの、貴方がすることはこれだけ。あとは私が貴方と契約しますっていうだけよ」

「そんなもんなのか」


 少し拍子抜けだった。


「さぁ、もう暗いし契約のことは明日にしましょ、いい子は寝る時間よ」

「わかってるよ、おやすみ」

「・・・子供扱いに何も言わないのね。」

「まぁ、お前から見たら子供みたいなものだろ」

「そうじゃなくてね、もっとお喋りしたくて」

「いや、寝る時間だって言ったのはお前だろ」

「そうだけどそうじゃないのよ!あなたの体を気遣って言ったけど、私としてはもっとお喋りしていたいの!!」

「わかったよ!話してやるからボリュームを下げろ!」

「ありがとう!それでね!あのね!なにを話そうかしら?」

「考えてなかったのかよ、じゃあオレが住んでいたところのことを話すよ、日本って言ってね・・・」


 お喋りをしつつ夜は更けていく。

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