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3話

「あ~要するに100年以上この中にしまわれていて、あと少しで死んでしまうところだったけど、助かったから安心と嬉しさで泣いてしまったと」

「うう~、そうです。ぐすっ」


剣が泣き止むまで20分ぐらい抱きしめていた。

 その間の泣き声に混じった単語でなんとか100年以上しまわれてたっていうのと、あと少しで死んでしまうということが聞き取れた、他にも何か言っていたようだけど、泣き声に混じってわからなかったが、落ち着かせるために適当に相槌をうって落ち着かせていた。

 それよりも、剣が喋っていることや、声がすごく可愛いく、そんな声で泣かれるものだからどうしていいかわらなかった。


「そろそろ、落ち着いたか?」

「グスッはい、落ち着きました。まず、お礼を言わせて下さい、あの暗闇から出してくださり、ありがとうございます。」


 まだ少し涙声で鼻をすすりながらお礼を言われた。

 鼻をすする音はするがお前の鼻は何処にあるんだ、なんて思えるのは余裕ができたからなのかまだ混乱してるからか。


「どういたしまして。ところで、聞きたいことがあるんだけど・・・あの、その、あ~、なにか聞けばいいものか」


 聞きたいことが色々有り過ぎる、ここが何処なのか、なぜここがこんなに荒れ果てているのか、人は何処に行ったのか、他に人が暮らしているところを知っているか、なんで剣が喋っているのかとか他にも色々。


「そうですね、私も聞きたいことがあるのですが、まず自己紹介からはじめましょうか。私は魂宿りの剣、名は今はないです。」

「そうだな、オレは賀川 健太郎です って名前がないのか?」

「ええ、今はないわ、私のご主人様になる人が名前をつけるの、それが契約になるから」

「契約する必要があるのか?」

「あるわ。魂宿りの剣は主と共に成長する剣とも呼ばれていてね、成長するという言葉道理に魂宿りの剣はLVアップをすることが出来るわ。

 上がるものは魔力保存量と切れ味だけど、LVが上がれば色々スキルも覚えたりもするのよ。

 そして私はそれはもう切れる物はないと呼ばれる名剣でね、数々の主を渡り歩いてきたわ。」


 ・・・すごいドヤ顔が思い浮かぶな。でも気になることがあるな、この世界には魔力がありLVの概念がある。


「聞きたいことが増え続けるけど、君がすごい名剣ということはわかった。」

「そうでしょうすごいでしょう!えっと、それでね、貴方に聞きたいことっていうのが、私のご主人様になってくれるかってことなの。」


 不安そうにそう訪ねてくる。


「オレなんかいでいのか?剣なんて扱ったことないし。名剣なんだろ剣術の達人みたいな人に、なってもらったほうがいいんじゃないか?」


 剣術なんて習ってないし、チャンバラごっこや体育でやった剣道はやったうちに入らないだろ。

 それに名前はないって言っていたけど、元の世界で言うデュランダルとかエクスカリバーとかの伝説級の剣かもしれないしな、こんなとこに隠されてたぐらいだし。


「貴方がいいのよ、私を暗闇から救い出してくれた人だもの。たしかに私を上手く扱ってくれれば嬉しいわよ?でもね、そんなことより私を一生大事にしてくれる人のほうがいいのよ。」


 ・・・相手は剣なのにすごいドキッとした。待ってそれ告白じゃない!?


「……恥ずかしいセリフを言うな、プロポーズみたいだぞ。」

「恥ずかしくなんて無いわ、100年以上助けてくれる人を待っていたんだもの。助けてくれた人に一生を捧げたいと思うのは間違ってないでしょ。」


 みたいじゃなくて、そのまんまでした。


「その、なんというかだな、オレはここが何処だかわからない、気づいたらパジャマ一枚でこの城にいた。城は荒れ果てていて誰もいない、水は有ったが食べ物はない、どれが食べられる物なのかもわからない、この世界がどんな物なのかもオレにはわからない。正直生き残れる気がしない。帰り方がわからない。明日には死ぬかもしれない。正直不安でいっぱいだ。

 自分でも何が言いたいのかわからないが、こんな情けない男だけど、よろしくお願いします。」


 言葉を出していくうちに今まで押し殺してきた感情がこみ上げてきて途中から涙声になっていく。


「ありがとう、契約するって言ってくれて、契約自体は後でにしましょう。それにしても、何でそんな不思議な格好してるのかと思っていたけど、貴方迷い子なのね。」


 そんな言葉を聞いてこみ上げていたものが引っ込んでいった。


「迷子?」

「迷い子、まぁ迷子な事自体は同じなんだけど規模が違うわ、迷い子は別の世界からこの世界に迷い込んだ人のことを言うのよ。昔はまれに居たわね。」


 ・・・まれに居たってことは、複数人居たってことか。


「その人達は一体どうなったんだ?」


 もしかしたら、すぐに帰れるんじゃないかと希望を込めて聞いた。


「様々ね、運悪く死んじゃった人もいたけれど、結婚して幸せに暮らした人もいれば、王様なった人も居たわ、私のご主人様になってくれた人も居たわね。」


 オレが聞きたい答えはいわず、でも不安にさせないように、安心させるように、こっちの世界でも幸せに暮らした人がいるんだよと、少し明るく言ってくれた。


「そうじゃなくて、帰ることが出来た人はいたのか?」


 でも聞きたかった、この数日頑張ってきたのは、必ず帰るという思いがあったからだ。


「・・・ごめんなさい、わからないわ。帰ったっていう話も聞いたことがあるけど、確実に絶対帰れるとは言えないもの。でも、100年以上昔の話だから、今は帰れるような魔法とかができているわよ!」


 そう言って元気づけてくれる。


「・・・そうだよな、帰れるよな。ありがとう元気づけてくれて。」

「貴方は私のご主人様になるんだから気にしなくていいわ。だから、もっと私を頼ってくれていいのよ。」


 そんなことを言った剣は可愛らしく微笑んでいるように見えた。



どんどん筆速が失速していく。

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