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黄金の物語  作者: 柳の花
9/10

エルトレーアの森、黄金の宝

俺はアリシアとスウィートなタイムを過ごし、忘れかけていたエルフたちを思い出し急いで戻った。一応龍王装を身に纏っておいた。エルフたちは俺たちが来たことに気がついたがアリシアがいるため近寄りはしない。俺たちはあまり近寄らず話しかけた。


「待たせてしまいすまないな。話が盛り上がってしまってなHAHAHA。話した結果、アリシアは俺が貰うことにした。安心しろ、俺が助けた責任を果たすため無事にエルフの森に連れて行ってやろう。」


俺がそう言うとエルフたちは疑う眼差しを向けて来た。


「あ、あの…アリシア様のことは私たちでは判断が出来ませんが二度と森には入れないと思います。だから、なんとも言えません。そして、私たちを森へと連れて行くとはどうやってですか?まさか、徒歩ですか?」


一番背が高い女性が前へ出て喋った。表情は何かに恐れているのかとても固い。アリシアは森へと帰れないと聞き、少し寂しそうな顔をしたので抱き寄せ頭を撫でた。身長が2メートルある龍王装を纏った俺にとってアリシアの頭が丁度いい場所にある。頭をガシガシ撫でてやると「はわぁ〜。」と言って照れながら困っている。


「大丈夫だ、全員俺が運ぶ。」


俺はそれだけ言うとアリシアに少し待っていてくれとだけ告げ、少し離れて誰もいない所へと移動した。皆が疑問に思っているのが顔を見ずとも分かる。


俺は十分に離れたことを確かめ、龍化する。黄金の鎧がそのまま肥大化してゆき龍の形へとなっていく。12メートルぐらいまで大きくなり、両翼を伸ばし身体の様子を見る。


相変わらず輝いている黄金の鱗や甲殻、人化の時と同じ紅眼だが威圧感がヤバい。逞しい腕と脚、幻想的で見る者は魅了されるが溢れるだす尋常ではない覇気に現実へと引き戻される。リュウは片翼を地面に下ろし背中に乗るように告げる。


しかし、アリシアを含むエルフたちは目の前で起きた事が理解できず、目の前に現れた桁外れの大きさを持つ龍に見惚れている。


エルフたちはもう一つ太陽があるかのように感じてしまうほどの輝きを放つ黄金の龍に完全に心酔している。それは、まさに神様が降臨したかのようだ。


俺は正気に戻すため地面を叩いた。それだけの行為で地面が揺れ、エルフたちはまともに立てなくなってしまい転倒してしまう。全員目を覚まし黄金の龍を見る。紅眼に見下ろされ全員身体が鉄の如く硬直した。


「みんな背中に乗ってくれ。」


俺がそう催促するとアリシアを含むエルフたちは急いで翼に登り背中へと移動した。


「一応安全大事に飛行するが飛び出ている鱗にしがみついてくれ。周りは風魔法で覆うから吹き飛ぶことはない。アリシアッ!」


俺は説明をした後、アリシアを呼ぶ。


「は、はいッ。」


「お前は俺の頭の上だ。話し相手と道を教えてくれ。」


「わかりました…きゃッ!」


俺の背中は突起した鱗のせいで歩くことが困難のため風魔法でアリシアを頭の上まで浮かせながら移させた。それにしてもアリシアは薄着のままだったな。創造魔法で黒いローブを創ってアリシアに渡す。いきなり目の前にローブが出てきたことにびっくりしたが一応持った。


「その格好では肌寒いだろ?そのローブを着てくれ。後で似合う服も創ろう。」


「ありがとう。」


俺は背中を風の魔法で覆い、エルフたちも背中に固定化させる。頭の上にいるアリシアがローブを来て、座ったことを確かめ風魔法で覆い固定化させる。これで落ちることはないだろう。


「全員乗ったか?違和感は何かないか?」


「だ、大丈夫です。全員乗れました。」


「あいわかった。……ぴ〜んぽ〜んぱ〜んぽ〜ん。え〜本日はゴールデンドラゴン号を利用して頂き誠にありがとうございます。本機は今すぐエルフの森へと向け離陸します。そのため、シートベルトはお締めなると思いきや鱗に掴まっていてください。どうしてもおしっ「ぺしっ!」…トイレに行きたい場合は我慢してください。それでは…アイ キャン フラアアァァイイイィィー!!」


俺は途中アリシアに叩かれたが身体を上昇させ、周りの景色が一通り見える高さで停止した。風魔法でお互いの声が通り易くする。


「アリシア、森はどっちだ?」


「…あっち方から私たちの森が感じられます。間違いないと思います。」


「分かった。しっかり掴まっていろよ。」


俺はそう言うと大空を飛び始める。今回は大勢乗っているため一応減速しながら滑空する。万が一何かあったら嫌だからな。俺は暇だからアリシアと話すことにした。


「アリシア、スリーサイズはいくつ?」


「ええっと、上から92・5…って何を言わせるんですかッ!!へ、変態なんですかッ!」


「違う!俺は変態ではない。ただ、アリシアの事をあまり知らなかったから知ろうとしただけだ。家族のことを知ろうとすることは間違っているのか?」


「確かに間違っていません。私だってリ、リュウのこと知りたいですもん。」


頬を赤くして言う。名前はまだ恥ずかしくてハッキリとは言えないらしい。


「なら答えてくれ。今日のパンツの色は⁈」


「えとえと、待ってて下さい。今確かめますから………やっぱ何かおかしくありません?」


「何がだ?変な質問した……はっ!まさか穿いていないッ??!!」


「穿いてますッ!私は一応ハイエルフだったのですから!そんなアブノーマルな事はしませんッ!」


「そっか…。」


「どうして残念がっているのですかッ⁈」


「それはさておき後どれくらいの距離だ?」


「………なんか恥ずかしくなってきました。このスピードであれば後3時間ちょいで着くと思います。」


「ふむ、そろそろ太陽が沈むから急いだ方がいいな。エルフたちッ!聞こえるかッ!」


俺は風魔法で背中に固定化しているエルフの皆に声を届かせる。


「「「「「は、はいッ!」」」」」


「これから飛行速度を松○修○のテンションの如く急激に上げるからしっかり胸を鱗に押し付けて掴まっているようにッ!」


「「「「「…わかりました!」」」」」


エルフたちに忠告しスピードを上げようとするとアリシアが頬を膨らませながら頭をペシペシ叩いている事に気付いた。面白え顔しているな。


「どうした?トイレか?大?小?」


「だから、何故リュウはお下品なことを平然と言えるのですかッ!それにトイレではありません!どうして皆さんに胸を押し付けるよう言ったのですかッ⁈普通に掴まっていろ、でいいではないですかッ!そんなにエッチな事が好きなのですかッ!!」


「男の性、俺の生き甲斐だ。好きなものは筋肉、金、そして女だッ!覚えておけよ!……掴まっていろ!」


俺は両翼を全力で羽ばたかせ大空を突き進む。風魔法をより強化してアリシアやエルフたちを絶対に落とさないようにする。周りの風景がガラリと変わり森へと変わる。緑が生い茂っており、風でユラユラと揺れている。上からでは大きい動物しか見えないが熊や鳥もいる。こっちの食材はどうなっているのか。日本のと同じものか、それとも異世界固有のものか知りたいものだ。あ〜腹減った。


「あっ、リュウあそこよ。あの精霊古樹と言われている大きな木が見えるでしょ?あそこ近辺よ!」


アリシアが声を弾ませながら教えてきた。確かに一本だけボンヤリとだが輝きを放っている大樹がある。他の木の10倍はありそうだ。一応鑑定しておこう。


【精霊光樹】

光の精霊王イーニアの魂が宿っている古の大樹。光の精霊全てここで生まれてくる。


何か凄そうだな。この鑑定結果を見る限りでは光以外の精霊王がいる大樹は別の場所にあるということか。


俺はそう言いながら精霊古樹の麓を見ると神殿や広場、木の上や下に家的なものが見えた。意外に広そうだ。多分アリシア達は手前側にいたためオーク達に捕まったのだろう。他は奥や地下に逃げたのではと思う。俺は場所的に考えて広場に着陸することにした。その前に下にいるエルフ達全員を引きづり出すか。


俺は防音のためアリシアを含むエルフ達を風のカーテン的なもので覆う。これで鼓膜が破れたりしないだろう。アリシア達は俺が何をするのか分からなくキョトンとしている。


俺はそれを無視し大地が揺れ、空気が張り裂けそうになる程の咆哮を放った。森は大きく動き、反響音が辺りを鳴り響いた。


下を見るとぞろぞろと若い容姿のエルフが出てきた。皆咆哮を聴き何が起きたか知りたく出てきたが、俺の姿を捉えると神秘的な龍に心酔するがどんどん恐怖感が生まれ絶望する者、頭を下げ祈る者、勇敢にも武器をとる者、様々な態度を示す。


「リュウ、一体何をするつもり?」


「下に降りてエルフ達を下ろす。その後は知らん。」


俺は広場へと降下していく。下のエルフ達は蜘蛛の子を散らすように後退して着陸する場所をあける。そして、俺は広場に足が付き、周りを見渡す。


深い緑や明るい緑など緑色を基調とした服を大方着ており、他は白のTシャツだ。素材はわからない。杖や弓、剣を主な武器のためか男たちは弓か剣、女は杖を持つ者が多い。俺は紅い瞳でエルフ達を一通り見て告げた。


「ここで一番偉い奴を連れて来い。そしてエルトレーアという氏を持つ者も連れて来い。出来るだけ早くな、俺腹減っているから。遅いとここにいるエルフ全員椀○そばのように食べるぞ。」


俺がそう言うとエルフ達はパニックになっていた。まず喋ったことにビックリし、次に偉い奴とエルトレーアを呼べと言ったことだ。ハイエルフ様に自ら会いに行くことは出来ない。しかし、呼びに行かないと食べられる。だが、全員頭を悩ませている時だった。


「私に何か御用かしら?金色、いや黄金の龍王さん。」


そう言いながら前に出てきたのは妖艶な雰囲気を醸し出す絶世の美女、アリシアと瓜二つの容姿に金髪を一つに束ねた若い美少女、あと男一人だった。鑑定のスキルを持っているな。人化したら隠蔽しておこう。


「お前らがリースティア、マグサ、シンシア・エルトレーアか?」


俺は鑑定をしながら聞いた。ステータスでは名前欄にしっかりと載っている。


「そうですがこの森に何をしに来たのです?魔物……ではないですね。貴方に対して害することは何もしていないと思うのですが?」


アリシアの母ちゃんのリースティアが堂々とした態度で皆の前へと進み返事をする。しかし、俺はリースティアの瞳を視て薄っすらと笑った。瞳の奥にはしっかりと恐怖があったからだ。いい度胸だ。


「いやなに、ただ豚共を食べていたら腹がいっぱいになってなぁ。食べ残しをお裾分けしてあげようと思ってな。」


俺はそう言うと片翼を地に下ろし背中にいるエルフの女性たちに降りるよう伝えた。女性たちは一目散に翼から降り家族、大切な人の元へ涙を流しながら会いに行った。アリシアは頭の上で隠れている。表情が読めないが大体想像がつく。

エルフたちは感動の再会を果たし、会話に花を咲かせようとしていた。リースティアは信じられないと言う顔をしていた。。俺は淡々と告げた。


「豚共が極上なものを持っていたからな、思わず皆殺しにして奪ってしまってな。」


「あ、あのオーク兵団を一人で殲滅したのですかっ⁈オークの帝王がいたはずです!まさかと思いますが殺したのですかッ⁈」


「あぁ、500匹近くいたオーク兵団やエンペラーオークのゴンバー、奴らの巣にいたオークも全て俺が殺した。」


リースティアは瞳を限界まで開き驚愕している。確かに目の前にいる黄金の龍王のステータスは信じられない数値だ。オークの王や他の生物とは次元が違う。そして、ある事に気がつき龍と話そうとした時だった。


「あ、あのすみませんッ!妹のアリシア・エルトレーアという女の子を見ませんでしたか⁈」


急に前に出てきたのはアリシアの双子の姉、シンシア・エルトレーアだった。肌と髪の色を除けばアリシアとそっくりだ。目の端に涙を溜め、祈るかのように両指を絡め聞いてきた。


「シンシアっ!下がっていなさい!」


「で、でもッ!お母様も泣きながらアリシアのことを言っていたではありませんかッ!オークに攫われたってッ!」


「いいから下がっておりなさいッ!」


シンシアはなお引き下がらずリースティアに食らいついている。俺はこいつらがアリシアを見捨てたと思っていたが、どうやら勘違いだったようだ。頭の上で隠れているアリシアもめそめそ泣いている。俺は頭にいるアリシアを下ろすため片手を頭付近に持っていった。全員が俺が何をするか見ている。


「アリシア」


俺がそう言うと手のひらにアリシアが躊躇いながらも乗り、地面に降ろした。

ダークエルフであるアリシアを降ろした事で周りが大騒ぎする。


「ダークエルフよッ!!」

「災いがまた訪れるッ!」

「逃げるんだーッ!はやくここから離れるんだッ!」

「や、奴は漆黒の悪魔ッ!右手が共鳴しているッ。」


……変な奴が一人いたがエルフ達はアリシアを恐れ、罵り、貶した。俺は黙らせようと龍王の覇眼を発動した時。


「---静まりなさい。」


リースティアは大きい声でもないのに澄んだ威厳ある一言で周りのエルフたちの行動を止めさせた。それも声の中と表情が怒りで満ちていた。まさに氷の刃の如き声であった。


アリシアに近づくリースティア。アリシアはビクビクして挙動不審になっていて最後には俯いてしまった。そんな態度にリースティアは何処か寂しそうな表情をしていた。そして、1メートルぐらいの間合いを残し歩みを止めた。


「---アリシア、貴方はダークエルフとなった身。森へ入ることは本来許されないことだという事を理解していますか?理由は分かっているはずですね。早急にこの森から出て行きなさい。」


冷酷で無慈悲な声を掛けるリースティアの声にアリシアは瞳から涙を零しながら家族を含むエルフ全員に大きな声で告げた。その瞳はは覚悟と勇気ある眼であった。


「---私、アリシア・エルトレーアはこの身がダークエルフになったとしてもこの森の民、皆さんの事を大切な人達であることは変わりありません。私はハイエルフとして生まれてきた事を誇りに思っています。ですから、私は二度と災いを起こさせないためこの森から出ます。皆さんにイーニア様のご加護があらんことを祈っています。……お母様、お父様、そしてシンシア。今までお世話になりました。私はこれからこの黄金の龍、リュウと生涯を共にします。---どうか森の民をこれからも導いて下さいね。」


アリシアは泣きながらもしっかりと言葉を告げ、俺の元へと戻ってきた。シンシア、リースティアは泣き崩れ、マグサも涙が溢れていた。周りのエルフも戸惑っていて身動きがとれていない。


「安心しろ。お前の娘、お前らの姫は俺が命に代えてでも護る。---絶対にな。」


「ア、アリシアを宜しくお願い致します。幸せにしてあげて下さい……ッ。」


俺は手のひらにアリシアをのせ、大空へと飛び立つ。アリシアは泣きながらも笑顔で手を振っている。その光景にエルフ達は息を飲んだ。日は沈み夜と成した常闇の空に羽ばたく黄金の龍、流れる銀の髪を靡かせ笑う元ハイエルフの姫、月の光が反射し金と銀の幻想世界を創り上げている。この場にいる者は息をする事を忘れるほど目が話せず魅了されていた。龍が精霊古樹の方へと飛んで行き姿が見えなくなるまで動ける者は誰一人いなかった。





俺たちは今精霊古樹の太い枝の上にいた。勿論俺は人化しており、アリシアと俺の服を創った。アリシアの服は俺の趣味で創った、白いキャミソールドレスで胸の辺りに銀の華を付け、スカートは膝丈ちょい上のフリフリに仕上げた。俺、エロと萌えは両立するタイプなんだッ!最初は凄く可愛いと喜んでいたが後々恥ずかしくなって来たのか内股でモジモジしている。ローブを取り上げ、上から茜色のコートを着させた。俺は嬉しくなり隣に座るよう促した。ちなみに俺は前の服は着ていたが純白のロングコートを羽織っている。背中には一文字、『龍』と。特に意味はない、てへっ!


俺は服を創っている最中に気づいたのだが日本にいた頃の知識は確かにある程度持っている。しかし、今アリシアの服を創った時に思ったのだが知らなかった知識を知っている。キャミソールドレスなんて言葉は知らないはずだ。俺には女装などそっち系の趣味はなかったような気がする。爺さんの仕業か……まあ、あって困る訳でもないしいっか。


「……月が綺麗ですね。こんな高いところから月を見るのは初めてです。」


アリシアはボンヤリと輝く月を見ながら感想を漏らす。俺も月をこんな高い場所から見るのは初めてだ。高すぎてアリシアは下を決して見ないけど。


「アリシア、これから沢山の初めてをさせてやる。俺はまだまだ家族を増やしてお前に史上最強最高の家族を見せてやる。しっかりとついて来いよ。」


「……私以外にも何人嫁をつくる予定ですか?」


「それはその時になってみないと分からん。しかし、最低でも3人は欲しい。元気な子供も欲しいしなッ!信頼出来る仲間も必要だしな。義兄弟でも作るかッ!」


俺はこれからの事を考えると自然と笑みが増す。楽しみでしょうがない。アリシアもそんな俺を見てしょうがないという顔をして寄り添い凭れ掛かる。俺はそんなアリシアを見て愛おしくなるのと同時に覚悟を決めた。アリシアを正面から見てお願いした。今までのふざけた顔ではなく真剣な面で。


「……アリシア、もう一度問う。俺が死ぬ時共に死んでくれるか?俺にいつまでもついて来てくれるか?」


アリシアは一瞬瞳を大きく開いたがすぐに優しい穏やかな笑顔になった。その笑顔は何よりも美しかった。


「はいっ!!」


俺は嬉しく抱き締めそうになるがまずはやる事をやろう。俺は固有能力のスキル、『龍魂の契り』を発動させる。俺から黄金の気が漏れ、周りを埋め尽くして行く。外の世界から離すかのように俺たち二人だけの空間となる。精霊古樹が反応したのか光の精霊の光玉が樹から発され上へと昇ってゆく。俺とアリシアは向かい合いお互いに笑う。こんな幻想と夢想な世界を見ていたら心が踊る。そして、俺の黄金の気がアリシアを包んで渦巻く。俺の心、いや魂がアリシアの魂が繋がったのを感じ前を見る。


その時、精霊古樹から淡く光輝くものがアリシアの方へと飛んでいくのを見た。そして、そのままアリシアを渦巻いている中に入っていた。それは何なのか分からんが意外と良いものだろうと思った。何故かって?……だって流れ的そうかなと。てへり。


そんな適当な事を思っている最中、渦巻いていた俺の気がアリシアの中へと全て入り姿が見えてきた。俺は眼を疑った。眼を擦りまくってアリシアを見た。


---その姿は一言で言えば女神。褐色から雪のような真っ白と色が変わった肌、銀色が俺と同じ金よりも光輝いている黄金となった長髪、光を浴びた深い森を連想させる翠眼、高い鼻と潤う可愛い唇、俺が創った純白のキャミソールドレスの上からでも分かる豊かな胸、括れた腰、細長く綺麗な脚、全てが理想を実現させた人がそこにはいた。


俺は言葉に出来なかった。息も出来ず変わり果てたアリシアをずっと見ていた。アリシアは自分の姿を見下ろし、髪の毛や肌の色を見た。そして泣きながら俺に抱きついてきた。


「うぅ……わ、私元の姿に戻ってますッ!自分でも言うのも何なんですがスタイルも髪の艶も綺麗になってますっ!」


「…………はっ!意識が銀河系の奥深くまで行っていた。後ちょっとでビッグバンするところだったわ。それよりもアリシアの事だな。」


俺は胸に縋るアリシアを抱き締め頭を優しく撫でた。


「アリシア……俺はどんなお前でも受け入れる。過去、現在、そして未来。お前がどんな姿になったとしても側にいるからな、絶対にな。」


「わ、私も絶対に貴方の側にいます!あっ、ああああ愛していますッ!!」


アリシアの告白に俺はくちづけで返した。長くお互いの存在を自分の心に刻むかのように。


「俺も愛しているぜ、アリシア。」


俺は精霊古樹に背を預けるように座りアリシアを抱き締めながら眼を閉じた。



---精霊が舞い上がり、月が虚ろに輝く夜。黄金は胸に抱く。



---初めての『家族』という宝を。






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