邂逅、そして告白
オーク達を殲滅した俺は荒れ果てた戦場に落ちている武器を仕舞おうとしたが、ここまで急激に成長した自分のステータスが気になり見ることにした。オークナイト、メイジ、アーチャー、ランサー合わせて約500匹。そして、ゴンバーことエンペラーオーク一匹。どこまでレベルが上がっているか。吸収済みのスキルの状態は。俺の筋肉はッ!
【名前】リュウ
【年齢】 0歳
【種族】 黄金の龍王(半魔人族)
【性別】 オス
【レベル 】 168
【体力】 859990/860000
【魔力】 ∞
【筋力】 S
【敏捷】 A
【精神】 S
【スキル】 絶対鑑定 絶対隠蔽 宝物庫(龍神剣アルビオン、龍神刀-朧月光-など) 創造魔法Lv10 無詠唱 雷魔法Lv10 魔闘 スキル吸収・付与 筋力強化Lv10 槍技Lv10 剣技Lv10 弓技Lv10 盾術Lv10 火魔法Lv10 風魔法Lv10 土魔法Lv10 体術Lv8 斧術Lv4 統率Lv3 闇魔法Lv2 光魔法Lv1 投擲 錬金 採取 採掘 五感強化 固有能力(インフェルノ、飛行、龍魂の契り、龍王の覇眼、龍酒の泉、龍化、人化、龍王装、異種間配合、絶倫)
よしッ!超成長しているし、一番欲しかったスキルがある。想像以上の成果だ。まず、種族が魔物から半魔人族になっていることだ。スキルの人化を使えば人の住む所に無事に入れるだろう。これは一番の収獲かもしれないな。てか、『黄金の龍王』ってもう食物連鎖の頂点に立ったんじゃね。身体もより輝きを増していて、周りを照らしている。ヤバい、全身が写る鏡が欲しい。ブルジョアな姿が超見たい。
次に爺さんから貰った武器が変化している。ふと思ったのだがこの剣と刀、俺と繋がっていないか?俺が進化するのと同時に武器の格が昇格した。これが何よりもの証拠である。爺さんも粋な事しやがる。後でポ○ピ○ア買ってやろう。
レベルは凄い上がったな。まぁ、あれだけのオーク達と王を倒したから妥当ではあるがね。能力値はレベルからして分かるが。魔力は無限ってことでいいのか?誰も俺を止められなくなるけどいいかな〜?…あっ、一人だから返事ねえや。グラサン掛けないと駄目だなこりゃ。
王の狂化以外のスキルを吸収し、レベルを加算させていく。戦闘系や魔法系は全ていただきました。しかし、光と闇があるのに水魔法がなかったな。ありそうなスキルなのだが。あとは、採取・採掘はあれば便利だと思い吸収した。珍しいスキルが一つ、錬金を手に入れた。これは創造魔法よりは劣るがレアであろう。
固有能力は、種族において昇格したから自動的に強化されている。ブレスの進化形のインフェルノ、龍血の契りから龍魂の契りとなっている。インフェルノは業火の地獄、ブレスよりも恐ろしい。しかし、やってみたいという自分がいる。てへっ。
龍王の覇眼は黄金の龍王となった俺の覇気ある眼であろう。今の俺に睨まれたらどうなるのだろう?俺だったら死んだフリするがなッ!
そして、今回の一番の目玉商品の龍化・人化である。龍化はこの姿になり、人化は人の姿になる。単純明快だな。しかし、いざ人化するとなると少し怖い。もしも、異形な姿だったら、禿げてたら、メタボだったら、赤ちゃんだったら、チ○コなかったらと思うとぞっとする。
俺は期待大半不安少々で人化を試みた。そうしたら、12メートルほどあった龍の姿は185センチメートル前後の男の姿となった。全体的に少し細いが肉体が絞られるだけ絞られていて生前の肉体と似ている。そして、逆立だった金髪、鋭く力強いが何処か暖かさも感じさせる紅眼、すらっとした鼻と美を極めた青年がそこにいた。リュウは創造魔法で鏡を出し自分の変わり果てた姿を凝視していた。
「…誰だこいつ、と言いたいところだが前の俺は死んだ。だから、気分一転姿形変わっても変わらない。俺は俺だ。しかし、体格はそんなに変化はなし。身長はちっと伸びたな。髪はそんなに長くはないが逆立っているな、怒ったサ○ヤ○ではないから大丈夫だろう。髪と眼は綺麗だな。髪なんて軽く輝いているぞ、すげぇなオイ。眼なんて宝石か?」
俺は自分の肉体美を鑑賞しながらある事に気がついた。
ーーー全裸だった。完璧な。
俺は荒地一人全裸でいることに開放感と高揚感を感じながらある一点に目がいった。
「oh…逞しい息子だぜッ!元気で何よりだ。」
俺はそんな事を言いながら創造魔法で服を創った。黒靴、ベルトを巻いたジーンズ、黒のタンクトップと動きやすさと前世の時のお洒落を取り入れた服だ。イケイケだろ?
俺はラストに龍王装のスキルを使った。身体を黄金のオーラで埋め尽くされると2メートルぐらいの黄金のフルメイルを纏ったリュウがいた。フルメイルの素材は黄金色に輝いている龍の鱗や爪、甲殻、牙で出来ている。もちろんこれは龍化している時の身体の部位だ。背中には小さく折りたたんだ両翼があるが、伸ばせば鎧のような翼が出てくる。頭のヘルムは目の部分が紅眼が外から見えないようにぬっているが、口元は食事が出来るよう下にスライド出来る。一言でいえば自身の身体の部位を使って出来た鎧を纏っている感じだ。凄く馴染んでいて、最早完璧に身体の一部である。
俺はふと周りを見ると太陽を見ると日が沈み始めていることに気が付いた。残りのスキル確認を後日に回して、武器を全て宝物庫に収納した。剣、槍、弓、弓矢、杖、盾などである。おそらく俺は使わないから何処かで売ろう。その後、殆どが跡形もなく消えているが、オークの死体から茶色の欠片を回収する。これももしかしたら売れるかもしれないからな。
そして、周りを見渡すと端の方に5台の荷車があった。俺は鎧を着たままスキップで荷車に向かった。
「どんな宝物が入っているかな〜。大秘宝○ンピ○スかな〜、それとも食べ物かな〜楽しみやな。」
俺は褌で学校へ登校する並みに爽やかな気分で一台の前に立ち止まった。荷車には小さな穴が開いており、扉には頑丈な鍵がかかっていた。俺はそれを簡単に引きちぎり中を見た。そこには驚くべき光景があった。
ーーーそこに居たのは耳が長い種族、エルフがいた。15人ぐらいの女性がいた。女性たちは皆若く綺麗な顔や顔面やフェイスだった。線が細く、金髪は幻想的な感じを受けるが、着るものが所々破け半裸状態であり、目が皆死にかけていた。両手足をロープで結ばれており、身動きがとれないようになっていた。
女性たちは扉を開いた瞬間眩しさに目を細め、全員がこちらを見た。俺の姿をとらえると瞳を大きく開け、驚愕していた。
「…えっと、元気ですかッ!」
俺は第一印象と場の空気を考え、明るく声をかけた。てか、吼えた。そしたら一人の女性が声をかけてきた。
「…あの、貴方は?私たちはオーク達に捕まり運ばれていたはずですが?」
「俺の名前はリュウ。オーク達は俺が殺した。ネタをスルーした事は忘れないからな。」
俺がそう言うと女性たちは瞳を大きく開け、次第と大粒の涙が瞳からこぼれ落ちた。オーク達慰めものにならずにすんだという嬉しさ、喜びからの涙であろう。大きく声を上げて泣く者、お互いの身体で支え合い喜びを噛み締めている者、まだ状況について行けない者、不安・恐怖から解き放たれて眠りについた者など様々な反応をするエルフたちである。俺は荷車に登った瞬間ぴたっと声が止まった。全員疑問と恐怖を抱いている表情を見せた。
「助けて頂き感謝申し上げます。しかし、何故私たちを救ったのですか?オークの軍団、そしてオークの王を倒したと言う貴方はなにものですか?そして…わ、私たちをどうするつもりですか?」
エルフの一人が勇気を振り絞り問い掛けてきた。俺、何かしたか?
「悪いが救う気はなかった。たまたまオークの軍団を見つけ、滅ぼし宝物を横取りしようとしたらあんた達を見つけたって流れよ。安心してくれ、報酬はいらん。どうしてもって言うなら君の笑顔が見たいぜベイベー(キリッ)。」
「…他の荷車にも同族がいるのです。確かめさせて下さい、お願いいたします。」
何?俺完全に滑ってんじゃん。てか今絶対スルーしたよね?何こいつ?的な感じでスルーしたなオイ。いやしかし、俺のネタが高難度すぎてついて行けてないかもしれないな、うんそうだ。
「俺も手伝うとしよう。」
そう言ってナイフを創造しロープを次々切っていく。てか、エルフってベッピンさんしか居ないのか?滅茶苦茶綺麗なのですが。近くから見るとイヤでも分かる。そして、俺は気付いた。全員が半裸状態であることに。俺は一人一人ロープを切るついでにチラ見する。鎧越しだから目線は気ずかれないと思う。そして、各々にフード付きのローブを創造し与える。その時、自分達の姿に気づき頬を赤らめ、恥ずかしそうにローブを受け取っていく。やだ、カワイイ。
ローブを受け取ったエルフから荷車から降りて他の荷車に向かう。寝ている者はロープを切り横には並べ毛布を創造して掛けてあげた。俺は一つ目の荷車から降り次に向かうが皆俺を見てた。
「あの…すみません。鍵はありますか?」
一人のエルフが気恥ずかしそうに聞いてきた。
「今から開けよう。待っていてくれ。」
俺は全ての荷車の扉に掛かっている鍵を引きちぎり扉を開ける。その姿にエルフ達は呆然とする。中には同じように沢山のエルフ達がいた。眼福ですッ!周りにいるエルフ達にお願いした。
「事情はあなた達から説明してください。俺がすると怖がってしまうから。宜しくお願いします。」
俺はそう言うとエルフ達は頷き、荷車にいるエルフ達に現状を説明していた。泣き声、歓声などが聞こえてくる。
全ての扉を開けたと思ったが5つ目の荷車は他のと比べ小さかった。入れても3人ぐらいか?食料か宝、どっちかなと思いながら扉を開き中を見る。
ーーーその瞬間俺の世界が止まった。
中にいたのは、薄い服に身を包んだエルフが一人いた。16歳ぐらいの容姿に見えるそのエルフは肌が褐色で、髪の毛が長く銀色に光り輝いていた。大きく盛り上がった胸に華奢な身体と抜群なスタイルが立たずとも分かる。正座をしているため深い谷間が出来ており、思わず目が魅入ってしまう。しかし、そのエルフはリュウを捉えた時大きく眼を見開いたがすぐにまた何か諦めたような眼をし、下へと伏せてしまった。
俺は首を無理矢理振り、止まっていた自分を何とか動かす。
「俺の名はリュウ、オーク達なら俺が片付けた。だから、安心して俺の胸にカモンヒィヤァー!」
「・・・・・・・」
俺の冗談に無反応のエルフに少し腹たったが、何かこの世に希望なんてないという顔をしていたため俺の方が反応に困った。
「…とりあえず外に出よう。他のエルフ達が待っている。」
俺がそう言うとより一層暗い表情になった。挙句の果てには正座から膝を身体に寄せ、体育座りの格好をして完全に顔を伏せてしまった。
俺はどうするか悩んだが、ずっとこうしている訳にもいかないため無理矢理運ぶことにした。褐色のエルフに近寄り背中と膝の裏に手を回し身体を持ち上げた。羽の如く軽量なその重さにビックリしたが外に向かう。エルフは自分の状態に戸惑っているが薄っすらと頬を赤くしている。鎧越しに見るこのエルフは身体は成熟しているが歳は少し幼いか、と思いながら他のエルフ達が集まっている場所へと着いた。
俺達に気付いたエルフ達は俺を見て一瞬戸惑ったが近くに寄ろうとしたが全員立ち止まってしまった。俺は疑問に思ったがエルフ達の眼が俺が抱え持っているエルフを見ていることに気がついた。
「…どうした?全員荷車から降りたか?」
「は、はい。ここにいるのが全員です。あ、あの、助けて頂きありがとうございます!」
一人のエルフがそう言うと周りのエルフ達全員がお礼を告げ頭を下げた。全員で50名ぐらいいたので気恥ずかしくなった。腕の中から小さい声で「あ、ありがとうございます…。」と聞こえた。俺はちょっと驚いたが小さな声で気にするなっと返答した。
「…で、薄々感じているのだがお前らがこいつを避けている理由を教えてくれ。俺にはよく分からん。」
俺がそう言うと全員が驚いたが誰も喋らない。面倒くさいから俺が一人のエルフを指名すると慌てて理由を喋った。
「その…私たちエルフは森の民であり、自然と精霊が存在する所に住んでいます。森から出るものもいますが…。そして、私たちエルフ族にも階級というものがありエルフとハイエルフ様がおります。ハイエルフ様はエルフよりも更に寿命が長く、千単位の年月を生き、エルフ族を率いています。現在は6人ほどしかおらず18年前にリースティア様が奇跡的に双子をお産みになりました。二人とも異なる優れた才能を持ち、エルフ族を導く一員となりました。しかし、3日前にアリシア様の身体が突然肌が褐色となっていき、髪の毛が金色から銀色へと変色したのです。本来ダークエルフは髪の毛は黒色なのですがアリシア様は違いました。しかし、その姿はダークエルフでした。」
そう言うと俺の胸に抱えられている褐色のエルフを見た。てか、その話だとこいつは18歳なのか。意外と若いな。名前はアリシアか。優しそうな名だ。ま、俺も前世の時は17歳だから大体同じ歳だろう。俺は続けて話すよう促した。
「ダークエルフは突発的にエルフから生まれるもので、災いや不幸を齎すと言われています。実際にダークエルフがいた森は誘拐、火災、魔物の大量発生、侵略、謎の疫病、タンスの角に小指をぶつけるなど様々な問題が頻繁に起こります。そして、今回はエルフにとって最も害であるオーク達の襲来でした…。」
女はそこまで言うとオーク達のことを思い出したのか泣き出してしまった。慰める者、貰い泣きする者、俯く者などどれ程過酷なものだったのかを教えてくれる。…ダンスの角は痛いだろ、うん。
そんな風に思っていると一人のエルフが俺が抱え持っているエルフに鋭い目付きで睨みながら言う。
「私たちエルフ族はダークエルフとなった者を死罪とします。エルフにとって…生物にとって害だからですッ!実際わ、私たちはオークの苗床になる所だったのですッ。しかし、ダークエルフとはいえ元ハイエルフ様のため死刑に躊躇しておりました。そして、オークの襲来。この事にリースティア様がアリシア様の所為だと思い、激怒しオーク達に我々を献上しました。…誰かが行かないと駄目だったのです。それにハイエルフ様の言う事は絶対。もし、逆らったならどうなっ!」
そこで一人のエルフは話を止めた。いや、止めさせられた。
目の前には、黄金の全身鎧を着た者に抱えられていてボロクソになって泣いているアリシア。
そして、何よりもその鎧を纏った者から出るオーラに全てのエルフが畏怖した。そのオーラは、『怒り』。圧倒的なまでの怒りの波動が、エルフ達の身体を萎縮させ、恐怖を覚える。オークの襲来の恐怖など忘れるぐらいの恐怖が目の前にいた。
「という事は、何か?そのリースティアって奴が自分の娘を売ったと解釈していいのか?」
「は、はい!」
意識が飛びそうになって、心臓を鷲掴みされているこの現状下で虚言など吐けないのか、一人のエルフが震えながら答えた。
「…で、こいつは死刑決定だったがオークに売られ、みんなに希望から絶望の存在と見なされたが俺に助けられた。では、こいつの居場所はどこにある?もう、エルフの森には戻れないのか?」
「はい…。ダークエルフはエルフ族にとって禁忌たる存在。死ぬしかありません。それか森の外で苛まれながら生きるしかありません。」
「そうか。少し待っていてくれ。」
俺がそう言うとエルフ達は腰が抜け地面に座り込んだ。リュウの話の中冷や汗が止まらなかった。いつ殺されてもおかしくない雰囲気で生きている感覚がなかった。俺はダークエルフを連れ少し離れた場所にやって来た。
「立てるか?」
「…はい。」
綺麗で透き通る声が返ってきた。俺は抱えていたエルフを降ろし、正面に向き直った。大体身長は160センチを超えたぐらいだ。いざ正面から見ると綺麗な顔だと改めて思った。肉があまり無くて細く華奢な身体をしている。俺は見下ろしながら聞く。
「お前は今何を考えている?」
「私は……ハイエルフとして誇りを忘れず、誰よりも森を愛していました。そして、お母様の様な立派なハイエルフになるのが夢で姉と二人で頑張ってこれまで生きてきました。しかし、神様の悪戯で私は変わり、お母様や姉にも、森の民からも冷たくなり…捨てられましたッ!私の居場所はもうこの世界にはありませんッ!!」
ダークエルフ、もう面倒くさいからアリシアでいいや。アリシアは感情的になり本音を吐露した。アリシアの家族の本音が分からないが、実の娘を捨てたリースティアって奴が如何しても許せなかった。しかし、こいつはこの世界で一人になってしまった。俺もこの世界で一人。アリシア美少女。ハッキリ言って運命を感じていた。
ーーーなら、答えは決まっている。
俺は龍王装を解く。鎧が消え、人化した姿でアリシアと対面する。アリシアは目の前で何が起きているか理解できず、黄金の中から現れたリュウの姿に驚愕する。
そんなアリシアに向かって俺は堂々と告げた。
「これからはお前の居場所は俺の隣だ。俺の家族に…伴侶になってくれ。」