強者と弱者、そして誓い
ぴ〜んぽ〜んぱ〜んぽ〜ん…
皆さん、こんにちは。本日はこのゴールデンドラゴン号を利用して頂きありがとうございます。本機の機長を務めさせていただいているリュウと申します。
皆さん、只今ゴールデンドラゴン号は異世界のどこかの荒地の上空を飛行中です。
皆さまから見て左側をご覧下さい。山です。
次に右側をご覧下さい。山です。
当機の真下には広大な荒地が広がっております。人や建物などは一切おりません。
それでは、本日の空の旅を快適な時間にするため機長である私から一言。
「誰か出てこいやーッ!」
…それでは皆さん、ごゆるりと空の旅をどうぞ。機長のリュウでした。
ゴールデンジョークを心の中で呟いていたが、凄く虚しくなったので辺りを見渡した。
「魔物が全然見当たらないなぁ。荒地だったら見つかりやすいとふんでいたが見当たらないなぁ。森に入ろっかな〜。」
飛行の練習を理由に森に入らず荒地の上空を飛んでいたが、なかなか魔物が見当たらない。しかし、下を見ると荒地から峡谷にと風景が変わってきている。これは本格的に森へと進行を変えようとした時にあるものが目に入った。
「おっ、あれは洞窟か?それにしては入り口が整っているというか意外と大きいな。…あ、あれは⁈」
俺は誰かが手入れをしていそうな洞窟の入り口を見ていると、入り口付近に鎧を着た人型の何かがいた。手には槍を所持しており、入り口左右合わせて2人いる。俺は早速話しかけようと下に降りっていた。やっと人と出会えた喜びで頭が花畑になったせいで、今自分が龍の姿であることを忘れていた。
片方の人が自分へと気ずき、槍を構えた。その姿を見てもう片方の人も自分の姿を捉え槍を構えた。
俺は地に降り、手を出さないことをわかるように両手を上げる・・・龍の姿で。
「ちゃろ〜。毎度どうも、龍宅急便です。怪しい者ではないのでそんな物騒なものを置いて、茶でも飲みなが・・・ん?豚?」
俺は第一印象を大切にとフレンドリーに話しかけ、2人の顔を見た。そして知る。2人ではなく2匹であったと。顔がもう豚をより一層気持ち悪くした感じであった。てか、臭い。
俺はスキルの絶対鑑定を使った。
【名前】ー
【年齢】 26歳
【種族】 オーク(魔物)
【性別】 オス
【レベル 】 4
【体力】 30/30
【魔力】 G
【筋力】 E
【敏捷】 F
【精神】 G
【スキル】 筋力強化Lv1 槍技Lv1 剣技Lv1 固有能力(異種間配合、絶倫)
ほ〜豚のことをオークって言うのか
。それにしても図体がでかい割には弱そうだなこりゃ。なんだあの無駄な筋肉は。てか、なんか下半身からブラブラと飛び出てるのですが⁈隠せてませんよ、腰巾着もうちょっと大きいの無かったの。ヤバい気持ち悪なってきたわガチで。あと、臭い。
「悪い悪い。お前らのことがよく分からなかったもんでな。下半身から飛び出ている一物は分かりたくなかったがな。早速で悪いが俺の糧になってもらうぜこの豚野郎ッ!」
俺は羽を折り畳み、全力でオークに向かい肉薄した。2匹のオークも槍を持ちながら突っ込んできた。
オークが突き出してきた槍2本を払いのけ、片方のオークの顔を手で鷲掴みし握り潰した。顔はトマトを握り潰した感じで血が周りに飛び散り、顔を失った身体は痙攣してそのまま後ろに倒れていった。もう一体がこれに怒り、咆哮を上げながら槍を俺にめがけて突いてきた。
俺はそれをあえて避けずに正面から受けにいった。オークは貫いたと思い顔をより一層歪めさせ狂喜した。しかし、すぐに喜びが驚きに変わる。
「筋力Eではこれぐらいか?スキルの筋力強化を含めてもこんな筋肉じゃ俺を貫くことはできぬッ!」
そう言いながら、手を貫手の型にし爪の先端を一点に集めるかのように構え、オークの胸をそのまま抉り抜いた。オークが着ていた鎧を無視し金色の手は真っ赤に染めながらオークの身体を貫通した。
「弱い。ま、所詮は豚ってことだな。それにしても豚だから食えるのか?個人的には豚は生姜焼きがオススメなんだが…なんだこの欠片は?」
オークの身体から手を抜くと茶色の小さい欠片が出てきた。爪の先端で器用に挟み、持ち上げ鑑定する。
オークの魔石 オークから採れる魔石。加工可能。
魔石か、たぶん魔物から採れる石のことだろ。この世界において魔物を狩るための職業が必要不可欠であろう。この魔石はその魔物を狩ったという証拠になるのではないかと推測する。ヤバい、俺マジ天才。
俺は一応宝物庫に魔石を保管することにした。なにかの役に立てるかもしれないからな。
そして、先から若干気になっていたことがある。なんか身体大きくなってない?いや、若干なんだけどね。よし、ステータスを見よう。
【名前】リュウ
【年齢】 0歳
【種族】 金色の龍(魔物)
【性別】 オス
【レベル 】 2
【体力】 150/150
【魔力】 B
【筋力】 A
【敏捷】 C
【精神】 S
【スキル】 絶対鑑定 絶対隠蔽 宝物庫(龍剣アグニス、龍刀-朧-)創造魔法Lv10 無詠唱 雷魔法Lv10 魔闘 スキル吸収・付与 固有能力(ブレス、飛行、龍血の契り)
おぉ、レベルが上がっとる。体力も少し上がっているな。そうか、オークを倒したからレベルが上がったのだな。よし、ならば忘れないうちにスキルをゲッチューしますか!一応全部取っとくか。
【名前】リュウ
【年齢】 0歳
【種族】 金色の龍(魔物)
【性別】 オス
【レベル 】 2
【体力】 150/150
【魔力】 B
【筋力】 A
【敏捷】 C
【精神】 S
【スキル】 絶対鑑定 絶対隠蔽 宝物庫(龍剣アグニス、龍刀-朧-)創造魔法Lv10 無詠唱 雷魔法Lv10 魔闘 スキル吸収・付与 筋力強化Lv1 槍技Lv1 剣技Lv1 固有能力(ブレス、飛行、龍血の契り、異種間配合、絶倫)
よし、ごちそうさま。2匹分取ったがレベルは上がんなかったか。ま、そこはこれから地道にやっていきマッスルか。
俺は槍2本を宝物庫に入れながら洞窟の中に入っていった。中は意外と広く5メートル程の高さがあり、幅はもう少し長いぐらいだ。岩を何かで削って、掘り進めてたのであろう。途中途中に火がついた松明が壁に掛けてある。そして、臭い。
「しっかりとした道があるし、松明もある、臭いけど。道もまだまだ続いていると見て何か組織的な感じのものか、臭いけど。ボスは相当な者だと思ってもいいだろう、臭いけどねっ。」
俺は文句を言いながら岩で出来ている道を進んでいく。面倒くさいから洞窟の中をブレスで纏めて丸焦げにしようかと考えたけど、宝物とかありそうだからやめといた。
そして、俺は広場みたいな所へ辿り着き、様子を見ようと中に入ると足が止まった。そこで見たものは今まで生きてきた中で一番残酷なものだったからだ。
ーーー百数匹いそうなオーク達に囲まれて犯されている女性たちの姿があった。種族は様々であり、たぶん捕まり連れてこられたのであろう。地面には精液の池が出来ており、俺に気づかずずっと行為をしている者やそれを見ている者。女性たちは最早手遅れであった。死んでいる者もいた。
俺はそれを見て思った。弱い者は強い者に食べられる世界に来たのだと。この世で最も必要なものは愛でも、金でもない。それは、力だ。力無き者は力有る者に従う世界なのであろう。
「しかし、そっちの方が分かりやすいのかもしれないな。単純だよな、弱肉強食な世界。嫌いではないな。あの女たちは弱いからオークに食われた、それだけのことだ。ーーーならばお前らを俺が食っても文句ないよなッこの畜生共ッ!!」
俺は久々にキレた。俺は怒りを咆哮に変え、魔法を展開した。オーク達はその咆哮でやっと自分の姿を捉えた。空間が震撼しており、オーク達は目の前の金色の龍に対して完全に怯えている。そして、何とか逃げようと奥の通路に向け這うように行く者がいた。
しかし、それを許すほどこの場で絶対強者のリュウが優しくない。
「一匹足りとも絶対に逃がさん。死んで己の愚行に後悔しろっ!」
俺の周りに雷の槍を千の数だけ展開し、目の前のオーク達に標準を合わせた。
「ーーー滅しろっ!『千の雷槍』」
俺から放たれた雷槍は広場にいるオーク達を根絶やしにする勢いで蹂躙していく。身体を貫通する者、頭が爆ぜる者、焼き焦げる者などそこは地獄と化していた。女性たちを解放させてあげるために一瞬で消していく。
そして、轟音は鳴り終わった。生き残っている者は広場においてリュウだけであった。リュウは改めて認識し直した。
「どの世界でも強い者とそうではない者がいる。しかし、この世界ではそれを強烈に思わされた。だから、決めた。ーーー俺が最強となり、大切な弱い者を守ろう。他の強い者さえ倒せるほどまでにッ!!」
俺は、誓った。守りたいものを絶対に守ってやると。