リュウ、出陣する
・・・・・はっ!寝てたか?いや、寝てはいなかったよな。確か、爺さんに転生?させて貰ってデカイ門を潜って…てことは異世界に現在いるということかっ⁈
とうとうやってきたかこのヤロウッ!ファンタジックなワールドに!
さあさあ、俺の筋肉と愛溢れるパラダイスへの一歩を踏み出そうではないかっ!!
・・・しかし、ここはどこだ?何故漆黒の暗黒世界みたいに辺り真っ暗なんだ?てかなんか硬いもの当たってるっ!えっ?棒ではないよ。なんか丸い、てか球体みたいな感じの物体に覆われているのか?叩いてカンカンって音が反響する。ということは、薄い鉄か・・・よく分からん。
今度は出来るだけ強く叩いてみよう。
ーーーーおっ!なんかヒビか入った。暗闇に一筋の光が入り、面白いぐらいに薄い鉄?的なものがぺりぺり剥がれてゆく。そして、俺が初めて見た異世界の景色は・・・・なんていうか山々に囲まれた荒れた大地と微妙なものだった。上を見たら、どっからどう見ても太陽みたいに大地を照らすものがあった。空気は、あまり良いものではないと感じる。なんとなくだが、そう思った。
ま、いっか。何処に生まれるかは指定していないし、時期に慣れていくであろう。
・・・・待てよ?俺転生したんだよな?ってことはミルキィーなベイビーなはずだ。ママンとパパンは?てか、なぜ山に囲まれた荒地で俺はひとり鉄球体的な物体の中にいた?
・・・・分からん。待てよ、焦るな俺の筋肉!静まれ俺の大腿筋と大胸筋っ!筋トレは焦って急ぐものではない、ゆっくりじっくりやるものだ!そうだろ、ジョンッ⁉︎
よし、落ち着いた。ありがとう、ジョン。とりあえずスキルとか使えるかどうか・・・いや、ステータスを見よっとなんか目の前に透明な画面的なものが出て来たぞ。
【名前】リュウ
【年齢】 0歳
【種族】 金色の龍(魔物)
【性別】 オス
【レベル 】 1
【体力】 100/100
【魔力】 B
【筋力】 A
【敏捷】 C
【精神】 S
【スキル】 絶対鑑定 絶対隠蔽 宝物庫(龍剣アグニス、龍刀-朧-)創造魔法Lv10 無詠唱 雷魔法Lv10 魔闘 スキル吸収・付与 固有能力(ブレス、飛行、龍血の契り)
・・・・・・・んんっ?黄金の龍?英語で言うとゴールデンドラゴン?種族ってあの人族とか獣人族ではないのか?待てよ・・・まさかっ!!
そこで俺は自分の体を初めて見た。
まず、見たのは手である。金色に光輝く鱗に覆われていて、鋭い爪が5本ある。
次に前の胴体と足である。やはり胴体も足も金色の鱗に覆われていた。大きい前足は鉤爪のような刺さったら痛そうな爪がこれも5本あった。
背中から生えている両翼を前に移動させ観察すると、兎に角大きい。
全身は2メートルとあるが、翼を広げるとかなりの大きさになる。全体的に身体中がゴツゴツしていて、迫力が半端ないだろう。手で物も掴めるし、足も地面へとしっかり踏みしめられる。両翼も自分の意思でしっかりと動く。空へと飛べると確信に近い自信がある。
ふー我ながら凄い身体になってしまったな。爺さんには会ったらお礼を言わないとな・・・とでも言うと思ったかっスットコドッコイッ!!!
「だめじゃん!魔物じゃん!狩られる立場じゃん!じゃんじゃんうるせぇよ俺っ!!・・・ってか普通に喋ることができる。」
日本語なのか?それとも異世界語なのか?ここの世界の住人に通じるかのか…まぁいっか。なんとかなるっぺ。
しかし、何これ?爺さんは何故これにした?確かに龍、ドラゴンは強いと思うよ。なんか説明出来ないほど強いと思うよ、たぶん。でもさ〜これじゃ、筋トレや子作りが出来ないじゃん。それともあれかな、こっちの方が展開的に面白いとか考えているんか?
待てよ、なれるかもしれないぞ魔人族に。確か爺さんの説明ではごく稀に魔物が進化して魔人になるとかなんとか。方法はレベルを上げること、かもしれないと言っていたはず。しかし、信憑性はないとも言ってたような気がするが気のせいだ。どっちみちそれしか方法は知らないし、やるしかない。
・・・よし、これからのやる事は決まったな。まずは、スキルの確認と実際にやってみよう。次に魔物を倒しながら先に進もう。レベルを上げ、スキルを吸収しよう。魔物以外だとスキルは付与は出来ても吸収は出来ないからエスケープしよう。そして、人型になったらどこか人の集落か街に行こう。そこからはまた改めて考えよう。
・・・そういえば龍って筋トレ意味あるのか?まっ、いいや。とりあえずスキルを一つ一つ確認と実践をしてみよう。
絶対鑑定は・・・誰もいないしな〜何を鑑定しようかな?最初は美人な母親を調べスリーサイズを調べようとしたのに、誠に残念でごじゃる。ならば、爺さんから貰った剣と刀でも調べるかっ!っとそうだった、宝物庫にあるんだった2つとも。
俺は宝物庫と念じたら目の前の空間が歪み、その表面に波紋が広がる。俺は大体予想がつき、龍剣の方を思いながら異空間に右手を差し入れた。そして、異空間で柄を掴み取り、中から一本の片刃大剣を取り出した。
其の大剣は黄金に輝き星々の如く煌めく刀身と鈍く、されど刀身を陰ながら支える銀色の光を放つ鍔と柄が特徴的である。刀身には解読できない蒼い文字が彫られている。大剣から伝わってくる圧倒的な力に感服する俺がいる。全長2メートルぐらいで背負えば持っていられる大きさである。しかし、普段持っていると超嫌な予感するから宝物庫へと戻そう。ふと思ったが、これ正直どっちかというと龍剣より聖剣って感じがするのだが・・・・。
【龍剣イグニス】
神話に出たとされる戦士イグニスが愛用していた神剣。その神々しさに敵味方構わず敬服したと言われている。
俺は龍剣を宝物庫に戻し、今度は龍刀を取り出す。漆黒な鞘と柄、紅い鍔の刀が一振り。鞘には西洋龍の形をした細長い龍が赤白く描かれている。鞘から刀を抜くと、白銀にぼんやりとだが力強く光る刀身が出てくる。朧な月光を連想させる刀身である。この刀は全長110メートルあり、人になった暁には腰にでもぶら下げよう。
【龍刀ー朧ー】
神話級まで己が手だけで完成させた名も無き刀匠が作り上げた刀の1つ。担い手によっては神速の抜刀が可能となる。
よし、これで宝物庫と武器の確認は大丈夫だな。しかし、龍の姿だと剣持ちずらいな。とりあえず今は生身で戦闘を行おう。
絶対隠蔽は今はいいや。二度手間になりそうだからな。次は、創造魔法いってみようか。これは、中々便利な魔法だが一歩間違えれば命落とすなこりゃ。まずは・・・プロテインのレモン味を創ろう。
やり方は簡単なはず。創りたいものを思い浮かべ、魔力で具現化させるだけ。後は、物体の存在を固定化するだけ。
・・・よし出来た。それでは、早速頂きますっ!!あ〜お口の中に広がる酸味と爽やかな柑橘系の香り、プロテインの僅かな独特の味。初めてレモン味のプロテインを創ってみたが悪くないな。このスキルがあれば大体のことはなんとかなるだろう。
・・・堪らないぜベイべーッ!!
さて、次は雷魔法だな。これは今考えただけで2つの使い方があるな。1つは様々な型の電撃を放出するやり方。もう1つは己の身体に雷を纏い、身体能力を大きく飛躍させるやり方だ。どちらとも戦闘時にかなり使えるであろうと考える。
試しに雷落としてみますか。何処まで威力があるか確認しておこう。
俺はありったけの魔力を消費し、何も存在していない荒れた平野に天から雷を落とすイメージをした。
その瞬間、晴れている空に雷雲が急速に形成され、天から地に向け神の怒りとも言えるほどの規模の稲妻が落とされた。それも一瞬のことで落とされた所には直径約100メートルぐらいのクレーターが出来ていた。
これは危険だな、マジやばいね。とりあえず威力は今の1割より少ないぐらいに抑えよう。雷纏うのは人化してからでもいいだろう。
次は、魔闘だがこれも魔力を身体中に取り組み身体強化するためのはずだから簡単だべ。後でやろう。
さて、個人的に凄く気になっていた固有能力を確かめよう。
龍血の契りは・・・試すことは出来ないだろう。俺の勘だが龍となった俺の寿命は相当長いだろう。だから人生においてずっと一緒にいたい奴とだけ契りを結ぼう。
さてさて、ブレスタイムといきますかっ!先はやり過ぎたから、1割ぐらいの魔力を媒介にして口内に炎を作って放つイメージをし、クレーターが出来た方へ向かって放つ。
轟音と共に俺の口からブレス、即ち火炎放射が放たれ辺りを真っ赤に染めてゆく。もの凄く熱そうであり、自分の口にその炎があったかと思うと、少し怖くなったが別に火傷とかしてないから大丈夫だな。
ブレスが終わり、焼かれた土地を見ると黒く焦げていた。威力はこれぐらいがいい塩梅だろうと思った。
さて、ラストは飛行だな。これってあれだよね?○ケモンで言う空を飛ぶだよな?出来れば乗る方が良かったがまぁいい、飛びますかっ!
俺は大きな金色の翼を広げ、大きく羽ばたかせる。周りが台風でも来たかのように吹き荒れるが御構い無しに両翼を動かした。そして、どんどんと上昇していく俺はある程度で一時停止した。
さてと、飛行はあと進むだけだから大丈夫だろ。周りからはどんな風に見えるのだろうな。金色に輝く龍が飛んでいる、この光景俺だってみたいわな。魔人族は少ないけど、魔物は自然と生まれるから俺以外の龍に会えるかもしれないな。
とりあえず、レベル上げるためにも見つけた魔物を片っ端から殺していくか。スキルも吸収できるかもしれないしな。早くレベルアップして人化したいからな、強い相手バンバン来て欲しいなっ!!・・・ヤバいフラグがビンビン立ちそうだから慎重に行こうかな。
そう言い俺は前へ飛んで行った。