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初戦の結果

 やるじゃないか、第三世界の彼。

 襲撃を受けても、そこからの巻き返し。なかなかの手際だ。


 さて、第四世界は比較的攻撃力は無いが、恨みと狡猾さに関しては人一倍だからな…。自分自身、あのときはかなりの時間を食わされた。


 お? 動いたか。

 

 ちっ、根性無し。

 とどめを刺さないから逃げられたじゃないか。


 今回はドローか。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ヤバかった。

 あのまま、力任せにナイフを突き立てられれば、間違いなく心臓から血があふれていた。


 だかど、そんな感情よりもさっきの生々しい感触が右手から離れない。

 ゴムの様に弾力がありそれでいて、どこか繊維の集合体に似た物がプチプチと切れる感じに、肉の裂けるあの形容しがたい感触。次々と裂け目から出てくる赤黒い粘性を持った液体と、半透明のうっすら黄色のゲルが混じり合い、あぶくを立てながらペンにへばり付く。


 数秒前の体験に、脳内を侵食されて足腰に力が入らない。

 足の裏にも生温かいものを踏みつけたときのような、気持ち悪い感触が広がり、足から脳髄まで虫が這いあがってきているのに近い悪寒が伝わる。


 耳をあのグチャ、グチャ という音が舐めまわす。ナメクジのように耳を侵す。


 小学の時にいじめられたから、傷つけられるのにはある程度の耐性はあるつもりだが、傷つけるのは話が違う。自分の生傷は、痛みが伴うがゆえにそのグロテスクさをあまり意識しないが、他人のはその見た目の悪さに変にいろいろと想像してしまい精神的にきつい。

 逆に、大したことのない傷で泣いている人間を見ると、軽蔑したくなるが。



 自分の死の可能性から解放された喜びなど、微塵も感じられなかった。

 ただ、あのもう一人の自分が再来するのを恐怖していた。

 よくわからないが、戦いが始まったのだ。


 「ルールを説明する前に、始まったか。 それじゃあ、生き残った祝いに、アドバイスとルールの説明をする。」


 あの変人が、こっちの精神的立ち直りをする前にあれこれ言いだした。

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