ドキドキ肝試し!? ~廃病院で~ 前編
「ロクサス病院?」
「ああ。」
デルタはアスキートの仕事受付人、ユイカの部屋を訪れていた。
「・・・そこってゆーれいがでるってうわさの?」
「もちろんだ。」
がくっ
デルタはうなだれた。
いや、デルタ自身は黒魔術をつかうだけあって、別に幽霊がこわいわけではない。
問題はノアやリリスだ。
リリスはまだいいとして、ノアは幽霊やなんかは大嫌いだ。
「こんな仕事を受けてきたといったら、ノアになにされるか・・・」
「ふん。Aクラスの№1の実力をもつものが、こうも情けないとはだれも思わないだろうな。」
「うっせ・・・で、仕事の内容は?」
半ば投げやりにデルタは聞いた。
「デスルームS級の罪人、エヴァ・レガンス、だ。」
「へーえ。エヴァ・レガンスか。ん? S級??」
「そうだ。たしか罪状は・・・」
デスルームのS級の罪人なら、アスキートにいるやつは大体知っている。
大量殺人とか、残酷な罪を犯してきた罪人だから。
だけど、、、
「エヴァ・レガンス、なんてやついたっけな・・・」
デルタは一人ぼやいた。
「ああ、あったあった。罪状は、大量殺人。どうやら医者だったらしい。患者にまったく逆効果の薬を与えて、約100人は殺したそうだ。」
「そりゃS級にもなるわな・・・。」
「さて。仕事の内容はしかと言い渡した。ちゃんと遂行してこいよ。」
「わかってるよ。」
クソ。どうなってもおれはしらねーぞ。
デルタは悪態をついた。
ロクサス病院前。
「・・・デルタの大馬鹿者。あとでコロス。」
「しょ、しょーがねえだろーがよ。おれだって好き好んでこんな仕事受けてきたわけじゃねーんだよ。」
「だからといって、こんな、こんな、、、、」
「こんな廃病院で仕事をしろというのかァァァァァ!!!!」
ノアは叫んでいた。
真夜中の、静まり返った病院の前で。
「うるっせえぞノア!! レガンスにばれたらどうすんだ!」
「ふん。それはそれでいい。逃げられたと言って帰ってくればいいのだからな。」
「ふざけんな。また給料減らされる。大体なあ、毎回おめえのせいで結構な額いってる仕事も半分ぐらい減らされちまうんだよ!!」
「なにい? 聞き捨てならんな。すべて私のせいだというのか?」
「あたりめえだよ! この前の盗賊退治のときだっておまえがあんなにやりすぎなければ・・・」
ぎゃいぎゃと騒ぐ二人のすぐそばにリリスはいた。
今回の仕事は、乗り気ではない。
「はあ・・・」
「? リリス。どうかしたのか?」
リリスの様子に気づいたノアが聞いた。
「・・・今回の仕事、あたしあんま行きたくないんだあ・・・」
「ああ。わかるぞ、その気持ち。やっぱりおまえも幽霊がこわいのだな。安心しろ。すぐにこの糞男を始末してやるから。」
「なにィ!?」
「あ・・・ううん。そうじゃなくて。レガンスのことなんだけど・・・。」
このあと、驚愕の事実をふたりはしることになる・・・。