あきれた三人
「・・・・・ねえケヴィンさん」
「なんですか?」
「彼らって、何者なんですか・・・?」
「そうですね・・・私がこの世でいちばん強いのではないかと恐れる三人とでも言っときましょうか」
「ですよね・・・っていうか・・・」
「椿、如月、神無、いくぞ」
「「「了解」」」
バシュッッ
「狙いにズレなし・・・いきます!」
ズドーンッッ
「ブツブツ・・・闇切」
ザシュッッ
「これはありえないでしょ!!!」
アイリは気がつけば叫んでいた。
それはもちろん目の前で悪そうな山賊といきいきと倒している3人、を見てのこと。
今回アイリは「アスキート」という罪人や囚人をとらえたりするところに訪れ、村を山賊から守ってほしい、と依頼した。
来たのは、このめちゃくちゃな3人と3人を案内するアスキートのスタッフ、ケヴィンだった。
たしかにありがたいのだが、この3人は強すぎる。
だから、ありえないのだ。
「なんかあの三刀剣をもってるひとは剣に向かって話しかけてるし!! 金髪のショートの子は銃を両手にもって乱射してるし!! あの真っ白な服着た人はなんかブツブツいってたおしてるし!!」
「では、私が説明しよう。」
「あそこで三刀剣を持っている長い黒髪を後ろで高くまとめているのが、ノア。アスキートでは伝説の三刀流剣士と呼ばれている。」
「はあ・・・」
「ノアが話しかけているのはどうやらその三刀の精霊のようだ。ノアには見えているようだが、他のやつにはまったくみえていない。」
「え」
「そして金髪のショートの女は、リリス。普段は天然なふつうの女の子だが、銃をもつとかなり強くなる。あらゆるポケットから銃をとりだすが、一体何丁もっているのかはだれにもわからない。通称鮮血色のスナイパー」
「こわっ」
「んで、真っ白の服をきてる男はデルタ。彼がこのなかでおそらく一番強い。黒魔術が専門でほかの魔術師が50年かかって会得した闇切をあいつは一か月で修得した。ほら、あの技だ。」
「おおおう・・・」
「ほかにも神の領域と呼ばれる魔術をいくつか修得しているときいたことがある。あ、あと魔術をつかうときにブツブツいうのは呪文を唱えているから、だそうだ。通称純白の黒魔術師」
「へえー・・・」
「と、まあざっとこんなもんですね」
「おーいケヴィンくーん。アイリさーん。おわったよー!」
みれば、銃をどこかにしまったリリスが笑顔で手をふっていた。
リリスのまわりは。血の海。
「うえ・・・リリスって子が鮮血色って呼ばれてるのがよくわかった・・・」
「でしょう・・・」
「アイリとかいう女。これで依頼のほうはいいか?」
三刀の剣をおさめながら近づいてきたのがノア。
「あ、はい。ありがとうございますっ!」
「あーあ。だりぃ。帰って寝るかな」
あれだけ血が舞ってたのに返り血を一滴も浴びてないデルタもきた。
「三人ともお疲れ様です。では、本社にもどりましょうか。」
アイリはあわててお礼を言った。
「あっみなさんほんとにありがとうございました! これで村は安全ですっっ!」
「またなんかあったら言ってねん♪」
「・・・べつに貴様のためじゃない」
「おーよかったな。てかてめえ名前なんだっけ?」
リリスは別として、ノアはじゃあなんのためにきたんだろう・・・てかデルタ、失礼ね、最初に自己紹介してじゃないっ!
アイリは心の中でかるく憤慨したが笑顔を保った。
「では依頼人アイリ・レイラ様。お疲れ様です。」
「はい! ケヴィンさんもありがとうございました!!」
だんだん小さくなる4人の背中をみて、アイリは思った。
「なんてめちゃくちゃな人たちなんだろう・・・」