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アラデルギル区域3


気配のあった方へドミトルが視線を移すと、地面から幾何学な模様が浮かび上がる。

回転しながら上へ上へと浮き上がってきた。


神秘的な美しい光景が目の前にある。


アラビスレイドの転移陣は他の国でも好まれていた。

ドミトルも国の象徴とも言える転移陣は何種類も映像で見た事がある。


その中でも、緑の眩しい光を放つアラビスレイドの転移陣は他の国よりも郡を抜いて美しかった。


ギルデイザイスの転移陣はシンプルかつ早さを重視し、デルモスラウナの転移陣は(いにしえ)の呪文のような古風さと歴史を感じ、アラビスレイドの転移陣は見た者に美しさを感じさせる。


他の国の転移陣も特徴的なものがあったが、心に残っているのはやはり近場の国のものだった。


緑の光がドミトルを照らす。


そしてしばらく経つと光が止み、隠れていたものが見える。


ドミトルの前には、赤いリボンのついた女性用の可愛いピンク色の箱があった。


巨体のドミトルの前にそんな可愛い箱が鎮座している。


「・・・・・・」


箱とドミトルは対面するがどちらも動かない。

時間が経って動いたのはドミトルだった。


「何時からアラビスレイドはデルモスラウナになったんだ?俺の知らない流行りなのか?」

ギルデイザイスだけ仲間はずれか、とも思い、イヤイヤ違うだろ、とドミトルは否定する。


後悔させるつもりが後悔してるんだが、とドミトルはアラビスレイドとデルモスラウナに脅威を感じていた。


自分の前方にあるピンク色の箱と、後方にある白い箱の圧迫感が凄まじく、持って帰れという無言の圧力を感じる。


俺の望んだのはこういう事じゃない、と思っていた。




そんな時、魔力の動きを感じる。


「・・?」


目線だけそちらに向けると、バンッ!とピンクの箱が破れ、飛び出して来た何かがドミトルに急接近してきた。


一秒も経たない内にグングンと距離を縮める。


突風のように近づくそれは障害物がないので真っ直ぐに向かってきた。


壊れた箱は飛び散り空中に四散し、吹雪のように後ろに飛んでいく。


ドミトルが出てきた相手を見てみると、銀髪の青い目をした男で、資料を確認していた時に一番最初に出てきた、光王国の戦士、勇気ある者レウィングだった。


近寄る事に成功するとドミトルの首を目掛け、剣が振り抜かれる。

魔力を発する鉱物で作られた剣で鈍く光っており、市場では高く売られている特殊なものだった。


鋭い剣先は真剣で確実に首を狙っている。それを認識したドミトルは、望んだのはこういう事なのだと心底思い、安堵すらした。


箱ではないので脅威ではない。


ドミトルは魔力を込めた拳で剣を弾き飛ばすがそのまま動かない。

一定の距離まで下がるとレウィングは、足に力を入れ、飛ばされた距離を一瞬で戻し、剣を振った。


それをドミトルは防いで弾き、レウィングはまた剣を振るう。

何度か繰り返し、ドミトルは魔力を込めた腕を伸ばし剣の軌道を変えると、そのまま相手の胸ぐらを掴み、引き寄せた。


掴まれた衝撃でレウィングはグッと息を吐き出し、ドミトルの前まで運ばれる。

ドミトルは掴んだレウィングを持ち上げながら剣を取り上げようとしたが、それは相手の拳で阻止された。


レウィングは魔力を練りあげようとしたが、それよりも早くドミトルは自分の魔力でその場を制す。

自分の魔力が抑えられた事を認識したレウィングは、直ぐにやり方を変えて蹴りを放った。


放たれた蹴りを何度も防ぐと、ドミトルはその放たれた蹴りを掴んでレウィングを逆さ吊りにする。

その途中で持っていた剣を奪い取って地面に刺した。


「っ!」


逆さ吊りにされたレウィングは攻撃を止め、大人しくなる。

闘争心は見えなくなっていた。



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