2 粗忽令嬢は愛される
マリエールは粗忽者、でも誰からも愛される。家族や友達、知らない人とでも直ぐ友達になれる。
2 粗忽令嬢は愛される
マリエールは満足して帰宅する。入浴して夕食の時間だ。既に公爵達家族は集まっている。マリエールも席に着いた。公爵が,
「マリエール嬉しそうだな。」
マリエールは今日の貧民街での幻影とクッキー配りの話しをして子ども達の歓声と笑顔が宝物のように美しかった話をした。どんな幻影をしたか。子ども達の反応、クッキーの焼き方、自分は何をしたがなどなどいろいろ話たので結構時間がかかった。でも家族は誰も止めようとせず話を聞いた。話終わったマリエールは家族の反応を見る。公爵は、
「それは良かったな。」
母親は、
「あなたの笑顔が見られて良かっわ。」
兄は、
「頑張った甲斐が合ったな。」
と喜んでくれる。マリエール何をやっても怒られない。それはマリエールの粗忽が彼女なりの誠意の現れだからだ。だから使用人達も呆れながらも怒ったりしない。マリエールは誰にも愛される。
この国の貴族学院は10歳から15歳の成人まで農閑期の12月中旬から3月中旬まで通う。マリエールも間もなく入学だ。婚約者の王子も通う事になっておりこれまで婚約者と言っても挨拶くらいしか交わした事しかないのに大丈夫だろうかという感想が多い。マリエールはやらかしも多いが人を引き付ける才能がある。友達は多い。公爵令嬢のマリエールだから、同じ公爵令嬢や侯爵令嬢や伯爵令嬢が多いが、文通や会う機会があればあっている。みんなマリエールの粗忽は知っているがそれ以上にマリエールを愛している。
シルビアとの出会いは特別だ。マリエールが7歳の時貴族の子どもの社交会の様なものがあり、常時王都いるものとっては顔馴染みが多いが地方から来たものにとっては知らぬ人の中に放り込まれるわけだ。それでも伯爵以上なら繋がりがある。勇気があれば子爵男爵の子息や令嬢でも輪に入ることは出来る。でも難しい子も゙いる。シルビアはそんな一人だ。この日ため誂えたのであろう服まとう少女。貴族として国王に初めて謁見する儀式。爵位別で楽器演奏もありその後の社交会は全員が揃う。シルビアには輪に入る勇気もないし同じ男爵で馴れ合う事もしたくない。周りにはそんな連中もいる。マリエールはそんなシルビアが気になった。マリエールはシルビアに声を掛けた。
「良かったら友達になりませんか。私はマリエール。」
如何にも高貴な令嬢に見えるマリエールが声を掛けてきた。マリエールを知らなければ高貴な令嬢に見える。段々そう思えなくなるが。シルビアは貴族らしくない声掛けにどう反応していいのか判らない。
「でも私男爵の娘何ですがいいのでしょうか。」
高貴な貴族令嬢が戯れに下級貴族の娘に声を掛ける。取り巻きにでもするのだろうか。でもクラスも違うと思うしそれも無さそうだ。
「爵位なんて関係ないわよ。私市民の友達もいるのよ。」
なるほど市民の口調か。納得する。マリエールは友達を紹介すると言ってシルビアの腕を引いた。一番高貴そうなグループに連れ来られた。
「この子シルビア宜しくね。それからこの子から紹介すると--------。
判ったシルビア。」
そんなこと言われても判るわけがない。シルビアは取り敢えず挨拶した。
「シルビアです。宜しくお願い致します。」
とだけ言った。グループのメンバーはマリエールの行動に文句を言うし、私もマリエールの行動は常識外れだと思う。しかし誰も怒らない。マリエールだから仕方がないと思われているようだ。全部のグループを紹介し私のように孤立している連中を集めグループを作った。非常識だがとても温かいものを感じた。まさか未来の王妃様との出会いだとは思わなかった。
シルビアと出会った。全員の同年の貴族を紹介する。非常識だが温かいものを感じた。