18 皇太子の活躍
久し振りに幻影をやりに公園に来た。七夕神話だ。子ども達は喜んでくれた。
18 皇太子の活躍
皇太子は国王と協議して国政の一部を担う。皇太子は事業と産業の活性化とその拠点作りだ。上下水道から始める。作業員の募集から拠点作り、貯水池の設置、工事範囲の確定などやる事は幾らでもある。王都付近から始める。王都に流れ込む川の上流から水を取り貯水池に貯める。そこから水道管を引き主要道路に通す。下水道も通す。主要道路から各家庭へは有料だ。貴族は依頼するが平民は富裕層を除いて頼まない。しかし、蛇口を多く付けたので少しは役立つかも知れない。作業は老若男女関係無く参加出来る。作業量、スキル、適正度などが自動的にカウントされ支払われる。窓口でのトラブルは無い。口に出した瞬間収納されるからだ。今では誰も騒がない。
もう一つ大きな事業がゴミ処理事業だ集積場所に集められたゴミを大きな集積場所に廃棄する。この二つの事業で王都は美しくなった。誰もがマリエールの力だと判る。しかし当マリエールは皇太子の業績だと評価されたい。マリエールは裏方だ。王子の業績は大きい。
ミリー親子は今までスラム街に住んでいた。作業が始まり積極的に参加した。家族4人全員で休まず参加した。暫くすると職員宿舎出来たのでそちらに住まないかと言われた。もちろん喜んで住まわして貰った。家賃は3日分の家族の稼ぎだが食料費光熱水費を合わせれば、10日分の稼ぎが消える。更に作業服は支給されるが普段の衣料や靴は自分で購入する必要がある。突然の環境の変化で戸惑うが嬉しい変化だ。職員宿舎には子どもが多い。あまり大きくないが公園がある。休みの日には良く妹と遊びに行く。宿舎の管理をしているお姉さんから今度の日曜日の午後1時から幻影を演るから公園に集合ねと言われた。日曜日と言えば明後日だ。家に戻って身体を洗い着替えて食事出かけた。と言っても職員宿舎の食堂に行くだけだけど。両親幻影て何か聞いた。両親は懐かしそうに言った。
「10年くらい前だ。ミリーくらいの年頃の少女がやって来てクッキーを配り幻影を始めた。幻影と言うのは、夢の様なものだ。魔法の一種で相手に見せたい景色やものを見せられるのさ。」
母親も語る。
「マリエール様という公爵令嬢で今は皇太子妃よ。私達の仕事もマリエール様が立案されたようよ。私達足を向けて寝られないわ。」
私はマリエール様が来るのと尋ねた。
「そんな筈ないわよ。簡単に出歩ける身分じゃないし幻影の出来る他の方だと思うわ。」
そりゃあないだろう。貧民街と大して変わりない職員宿舎の公園にわざわざそんな高貴な方が来る筈がない。きっと修行中の見習いが試しやりに来るんだろう。
日曜日の午後1時になった。公園には40人あまりの子ども達が集まった。時間だねクッキー配るよ。十代前半に見える少女が同じ年頃の少女とクッキーを配る。正直お腹は空いていないのたで積極的に欲しいと思わないが見目美しい少女達が差し出すクッキーは断れない。
「今から幻影をやります。私のイメージを伝えるだけなので、害はありませんが気分が悪くなったりしたら手を上げてね。以前私がやった幻影をお兄さんお姉さん、お父さんお母さんか覚えて見えるかも知れませわん。私もいろいろ有って久し振りの幻影です。しくじったらごめんなさい。では始めます。」
マリエール皇太子妃にしては若過ぎる。両親の話では17,8歳の筈だ。どう見ても成人前にしか見えない。子どもと言って通る外見だ。
幻影は凄い。七夕神話元にしたものだろう。織姫星と彦星に男女がいる。天使が舞いながら、2人を中央に誘導する。途中で雲がかかりお互いを見失う。カササギが橋をかけて2人を引き合わす。2人は熱い抱擁をする。
子ども達はポカンとしている。あまり上手く行かなかったかな。観客からポチポチ拍手が起こり、全員が拍手した。初めてで反応がしづらかったようだ。一人の少女が
「あなたはマリエール皇太子妃ですか。」
マリエールはぎくとした。でも嘘はつけない。
「そうだよマリエールだよ。10年くらい前にこの近くの河原で幻影をやったから誰かに聞いたかな。」
ミリーは更に続けた。
「上下水道事業もゴミ処理事業もマリエール皇太子妃の発案と聞きました。両親はマリエール様に足を向けられないと言ってました。」
マリエールは困った顔をした。
「私は昔から変わった事してきたからね。どうしても変わった事はマリエールがやった事になる。しかし2つの事業は王子の発案だ。みんなにそう理解して欲しい。」
この問題は厄介だ。
二つの事業の発案者がマリエールと言われた。王子の発案だと訂正するが聞き入れられそうにない。




