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カモミール

ここに来てから数週間がたった

だいぶここでの生活に慣れてきたと思う

でもまさか姉上がこの国の時期女王だったなんて……

そして僕も、時期摂政としての教育が始まった

姉上の右腕としてふさわしい人材になるために……

ここに来てから分かったことがある

それは僕の魔力量が周りと比べとても多いということだ

これでまた、力が手に入った

でも、まだ足りない

もっともっと姉上を何者からも護れるようにならなくては

(そのためには信頼をおける者が必要だ)

僕は残念ながら体力が全く持ってなかった

なので、力といえど僕は知識を身につけようとした

そいで僕は図書室で本を読み漁った

授業と授業の間でも勉強することをやめなかった

そんなことを続けていた矢先、高熱が出た

姉上や母上にはとても心配された

もっとうまくやらなければ

もっと強くならなければ

もっと貧欲にならねば

姉上を守るなどできやしない

そしてある日、突然

見舞いに来てくれていた姉上がこういった

「そろそろリアムも近衛騎士団から護衛騎士を選抜した方が良くないかしら」

正直、好機だと思った

また、姉上を護るための道具が増える

近くで話を聞いていた魔法道具メイドのベリーも

「名案です!」

と言って、手を叩いてにっこり笑った

そして、僕は今日の午後

近衛騎士団の練習場に行くことにした

















午後

今はちょうど対戦練習をしているらしく

金属がぶつかるような音がそこら中から聞こえてくる

僕は椅子の横に待ち構えている騎士団長に話しかけられた

「どうです?お気に召さる騎士はおりましたか?」

彼は若くして騎士団長にまで上り詰めた秀才だ

名前はカラム・アルストロメリア

こいつは人を舐めるように見てくるので正直嫌いだ

「確か王女殿下はお戻りになって、貴族学校”ローズベリア”にご入学なされるとか」

……情報が早いな

「情報収集は私の得意分野ですので」

「……読んだのですか?」

”読む”

こいつ固有魔法はありとあらゆるものにアクセスする

というものだ

”ありとあらゆる”

つまりは人間にも機械にもアクセスできてしまうということ

それがこいつの厄介なところだ

こういう奴は信用に値せん

「そういえば私の愚息も今年ローズベリアに入学するのですよ

是非とも仲良くさせていただきたいと思っております」

そんなことを思ってもないくせに

変な御託ばっかり並べやがって

でも、確かこいつの息子も騎士団にいるんだよな?

「……貴方の息子を今どこに?」

騎士団長は数秒止まって訓練場の方を指差した

「あちらに私と同じような髪色を少年がいるでしょう?

あいつが私の息子でございます」

こいつの息子も近衛騎士団か

……これは使える

「決めました」

騎士団長が首を傾げた

それに俺は笑って

「あいつを俺の護衛騎士に任命します」

「!?」

フッ

驚いてやがる

「王子殿下?いささかそれは難しいかと」

騎士団長は少し焦ったようにそう言った

「なぜですか?」

少し目を泳がせながら、言葉を発した

「それは彼は王女殿下と年も変わりませんし」

だから、あの

と、しどろもどろ言っていて、正直滑稽だ

でも、勇気はあるな

王族であるこの僕に反論意見を述べたのだから

まぁ、僕が元平民でまだ子供だからという理由もあるだろう

だが、

「”俺”が決めたことに逆らうのか?」

舐めてもらっては困る

僕には体力や体を動かす才能が全くない

けど、そんな事で諦める訳にはいかないのだ

姉上には汚い世界を知って欲しくない

ずっと綺麗なままでいてほしい

だから代わりに僕がやる

姉上の代わりに汚れは全て僕が”掃除”する

まだ、子供の彼はちょうどいい

調教すれば、誰よりも信頼の置ける人物になるだろう

幸い彼には剣技の才能があるみたいだしな

「いえ、そういうわけでは……」

相手にならない

感情を上手く殺してるようだが、”俺”にはバレバレだ

姉上は知らないと思うが、王族で時期王位継承権第1位の姉上は常に命を狙われている

それを何度姉上に気付かれず阻止してきたか

確かに俺には剣技などの才能はない

だが、暗殺の才能ならある

影にひそみ、闇夜に紛れ敵を葬る

影の刺客

「(これほどの殺気、一体どうやって……!?)」

リアムが笑ったと同時に吐き出された殺気は

現騎士団長ですら驚くほどのものだった

「騎士団長?」

カラム騎士団長はいけ好かない元庶民のガキに、自分の手駒を渡したくないと考えてると思っていた

だが、これは大きな勘違いである

「(この方なら、我が愛しい息子を任せられる!)」

そう、カラム騎士団は重度の親バカ

さっきからリアムのことを舐めるように見てきたり、息子が護衛騎士になるのを渋っていたのは

ただただ可愛い息子と会える時間が減る寂しさと

可愛い息子を預けても大丈夫かと言った心配から来ていたのだ

だが、自分の気持ちだけを優先する訳にはいかない

もう一度、訓練場で練習している自分の息子を横目で見た

「……わかりました

息子……、ノア・アストロメリアをよろしくお願いします」

そう言って頭を下げた

「(やっと折れたか)」

リアムはまだ勘違いをしている

「……では、ノア騎士を此方に来させます」

来させる?瞬間移動がコイツの固有魔法なのか?

騎士団長はフゥ…と息を吐き、思いっきり吸って

「ノア・アストロメリア!!!直ちに本部へ来い!!」

……頭かち割れそうだ

まさか口頭で伝えるとは

他の練習していた騎士達が此方を見ている

全く、見世物じゃないぞ

すると、すぐ後ろから

「只今参りました!」

と男の声にしては少し高めの声が響き渡った

「(はやっ)」

リアムが声に驚き

カラム騎士団長が読んでからあまり時間が経っていないはずなのに一体どうやって……

「驚きましたでしょう?」

見透かした様に此方を見下ろしてきた

「(チッ無駄に顔がいい)」

姉上は面食いというわけではないがコイツとなるべく会わせないようにしとかないとな

ライバルは少ない方がいい←カラム騎士団長は妻子持ちである

こんな勘違いを起こしながらリアムは騎士団長の息子であるノアに笑って話しかけた

「君がノア・アストロメリア?」

ノアはリアムの事を知らないのか?を浮かべていた

「父さん、この人は……」

ノアは少し後ろに立っていた自分の父である騎士団長に問いかけた

「あぁ、この方は我が国の第1王子のリアム・テラー・プレイス様だ」

少し間を置き

「第1王子…?そんな方いたか……?」

などとブツブツ呟いている

「僕の事をご存知ないのですか?」

珍しい

僕の事を蔑むように見てくる訳でもないし

何より僕についての”噂”を知らないのか……?

これは”都合がいい”

カラム騎士団長は頭を抱えながら

「すみません……どうやら、我が愚息は第1王女殿下のことだけしか頭に入って居ないようで」

とリアムに謝った

そしてノアが顔を赤らめて反論した

リアムはハッとした

「(もしや姉上に好意を……?使える!)」

僕はゆっくりノア騎士に手を差し伸べて

「改めて、僕の名はリアム・テラー・プレイス

ノア・アストロメリア騎士

どうか僕の護衛騎士となっていただけないでしょうか」

また間が空いた

「はい!?俺が、ですか……!?」

ニコ

「はい」

「(なんだろう、笑顔が信用なんねぇ)」

などとノアが思っているなどつゆ知らず

リアムはノアをどう使おうか考えていた

「(王族なら逆らうことはできねぇ……

チッ脅しと一緒じゃねぇか!)」

そしてノアは王族がものすごく嫌いである

……セレスティアを除き

「……ッお……私でよろしければ」

そう言ってノアはリアムから差し出された”左手”を握った

「(左って、よろしくする気ねぇじゃんか)」

ジッと見ていたノアに気づいたのか

「あぁ、すみません

僕は生憎左手が利き腕なもので」

ニコッと笑って誤魔化した

もちろんそんな事はない

意図的にやったのだ

「そうですか……」

疑う視線をリアムに向けている

「(ふん、気づかれたか

だがまぁいい

所詮は”護衛騎士”と”王族”なのだから)」

そのやり取りを見ていたカラム騎士団長は心の中で深いため息をついた





カモミール...「逆境を耐える」「逆境で生まれる力」「親交」「仲直り」

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