カンガルーポー
どうしてこうなった
どうもこんにちは
私はここの世界のしがない花屋でございます
ここの世界、
そう私は転生者でありまして
ただのチート能力を授かったモブなんです
容姿だって100人中150人が振り向くというだけの……
え?自慢じゃないんですよ事実です
私はそこら辺にいるモブ
なので困るのですよ
家のポストに王族からの手紙があるのとか
貴族学園に特待生として通ってくれと我が国の王様に頭を下げられるのとか
ハハッ
ピンポイントすぎだと?
全部今起こっている事なんです
あ”あ”~
現実逃避してぇ……
「で、私に何用ですか?父上」
そう、このアホズラを晒している王様は私の父
つまり私はこの国の王女だ
なんで王女が花屋をやっているのかって?
それは五年前に遡る
護衛無しでの外出は原則禁止
自由な時間もほとんど無く
広いけど窮屈な城に私はウンザリしていた
ある日護衛の目を盗んで城下に降りた
そこは私にとって未知の世界だった
ウチのように絢爛豪華な建物ではないのに
とても輝いて見えた
でもやっぱり城での服を着てきてしまったせいか
私だけ浮いて見えてしまう
城下を歩いていると
小さな花屋さんを見つけた
お城にある花より種類が少ない花屋さん
私は疑問になって花屋のお姉さんに聞いた
「どうして、こんなそこら辺で売ってるようなものばっかり売ってるの?」
と
お姉さんはニッコリ笑って
「このお花達にもね、それぞれ意味があるのよ
お花をプレゼントする時は、その花言葉を考えて送ると、
ちょっとしたサプライズになるでしょう?」
こんなどこにでも売ってる様な価値の無い花にそんなものがあるなんて……
「それから、そこら中に生えてる雑草だって
綺麗な花を咲かせるものだっているわ
花言葉は奥が深いわよねぇ」
クスクスと笑うお姉さんがとても綺麗に輝いて見えた
私も、こうなりたい
「お姉さん
私もお姉さんみたいな花屋さんになりたいって言ったら変?」
お姉さんは目をパチクリさせた
「変じゃないわ
誰にでも、頑張ればその分夢が叶える権利があるもの」
城の人はそんな事言ってはくれなかった
この国は女王制という訳ではないけれど
初めに生まれてきた子が次の王になる決まりがあるのだ
例えそれが女の私だとしても
「お姉さん、お願いがあるの」
「なぁに?」
「私に、お花のこともっと教えて!」
お姉さんは少しの間を開けて快く了承してくれた
それから私は何度も花のことを訪ねにわざわざ護衛の目を盗んで城下に降りた
でもある日
「どうして!?」
「ダメなものはダメだ」
父上にバレてしまった
「お前は王位継承権第一位なんだぞ!?」
「私は王位なんて継ぎたくないわ!
城下町で花屋を営むの
こんな窮屈な場所で一生を過ごすなんて真っ平御免よ!」
「なっ!?」
私は窓から飛び降りて
花屋のお姉さんの所に逃げた
お姉さんは最初驚いてたけど
優しく私を迎え入れた
数年がたち、私も花屋の定員として働き始めた頃
お姉さんが倒れた
お姉さんは元々、持病を持っていたらしく
もう手遅れだと医者に言われてしまった
私はとても不安だった
お姉さんがいなくなって
お姉さんが大切にしていたお店をちゃんと守っていけるか
お姉さんのように、花に愛されるか
でもやるしかないの
これが私に残された最後の道だから
「今更何の用ですか?」
少しキレた口調で圧をかけた
父上が恐る恐る口を開き
「実は……」
経緯を話し始めた
父上が言うには
そろそろ私不足でみな死にそう
早く帰って来て
ということらしい
いや知らんがな←
「父上?私は勘当されたのではないの?」
「?いや、勘当するなど言ってないが」
え?
私、今の今まで勘当されたと思ってた
「でも、あの人が残してくれたお店を畳む訳にはいかないわ」
父上が少し考えた後に
「だったら学園に通えばいいんじゃないか?
そうしたら後継者も見つけられるだろう」
確かに学園なら……
「……分かった
家に帰ります」
私がそういった途端、待ってました!とでも言うように
パッと顔を上げて
「そうと決まったら即出発!」
私は馬車の中に放り込まれた
「いざ、お家へ!」
「……ハァ……」
転生して約16年
人生、山あり谷ありです
カンガルーポー...「驚き」「不思議」