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不思議探偵暁猫と招かれざる事件達  作者: ぽんでぴよっこ
第一章 高嶺の花
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第弐話 探偵事務所の愉快な仲間達(下)

すっかり暗くなった繁華街を歩いているが泊詠さんは見つからない。

諦めて帰ろうかと思い、帰り道をトボトボ歩いていると、前にこの繁華街には似合わない高そうな格好をしている青年を見つける。

正確に言えば少々だらしのない服の着方をしているものの、その生地や宝飾の類はとても商人や平民とは思えない。それに、夜の空よりも黒い髪が泊詠さんである何よりの証拠だ。


「泊詠さん!!」


近付いて名を呼ぶとゆっくり振り返る青年。矢張り泊詠さんであっていたようだ。

彼は此方を見ると少し微笑むと返事を返してくれる。


「…ん?あぁ、マオか。どうかしたか?」


勿論猫、というのも渾名である。彼は人の名前を覚えれないらしく、誰に対しても渾名で呼ぶ。

例えば桜綾さんなら「商人」、暁華なら「妹」などなど…

名前を覚えてくれないのは少し寂しい気もするけど、渾名でもよんでくれるのならと思う。


「朱蕾さんが呼んでましたよ、もう夕餉です。」

「もうそんな時間か。また朱蕾に説教を食らうなぁ…全く、彼奴の説教は長くて敵わん。俺の言い分を聞きやしない。」

「僕もきっと怒られるので二人で怒られましょう。……そういえば外で何してたんですか?」

尋梅シュンメイを探していたんだが…なかなか見つからなくてなぁ。」

「それなら僕が明日探しますよ。尋梅はこんな真っ暗な夜じゃ見つかりにくいですよ。黒猫ですし。」

「それもそうか。」

「じゃあ帰りましょうか。」



白米、青椒肉絲に回鍋肉、…

家に帰ると一流の料理人が作ったのかと思うほど美味しそうな料理たちが円卓に並べられていた。


「わぁ…美味しそう…」

「お兄様遅いよ、皆で食べるために待ってたんだから。」

「ごめんごめん。」


暁華の隣の席につく。ちなみに座る席は決まっていて、僕から右回りに、暁華、朱蕾さん、泊詠さん、翠蘭さん、桜綾さん、月鈴(フェリン)ちゃん。

月鈴ちゃんはさっきまでいなかったけど、きっと部屋で寝ていたのだろう。


「じゃあ…春蓮娘娘(シュンレンニャンニャン)、ここに用意されたものを祝福し、私たちの心と体を支える糧とし賜え。」


僕が食前の挨拶をする前から皆食べ始めているのだが…まぁいいか。

食事中は他愛の無い話をしていた。

この前墨をぶち撒けて服を台無しにしただとか、向かいの家の奥さんが子供を授かったとか。

その後は桜綾さんが隣国である、(ゴウ)の国の話になった。

彼の話を聞くと、国王は空石という石を持っており、その石を持っていると空を飛べるらしい。

面白そうな話なのだが、それを桜綾さんに伝えると笑われた。


「どうせ御伽噺だろ。この国だって本当に神が治めているかどうかさえ怪しいのに。」

『でも、皇帝陛下は私達が産まれてから一度も交代してませんよ?』

「そんなこと言ったって、隠そうと思えば隠せるだろ。」


桜綾と翠蘭で口論が始まったが、だれもソレを止めようとはしない。寧ろ楽しんでいるように見える。

美味しい食事と面白い、興味惹かれる会話。いつもどおりだけど幸せな食事時間。

そんな楽しい時間は直ぐに過ぎ去っていって、いつの間にか食事は終わっていた。

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