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不思議探偵暁猫と招かれざる事件達  作者: ぽんでぴよっこ
第一章 高嶺の花
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第拾参話 証言

「どうぞ召し上がれ。」

「あ、ありがとうございます……」


僕は出されたお茶を口に含む。

……うん、美味しい。高級な茶葉を使っているのかとても香りが良い。

そして次にお菓子に手を伸ばす。これもまた絶品だ。


「どうやらお口に合ったようで良かったわ。」

「はい、凄くおいしいです。」

「ふふっ、ありがと。」


冬妃様は嬉しそうな顔を浮かべながら言う。

それから暫くの間、彼女と会話を楽しんだ後、僕は本題を切り出した。


「あの、一つ聞きたいことがあるんですけどいいですか?」

「えぇ、構わないわ。」

「明鈴さんについて教えて下さいませんか?」

「…………」


僕の問いかけを聞いて黙り込む冬妃様。そしてゆっくりと口を開いた。


「どうして、そんな事を知りたがっているの?」

「えっと……」


その問いに答えられず、口籠ってしまう。まさか、こんな風に聞かれるとは思わなかった。どうしよう……本当のことを言うべきなのか……。

僕は悩んだ末、本当のことを話すことに決めた。


「実は、明鈴さんが殺された事件について調べてるんです。」

「……どういうこと?」


僕の言葉を聞き、鋭い視線を向ける冬妃様。

それに対して、僕は包み隠さず話す事にした。


「僕は明鈴さんが殺された事件について、詩夏さんが殺していない証拠を集めているんです。…ですが、どう考えても詩夏さんしか殺せる人が居ないと思いました。だから称呼を集めようと…」

「つまり、貴方は犯人を捕まえようとしているということ?」


僕の言葉を遮って聞いてくる冬妃様。その表情はとても険しいものだった。


「そう……ですね。そう捉えていただいて構いません。」

「……なるほどね。」


僕の返答を聞いた彼女は、小さく呟いたあと、僕の目をじっと見つめてきた。

まるで心の奥底まで見透かすかのように。


「……分かったわ、私の知ってることなら何でも教える。」

「えっ!?良いんですか?」


思いのほかあっさり了承してくれたことに驚く僕。

冬妃様は笑顔でこう言った。


「えぇ、貴方には知る権利があると思うから。」

「ありがとうございます。」

「ただし、条件があるわ。」

「条件ですが?」

「貴方にお願いしたい事があるの。」

「……内容にもよりますが、出来る限り協力します。」


僕は彼女の言葉に対し、真剣に耳を傾けた。


「そう……なら貴方に頼みたいわ。」

「何でしょうか?」

「私の代わりに詩夏の話を出来るだけ聞いてあげて欲しいの。」

「……それだけですか?」


思っていたよりも簡単なことだったのに拍子抜けする僕。

しかし、冬妃様は首を横に振る。


「貴方は今、彼女が犯人だと思っているでしょう?でも、絶対っていうわけじゃない。」


…確かにそれもそうだ。僕はずっと決めつけてきた。

冬妃様の言葉を受け止め、頷くと、彼女は話を始めてくれた。

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