第捌話 新しい協力者
「さて、じゃあ行こうか。」
「うん。」
泊詠さん達と別れ、桜綾さんと僕は行動を開始した。
まずは現場の様子を見に行くことにした。そこは、後宮の裏にある林だった。
「ここが、その場所らしいよ。」
「なるほど……。」
辺りを見回す。特にこれといって何かあるわけではない。
ただ、地面が荒れていて、争った形跡があるだけだ。
「あの、桜綾さん。」
ふと、思い出したことを尋ねようと桜綾さんに声をかける。
「どうした?」
「さっき泊詠さんが言ってた、善人の皮を被った輩に惑わされるなってどういうこと?」
桜綾さんはうーんと悩んでいるようだ。そして暫くして口を開いた。
「……暁猫は理解しなくていいと思う。ただ、後宮は危険だから気を付けたほうが良いのは確かだね。」
「そっか……とりあえずもう少し調べましょうか。」
「あぁ。」
それから、後宮の女官達に聞き込みをしたり、詞夏さんにも話を聞いたりした。
でも、結局有力な情報は得られなかった。
「う~ん、やっぱり何も見つからないね。」
「そうだな。」
「ちょっと休憩しよう。」
近くの木陰に入って一息つく。
この後も色々回ってみたもののやはり収穫はなかった。
「一旦戻るしかないかな……」
「それが一番だろ。」
そういって立ち上がると、ふと声をかけられた。
「あら、こんな所で何をしているのかしら。」
振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。
「貴方は……誰ですか?」
「僕は隹以羅。ここで伝達係として働いてるんだ。」
「そうなんですね。僕は暁明と言います。泊詠様の従者です。」
挨拶をしていると、後ろの方からもう一人の女性の声が聞こえてきた。
「あれ、お客さん?」
「こんにちは。僕は暁明です。よろしくお願いします。」
「はじめまして、私は颯懍。」
「俺は桜綾。暁猫と一緒で泊詠様の従者をやってる。」
僕達が自己紹介を終えると、二人は僕の方を見て首を傾げた。
「それで、どうしてここにいたのかな。」
「実は……」
僕は二人にこれまでの経緯を説明した。
すると、二人は驚いた表情をして、僕達の話に耳を傾けていた。
「そう噂では聞いたけれど……それは大変だね。」
「俺達も協力するよ!」
「ありがとうございます!ぜひ一緒に捜査させてください。」
こうして、僕らは四人で行動する事になった。