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ロシアの情勢(2022.4.8)  作者: カズ ナガサワ
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ウクライナ情勢第四回

○はじめに

 今回のウクライナ情勢について、既に様々な情報がマスコミによって各国に拡散されてきました。その情報の一部はロシア国内にも広がっています。ロシアでは、都市部を中心にインターネットが普及していますが、情報の中心は未だテレビです。特に国営テレビの視聴率は高く、国民の間では番組の内容がトレンドとして話題になっているので、見ていないこと自体が不自然だと思われます。


 では、中国や北朝鮮のような情報統制が国内で行われているかと言うとそうではなく、何割かはメディアの情報と街中にある情報とを比べて、自分に都合のいい方を信じるという、これも独特と言えばそのとおりです。彼らにとって情報とは、信実を知るためのものではなく、時の情勢が自分にとってどう影響し、利益を得たり、生き長らえるかのヒントに過ぎません。


 では今、彼らがこの戦争をどの様に捉えていて、何に疑問や不安があるのか聞いてみたいと思います。相手の名前は勿論公表出来ませんが、彼はロシア人でモスクワから地方に一時的に移住(避難)したと言っていました。彼はロシアの中では比較的高収入で、海外との交流もある人物です。私は英語と日本語、彼はロシア語と英語で話しています。日本語に翻訳する時点で、イメージが難しいところは説明を足してあり、回りくどく感じると思いますが、ご容赦下さい。


※協力への感謝

【vpn.spc.rcc.国際通信の高度セキュリティー回線】

この通信は、大使館で使用する衛星回線に仕様を合わせ、VPN(仮想分割ネットワーク)でやりとりを行ったものです。

 相互理解が戦争の早期終結に繋がるということで、この会談はA国大使館の協力をいただいています。

 では早速、会談の内容に入ります。



○最近の注目する出来事について

カズ「こんばんは! 宜しくお願いします」

KGk「はい! こんにちは! そちら(東京)とは、ちょうど10時間の時差ですね。いつもの年の気候と今年の気候と何か違いはありますか?」

カズ「そうですね! 少し春になるのが早いと思います。桜が早く咲きました。とても綺麗です」

KGk「ロシアは、温暖化が進んでいると感じます。暖かくなることは私たちにとって良いのですが、何か自然に影響が出てしまうと、結果的に人間にも影響するのではないかと心配です」


カズ「今、ロシアが経済制裁を受けていることはご存知ですか?」

KGk「ええ、知っています。でも、何割かは知らないし、興味が薄いですね! もともとは贅沢な暮らしに影響するだけだと皆んなが思っていたので、ほとんど生活に支障は感じません。ロシア人は倹約に慣れているのもあって、贅沢は悪い事だと思っています」


カズ「最近、あなたの身の回りで注目する出来事は何ですか?」

KGK「ウクライナとの戦争です! と言ってほしいと思いますが、一番はあなた方がロシアと敵対することによって、西側の多くの貧しい人達が迷惑を被るということです。例えば石油や天然ガス、木材や小麦など。どうして自分たちの国民の生活が悪くなるのに、一方的にウクライナの味方をするのかとても不思議です」

カズ「そうですか! 大国ロシアが周辺国から恐れられていて、軍事的にも経済的にも遥かに上のロシアという国が、突如として攻め込んで来た。そして、ロシアに近い政権を樹立させ、その国を事実上ロシアが支配する。そういう見方にならざるを得ない流れを、この戦争が生んだという理解を多くの人たちがしているとしたら、どう思いますか?」

KGK「それは今までの経緯を知らない、判官びいきの考え方です。ロシアという国の理解者が増えることで、お互いが友好関係を高め、このような戦争を繰り返さないバランスを保つことが、平和を目指す形だと考えます」

カズ「この戦争のことは、周りの人たちと話題になつたりするのですか?」

KGK「もちろん話します。ウクライナにいる同士を助けるために、我がロシア軍が懸命に戦っていると。もともとはロシアの一部だった国が、一方的に独立して、今まで受けた恩をあだで返すようなことをしたうえ、NATOやアメリカと親密化を増して、ロシアに近い人たちを排除しようとする。そうなればロシアは黙っていません」

カズ「なるほど! 戦争という選択肢に異論はないということですね」

KGK「いえ、そんなことはありません! 誰しも戦争は望むものではない。しかし、私たちの同士を救うための究極の判断ならやむを得ないと思います。日本でも同じではないですか? 日本のアニメや戦国時代の話によく出てくるヒーローは、捕われた仲間を救出に行きますよね! それに、ウクライナの今の政権は、関ヶ原の戦いの小早川みたいな裏切り者だと私たちは受け止めています」

カズ「あなたは日本のことに詳しいですね! 驚きました」

KGK「私は、日本に行ったことはありませんが、ロシアと古くから交流があった国だということが、古代遺跡やDNAで分かったということで、とても興味を持ちました。国境がなければ、もっと自由に行来していると思います」


○戦争の情報がロシア国内と他国で違うことについて

カズ「すこし、話しのポイントを絞りたいと思いますが、私たちの国のマスコミは、ロシア国内の戦争に関する情報が統制されていると言っています。どう思いますか?」

KGK「それは当然でしょう。命がけで戦っている軍やその家族を思えば、それを批判してたら大変な叛逆行為でしょう。そんなことを言ったら、私たちが他の国から攻撃されても守ってもらえなくなります。戦争についてはお互いに言い分があり、合意出来なかったから戦っているわけです。それぞれの言い分に合わせた情報をマスコミが流すだけで、もしそれに満足しなかつたら、自分が別の情報を調べればいいだけだと思います」

カズ「ロシア国内では、情報を自国に有利に操作し、現政権に都合のいい情報を流しているという見方がありますが、実態はどうですか?」

KGK「全くそうではなく、西側やアメリカの同盟国がそう見ているだけだと思います。どんな内容も見れますし、それを検閲されてはいません。誤った見方です」

カズ「ロシアの国民は、他の国の情報を自由に見れるが、特別興味がないというのが現状でしょうか?」

KGK「そういうこともあります。西側諸国の評論はあまりに一方的な見方ですし、今の情報が溢れる世界で、本当に信実を証明できるものがあるなら、世界中の人達がそれを見るでしょう。しかし、現実は全く違います。アメリカでもイラク戦争やベトナム戦争で、戦う正義を信実とは別に作りました。私たちはロシア人として国の繁栄や、家族の暮らしを守るためであれば、自分たちの責任で情報を選ぶだけです。私たちが何を言ってもいいだとか、どんなデマでも広めて良いなどと言えば、結果的に分断を助長し、不信を生むだけです」

カズ「なるほど、情報の問題はその受け手の判断ということですね!」

KGK「全くそのとおりです。誰がどんな情報を出しても、私たちは自分の国や家族の暮らしを最優先に考えます。それが守られなければ、自分たちの言い分をまともに聞いてもらえないでしょうし、他の国と対等にやっていけません。それが現実ではないでしようか!」


○ウクライナでの大虐殺、略奪、女性への残虐行為について

カズ「これは、信じがたいことでしようが、ウクライナでロシア軍が市民に対して大虐殺や略奪、女性への性的な残虐行為を行ったと各国メディアが報じています。率直にどう感じますか?」

KGk「戦争という悲劇の中で、どうしてもある程度は生じるものだと思います。それをいたずらに誇張することもです。事実は分かりませんが、命を懸けるという究極の状態で、理性がきかなくなる場合もあるでしよう。兵隊を責めるばかりでは問題の解決にはなりません。兵隊にとって戦って勝ち取るものが、命と対価であるものではないことは、ロシア軍に限らず、どこの国の軍隊にも言えるんじゃないででしょうか!」

カズ「私は、過去のロシア軍の戦闘行為の中で、必ず軍の卑劣な行為が取り沙汰されるのが気になります。軍ではこれを取り締まらず、黙認するような歴史的風潮があるのではないでしょうか?」

KGK「それについてはお答えできません。戦争犯罪について、これまでロシア軍が認めた記憶がありませんし、補償もしていないと思います。私たちにとってはそれが事実ですし、今の時点で申し上げるべきではないと思います」

カズ「最後に、この戦争でロシアが得られるものは何だとお考えですか?」

KGK「このことは、後に歴史がしっかり証明してくれると思っています。ロシアが何を捨ててまで守ろうとしたのかを、皆さんが理解していただけることを願います。それと戦争によって傷付けられた人々の心や国土が回復するためには、長い年月と労力とお金が必要です。何とかして、既に起こったことから立て直しに繋がる議論を、一日でも早くやってほしいと思っています」

カズ「ありがとうございました。ご協力に感謝いたします」


〜つづく〜


            文責(作者)カズ ナガサワ

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[良い点] 私達が「西側という情報を元にロシアを推測」しているのに対し「ロシアから見た西側」をプロパガンダではない自然な形として知れた事でしょうか。 [気になる点] クリミア併合時のアーカイブの「プー…
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