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孤独なる魔王 An tenebris satiata singularite censemur?  作者: ろーぐ・うぃず・でびる
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第二十話ー魔王ー

 魔界は、種族の境無くあらゆる魔族で賑わっていた。


 悪魔属魔王城の城下町の大広間は、魔界の中でも特に魔族が集まっている。


そこには――真ん中に巨大な魔法陣が展開されており注目を浴びていた。


その魔法陣を通し、魔王達は人間界へ赴くのである。


魔王達の軍団を一目見ようと、魔族は集まる。


しかし魔法陣と城に続く道には一般魔族が入れぬよう結界が張られていた。


故に結界の外は魔族がひしめき合っていた。


魑魅魍魎の有象無象は、自身らの種族の魔王達の勝利を祈ると共に、屋台を開き、遠吠えし祝福を上げる。


魔王の復活に。


 受けた傷痕への、応酬の時が来たのだ、と。


「ねぇ、ママ……魔王様がみんなの仇を討ってくれるって……今度こそ、倒してくれるよ」


写真を抱えた少年悪魔が、祭り騒ぎで賑わう集団の中で呟いていた。


「しっかし、これでようやく決まるな」


腕を組みながら、目の前の結界を眺める、蛇に近い姿の亜竜属が隣の一つ目の亜人属に言った。


「何がだ?」


亜人属の男はとぼけた様子で小首をかしげると、蛇の亜竜属が軽く尻尾で男を叩く。


「馬鹿野郎、最強の魔王が誰なのかがだよ」


「……まぁ当然俺はダーク・リザードマンを応援するぜ、なんてったって寡黙な性格に何よりあの伸縮自在な槍! 数あるリザードマンのイメージの中でも頂点に君臨するその姿……くぅ!」


蛇の亜竜属は笑顔で尻尾を震わせ音を鳴らしていた。


それに対して、亜人属の男はため息をつきながら返した。


「しかし、ミノタウロス様が復帰してくれればこの場にはせ参じたのだのだろうか」


「あぁ、だろうよ」


その声は、亜人族の男にかける慰めの言葉の様だった。


そうしているうちに周囲は、突如としてざわめきだした。


「魔王様だ! 魔王様の行進だ!!!」


魔族の群衆の中、誰かが指さして言った。


魔族はそれを合図にするかのように、目の前で武装した兵士を引き連れる魔王に、結界越しにひれ伏していった。


その光景は、正に怪物の背中でできた絨毯であった。


「俺様が、必ずぶっ飛ばしてきてやらあ!! ウッラア!!」


悪魔属の軍団の先頭で紫の炎を燃やす車輪の、鎖に繋がれた天使を象った戦車に乗り込みながら、威勢よく声を上げる大悪魔の姿が真っ先に魔族達の目に映る。


義手を震わせ、裂けた口からは稲妻を迸らせながらの行進だった。


その後に続いて、美しく輝く長髪をなびかせる複数の翼を生やした魔神が杖を突き、シルクハットに顔を隠しながら闊歩する。


誰もがその名を知る、ルシファーである。


「今回の戦で人間達との確執を終わらせるだけだよ。……二度とは消えぬ灼熱でね」


ルシファーが結界の民衆へ向かって呟く。


それは、民の意思への返答の様だった。


ルシファーの後ろで、眼帯のオールバックの髪型をした人型の魔族が結界を前に無言でうなずき回っていた。


「雪辱は晴らす。このダーク・リザードマン、我が槍に誓って、我が意思を貫こう」


無表情にすら見える顔が、民に向けられていた。


しかしその顔は力強く。


ダークリザードマンの隣には、キマイラが歩いていた。


キマイラは、ただ俯き牙を剥きだし歩く。


歩いていた痕には、獣の足跡が地面を割りくっきりと刻まれている。


魔獣属、亜竜属、悪魔属の軍勢が魔法陣の前に到着し立ち止まると、しばらくして_


その場の空気が、希望に満ちたものから刃で貫かれたかの如く張り詰めた物へと変わっていった。


(……なぁ? これで全員……だよな?)


魔族は疑問に思いながらも、ただ跪き続けた。


静寂が、混乱によりどよめきだした瞬間、”独りの魔王”の出現が再び静寂を生み出した。


その魔王は、決して巨体とは言い難く。


その魔王は、伝説を持つ者でもなく。


その魔王は、仮面に素顔を隠していた。


_その魔王は、名を名乗る。


「我が名はプエルラ・テネブリス。テネブリス家六五代目当主にして現悪魔属魔王である」


魔王は、外套を脱ぎ、軽装となった。


そして、外套が宙に浮かび地面に着く前に、その魔王は浮遊し魔法陣の前まで一瞬で駆け抜けていった。


「聞け、これこそが人間との正真正銘の最後の戦いとなる。テネブリス家が始めたこの長きにわたる戦争、余が終わりへ導こうぞ!!」


プエルラは、魔王達とその軍勢が魔法陣へ包まれていく瞬間、これまでにない声で民衆へ言った。


跪いていた魔族たちは驚きの声を出しながらも魔王達を見送った。


__悪魔属魔王、テネブリス城。


誰も居なくなった城で、涙を流す者が居た。


「姉上……そんな」


静まり返った城下町へ飛び出し、他の魔族兵を探す。


しかし、残されていたのは町民だけだった。


それは、キマイラより聞かされていた”作戦の決行”を意味していた。


「折角、折角帰ってきてくれたのに……今度こそ死ぬかもしれないのに…………!」


ユンガは、その場で肘を地面に叩きつけ怯える。


「あーあ、行っちゃったねぇ」


どこからともなくハエの羽音と共に声がユンガの頭に響いてきた。


「ベルゼブブ……様?」


ユンガは音のする方へ振り向く。


「そうさ、病院ぶりだねぇ、ししっ」


ベルゼブブは空中であぐらをかき、何かの骨付き肉を片手にユンガに喋りかける。


「お身体の方は、大丈夫なんですか?」


「大丈夫だよ、ほらこの通り」


ベルゼブブは着ている服を軽くまくり、傷痕の残っているであろう腹部から肩にかけてを見せつけた。


そこは縫われ、治療を施された形跡すらない程に完治していた。


「そんなことより、君はどうなのさ?」


ユンガを覗く、緑色の瞳。


「いや、僕は家族のおかげで怪我は――」

ユンガが言いかけた瞬間、ベルゼブブは骨付き肉をユンガの口に咥えさせた。


「もぐっ!?」


「違う違う、なにも体だけの事を言ってない。……”こころ”の話をしてるんだ」


支離滅裂にすら感じる、唐突の言葉と口に突っ込まれた何らかの肉を前に困惑しながら、ユンガはベルゼブブに問う。


「もきゅ……ごくっ。こころ……というのは?」


「君はさ、色々と苦労しすぎなんだよね。いや、姉弟揃ってそうか」


ベルゼブブはユンガの頭を撫で、笑みを浮かべる。


「魔王の器でない者にも関わらず、有り余る才覚と力で魔王と奉られ、その責任から真っ向から立ち向かって何かを変えようと傷を負う。……もはやテネブリス家のお家芸さ」


ユンガはベルゼブブに与えられた肉を食べながら質問を続ける。


「? テネブリス家のお家芸って……見てきたんですか? 先代と、先々代の事を」


「当たり前だよ、こう見えて僕原初から魔界に居る魔神の一体だよ? ベリアルとルシファーとセットで数えられてるのは有名だろ?」


ベルゼブブは片腕から魔法陣を展開し、自身の握りこぶし大程のリンゴを取り出し、かじりながら言う。


「……最初のテネブリスは、魔王の器が中心となってる魔界のルールを作り変えると言って二度と動けない体にされながら成功させた。自分の精神が廃人となる代わりに」


「次のテネブリスは、増え続ける悪魔属の為に領土を拡大するために人間界へ侵攻した。民衆の非難が凄まじくて、魔界全体が一丸になってテネブリスを潰そうとしたものさ。その時僕以外の上位悪魔はテネブリスに賛成してたし、支持の力は強大だったので強引にやってた。それ以来、人間との戦が続いていた」


「采配は見事だったよ、始めに悪魔属を送り、魂を代償とした契約を要求して、悪魔属のエネルギーとなる人間の魂を狩り、次に魔獣を送り家畜、穀物を襲て大いに経済を弱体化。アンデットに人間を物理的に襲撃させ、嚙みつかれれば増えるという特性を利用し、戦力を拡大させて」


ベルゼブブは、上を見上げ、語り続けた。


「作戦決行後には、吸血鬼属を貴族の人間に紛れ込ませ土地と財源を確保して、約百年後、亜人と亜竜を率いて全面戦争を仕掛けた。あいつの魔力も、計画の用意周到さもあって、人間達を圧倒させて――征服を、完遂させたっけ」


「そして、そのテネブリスは死んだ。情けなく、あっけなく。…………確か、千年後あたりだったかな。寝ている隙に銀の剣で刺されたんだっけ。それ以降は魔王の座は継いでるテネブリス家も居て戦争を続行してたけど、ほぼ三魔神である僕、ルシファー、ベリアルのルーティンを回っていた。つまらなかったよ」


「もぐもぐ…………ごくりっ。何が言いたいのです?」


ユンガは肉を食べ終え、最後の一片を飲み込み訊ねる。


「さて、ここまで聞いた上で質問ね。ユンガ君、魔王にとって最も必要なもので、最たる弱点ってのはなんだと思う?」


リンゴを芯まで削るように食べ終え、ベルゼブブは歯を覗かせながら笑った。


「……膨大な魔力、とかですか?」


ユンガが答えると、ベルゼブブはユンガの片手に持っていた食べ終えた肉についていた骨をユンガから取り上げた。


「解答としては完璧さ、お利巧さんの解答としちゃね」


ベルゼブブは、手を後ろに組み、歩みより骨を持つ片腕をハエの大群に変え骨を噛み砕き消す。


「いいかい、魔王に最も必要な物であり、弱点になりうるものは……テネブリス家が代々持ち合わせているものさ」



「―――全てを背負い込み、己すらも傷つかせるほどの責任感と決定力さ」


「……責任感…………?」


ユンガはふと、家族を思い浮かべる。


 思えば、父は魔王としての自覚が強く、歴代が積み上げてきた伝統の文化を重んじる性格だった。


母は、そんな父の足枷にならぬようにと必死に僕らを産み、死ぬことを望んでいたという。


祖父は、平和主義的でありながらもその力を混然とした魔界の為に研究し行使した。


そして姉は――――。


 ユンガは、姉に思いを再び馳せたところで身を焦燥に駆らせた。


ユンガの鼓動は早まって行き、顔には汗が流れていた。


(姉上……もし、僕が止めに行かなかったらまた僕は肉親を傷つけてしまうことになるのか………?! それに、ベルゼブブの話が事実なら、この戦は元はと言えば、僕らのせいじゃあないか! だったら猶更僕も――)


口から漏れ出た、乱れていく呼吸。


それを見てベルゼブブはその口にリンゴを突っ込んだ。


「落ち着きなよぉ。……まだ死ぬと決まったわけじゃあないだろう? それにさ、君も自分が傷ついてるじゃんか」


「ユンガ、家族の事は大事だよ。素敵だ。でも、自分がそう傷ついてちゃ……おねーさんも何の為に戦ってるのかわかんないじゃないか」


ベルゼブブはリンゴを咥えたユンガの胸をぽんぽんと、軽く叩きながら――嘲笑に見えない笑みをして、穏やかな声で語り掛けた。


「……さりっ……じゃくじゃく……」


「君は、弟らしくお家で姉の帰りを待っていればいいのさ。それにテネブリス家の生き残りだし君は残るべきだよ……年寄りの話は聞いとくもんだよ?」


ユンガはリンゴを片手に言う。


「なら、お願いがあります」


「なぁにぃ?」


真剣な眼差しだった。


「どうか、この戦争に参加して……姉を守ってください!!!」


決死の覚悟で、魔王の器に数えられるダーク・ベルゼブブへ訴えた。


ベルゼブブは、眉を下げ申し訳なさそうな笑みを見せ答えた。


「……ごめんねぇ、僕は人間絡みの戦いはしたくないんだ……ししっ」


 答えを言った次の瞬間。


ユンガの拳がベルゼブブの顔面に放たれた。


その勢いは、喰らったベルゼブブの頬に煙が上る程であった。


「この意気地なし!! 小物! 何が魔王の器だ魔神だ!!!!」


声を荒げながら、全力の訴えを拳で以てベルゼブブに投げかけていく。


腹に加える一撃が三撃。


三撃が十撃になったところでユンガの拳は真っ二つに割れ、血を流していた。


「……そらみろ、僕の話聞いてたかい?」


無抵抗だったベルゼブブは、ユンガの脱力した両腕を見て、呆れた様子を見せる。


そして、瞬時にハエの群れへ姿を変え、間合いを詰めベルゼブブは、ユンガの喉を爪先でなぞった。


「魔王の器にたかが尊き卿(グランドデューク)……魔王の器の下の一族で、しかも何の爵位も継いでいない君が歯向かうなんて……僕じゃなかったらその枯れ枝みたいな首、飛んでたよ」


「自分を殺してまで、そこまでして家族を守ってほしいか。 君が居なくなったところで姉が悲しむことになるとわかっていてもなお」


ベルゼブブの瞳が妖しく輝き、ユンガの喉に触れる爪は熱を帯び始める。


しかし、ユンガは紅の瞳を輝かせ叫んだ。


「黙れ!! お前に自分にとって大切なものが有ったことがあったか!? ……温かい食事を一緒にする、家族が居たことがないからそんな薄っぺらな事が言えるんだ。そんな事ができるんだ。守りたいものがないから!」


“守りたいもの”。


その一言にベルゼブブは怯み、汗を流した。


やがて、ベルゼブブの爪は喉から離れていった。


「……僕にだって、“あった”よ、守ろうとしたものが。 僕だってそうだった、もうずいぶん昔の事だけど」


そう語るベルゼブブの緑色の瞳はやや濁ってゆく。


「豊穣の王、それが僕の愛されていた名前。……みんなが、ご飯を食べられるようにハエを操ってた」


「……僕が、人間と戦わない理由は、君のお城で話すよ。君とは仲良くなれそうだ」


ベルゼブブはユンガの肩に手を置き、テネブリス城へと足を運んでいった。


傍目に見れば、美少年が肩を組み歩いているように見えるだろう。


しかしその実、片や魔王の器の一角、一方は魔王の血を引く者。


身分、生きた齢の垣根すら超えた“待つ者たち”の織り成す異様な光景がそこにはあった。


 「レクスを討てえ!!!」


男達の怒号と共に炎に包まれていく街並み。


栄華を極めたであろう華やかな彩りの建物の数々は、再建が不可能だと一目でわかる程蹂躙しつくされていた。


逃げ惑うは、男達と同じ“人間”。


「レクスに味方する人間に慈悲はねぇ!!」


男達は燃え盛るガレキを踏み荒らし、斧を携え見境なく人間を殺していった。


その姿は、もはや魔族のそれであった。


「暴徒めが! 狂ったか!!」


 五人の王宮魔術師達が魔術を使い、男達の目の前に現れる。


魔術師達は一斉に小規模の爆発魔術を放ち、男達を襲う。


「ぎゃあああああ!!!」


暴徒の悲鳴が魔術師達の耳をつんざく。


すると、魔術師達の背後を何者かが取り、首を刈り取る。


黒装束の暴徒―――暗殺者である。


それを見て暴徒の軍勢の進軍を見守り、教会の暗がりに身を隠す者が牙を剥き出し微笑む。


「良い、全てが」


 その者は吸血鬼属の王、ドラキュラである。


そして、その暗がりの外で牙を向くのは吸血鬼属の眷属へと成り果てた者と、洗脳された人間達である。


「この都市は陥落させたな、では行くぞ者ども」


月夜の晩の都市に奏でられるのは、詩人の詩でも楽器の旋律でも無く、破壊と殺戮の序曲。


ブロード王国三大都市、通称【騎士の花園】は、吸血鬼属の軍によって一晩で滅ぼされていった。


 同時刻。


その遥か遠方南東五〇〇〇km。


ブロード王国三大都市に数えられる港町【貴族の海】。


世界で有数の美しい海を一望できる事で有名な、観光都市にして、漁業都市であったその場所は地獄の火の海で焼き尽くされていた。


「苦しむが良い、でなければ貴様らが拝めるこの太陽に呑まれるが良い」


神々しさと荘厳さを併せ持つ魔神は、翼を広げ宙を舞っていた。


冷酷に下々の逃げ惑う人間を見つめ、宝玉の埋め込まれた禍々しいオーラを放つ杖から火球を放っていく。


放たれた火球の一つは、分裂し流星の如く降り注ぎ、煉瓦を積み上げ作られた建物を溶かしていく。


その様は溶解というよりも消滅と例えられるべき方が正しかった。


地形を抉り、築くのに何百年とかけられたであろう街並みの全てが赤き泥へと消えていく。


「悪魔はレクス様が倒したはずだろう!? なんでこんな……!」


町民の中の誰かが発したその声は、ルシファーの耳に届いた。


ルシファーは、銀色の髪を魔力に浮かばせた。


「では、例え話をしようか……愚かな人間にわかりやすいように」


ルシファーは杖を円を描くように振りながら言った。


「――嫌いな食べ物を食べ、その欠片を皿の上に残したとしようか。……後でそれを必ず食べなければならないとしたら?」


そう言うと、ルシファーの杖は宙へ浮かび魔法陣を展開させる。


「……君らは、嫌いなものを残してしまった時点で絶望するのは確定だったのだよ」


ルシファーは目を瞑り、詠唱の体制に入った。


 すると、ルシファーの下の海は避けるかのように亀裂を作り、海底の岩盤さえも浮かびだしていく。


ルシファーは、自身の保有する魔力の十%を開放するつもりである。


開かれていく、口は雄大にそれを唱えた――。


「“これは、神に代わる私の命ずる理である。罰するは己が大地の支配者と驕れる人形_これは我が為でも、人形どもへ贈る祝福でもない。……肉と魂を、この私に差し出せ」


「――――――|断 罪 の 煉 獄 火 フレイム・オブ・ソドム


詠唱を終えると、ルシファーの周囲には町一つを飲み込むほどの火球が縦横一列に並んでいた。


ルシファーを中心とする、何色にも染まらぬ輝く十字架を描いているかのようなそれらは飛んでいき、街と海――地平線の彼方さえも消滅させていった。


爆風が収まったころ、目の前に広がるのは枯れ果て露呈した大地だけだった。


(おっと、結界を張るのを忘れていた。地形そのものを削りかねんので、魔術を展開するときには結界を張っておきたいのだがね。)


ルシファーは、炎の流星を降らせながら空を飛行し――決戦の地へ向かった。


人々が操り、繁栄をもたらした火は、傲りへの代償――滅びの星となって降り注いでいった。


見上げるべき明けの明星は、二度と人々の元で姿を見せる事は無い。

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