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海底遺跡と森林限界  作者: 徒花案山子
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狂気>友情=狂気

『ずっと友達!!』

私は携帯に貼ってある3人が仲良良さそう映っているプリクラを眺める。数ヶ月前学校帰りに一緒に撮ったものだ。視線を手元から少し下にずらすと、ベンチに女が一人横たわっていた。微動だにしない女からは生気を感じない。

「嘘吐き。」

私は暗闇の中横たわっている死体に吐き捨てるように呟き、その場を後にした。


「おはよう!」

翌朝、あのことはまだニュースにはなっていない。いや、ニュースになっていないだけできっと見つかっているだろう。

「おはよう。ねえ、あの子いつもは私達で一番早いのにまだ来てないんだけど何か知らない?」

「ううん。風邪でも引いたんじゃない?」

当たり前だが教室にあいつの姿はない。そしてこれからも現れることはないだろう。

お昼近くに私達は職員室に呼び出された。職員室へ行くとすぐ校長室へ促された。覚悟はしていたが案の定校長室に刑事らしき人物が2人ソファ座っていた。

近くの公園でこの学校の生徒が変死体で発見されたこと、それについて変わった様子はなかったか、等ドラマでお馴染みの質問が繰り出された。私達は何も知らない旨を伝えた。刑事は最後に昨夜の十時から十二時頃に何をしていたかを尋ね、去って言った。

私はふと様々な情景を思い出す。


私達は中学以来の友達だった。どこに行くのも一緒で、よくプリクラを撮った。

それがいつからか私はよく1人になった。別にいじめられているわけではなく自然と私に振られる会話が減る、なんてものだ。それでも今まで仲が良かった人が目の前で楽しそうに話しているのを見るのは寂しかった。

ある日私は思った。目の前にいる2人のうち、どちらかを殺してしまえば残った1人はまた私と仲良くしてくれるだろうか、と。

私は偶然あいつがたまに夜遅く知らない男と会っていたことを知った。あいつが夜に徘徊しているという事実は私にとって幸運だった。

私はあの公園で待ち伏せした。夜になってしまえば人通りは皆無と言っていいこの場所は奥にあるベンチから少し離れた場所にある街灯以外灯りはない。

2人は待ち合わせから別れるまでをこの公園で過ごす。結果的に一部始終を目撃してしまうのは瑣末にすぎない。

遂にその時は来た。男は用を済ませると逃げるように公園を後にする。余韻を噛みしめているのか男を嘲っているのかあいつはベンチに座ったまま帰ろうとしない。足音を立てないようにゆっくり近づく。荒くなる呼吸を必死で鎮め、あいつの後ろからスカーフで首を絞める。

僅かに漏れる呻き声。力は緩めない。私は呟く。

「こんな私でも許してくれるよね?友達…だもんね?」

もう動かない私の友達。力を抜くとドサリとベンチに倒れた。

ああ、と声が漏れた。晴れて私は危機を脱したのだ。

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