表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海底遺跡と森林限界  作者: 徒花案山子
20/126

その一歩

私は鏡を見る。身だしなみを整えるためだ。

鏡の前に座る。鏡に私が映る。

髪をいじり、化粧を施す。

鏡の私も同じ動きをする。

私が鏡の前からどけば鏡の私もいなくなる。

部屋が映っているだけだ。


私はショーウィンドウのガラスを見る。髪型を直すためだ。

ガラスの前に立つ。ガラスに私が映る。

髪をいじり、乱れを整える。

ガラスの私も同じ動きをする。

私がガラスの前からどけばガラスの私もいなくなる。

街並みと人混みが映るだけだ。


デパートに着く。何か欲しい物があるわけではない。

新しく出たブランドの服を流し見る。特に心惹かれる物はない。化粧品もまだ買うほど使ってない。

カフェでも行こうか。コーヒーか紅茶でも飲みながらケーキを食べよう。確か期間限定のものがあったはず。


ふと鏡の前を通る。当然私が映る。

もし、鏡の向こう側に世界があるのだとしたら私が鏡に映るたびに向こうの私も合わせて映りに行くのだろうか。

もし、私が鏡だとしたら。私の意思ではなく、無意識のうちに向かわされているとしたら。

映っていない時も向こうの私は私と同じ位置にいるのだろうか。

それとも鏡の一歩手前でなかなか来ない私を待っているのだろうか。私がその私だろうか。

鏡の私。ガラスの私。画面の私。水面の私。どっちがどっちを映しているのか。

今から行くカフェは道路に面している壁が一面ガラス張りになっている。

デパートから向かうにはそのガラスの前を通らなければならない。

私は私の意思でカフェに向かうのだろうか?それとも行かざるを得ないのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ